文・写真/小池 勝 こいけまさる 1945年広島市生まれ DAIWAフィールドテスター 全日本サーフキャスティング連盟島根協会しまねえのみやサーフ会員。

 私の住む広島は、目の前には多種多様な生き物が暮らす豊かな瀬戸内海。北に向かって高速道路を70~80分走ればシロギス天国・山陰海岸が…。フェリー利用か、しまなみ海道を走れば釣り天国・四国。高速道路を西へ走れば九州…と、釣りをするには非常に恵まれた環境です。

 それゆえ、毎年この時期になるとどこへ行こうかとなるわけです。

 

 

 歳時記では八十八夜を過ぎればキスの旬と言われ、山陰のシロギスが気になりつつ、マダイを投げ釣りで釣る「タイ投げ」の仲間内では、「(倉橋島)須川の5番灯台に入ったか?」の合言葉どおり、広島湾でのタイ投げシーズン突入となります。

キスにマダイにと、私自身、とくににこの季節は非常に悩ましい季節なのです。

その上、多くの人から「5月18日に42~34㌢を3枚釣った人がいるが、花見ガレイはいつまで釣れるか?」「マダイはもう釣れ始めたか?」「キスは山陰、瀬戸内海ならどこらがいいですか?」などいろいろ聞かれて、頭の中がこんがらかってしまう。贅沢な悩みでしょうか。

 

まずマダイの投げ釣りですが、例年5月の初旬から中旬にかけて前出の須川5番灯台辺りに入るようなので、もう倉橋島、江田島辺りでは釣れ始めるころです。

 

 

ここで、マダイを投げで釣りたい!という方々のため、タイ投げ名人のアドバイスを、いくつかご紹介しましょう。

「タイ狙いで、みんな掛け上がりや磯まわりを狙うが、あれじゃあチヌを釣るようなもんじゃ・・・・」

「タイは潮を釣れ、チヌは磯を釣れ」

「タイは裏切らん(毎年同じ潮を狙って行けば高確率で釣れる)、カレイはそうはいかん」

「キスは引いて釣るし、カレイは時々何mか仕掛けを動かして待つが、マダイ狙いは、狙ったポイントに投げたら絶対に巻き寄せない。巻くときは仕掛けを回収してタイムシを付け替えるときだけ、、、、、」

 

↓こちらがマダイの必須エサ・タイムシ。

 
 

「1mでも遠くに投げたいから、ハリやラインを可能な限り落とすが、落としすぎるとほぞを噛むことになる、ここらが悩ましい・・・・・・」などなど。

 以上はいずれも、年間10数匹もの大ダイを釣る、複数のタイ投げ名人の言葉です。

 

 広島湾だけではなく、マダイ釣りの遊漁船の基地のある山口県大畠や、その大畠瀬戸を挟んだ周防大島辺りも最高のタイ投げ釣り場です。下の写真は大畠瀬戸の急潮。

 今年もすでに40~50㌢の良型マダイの情報も入ってきています。

 
 

 もうひとつ、旬を迎えた山陰のキスはどうでしょう。

今年も、「益田市鵜の鼻で数型とも良い釣果が出ていますよ!」とか、あちこちから好釣果が伝えられています。

5月終わりから6月いっぱいまでは、昼間でも場所を選べば大ギスに出会えますが、7月ころからは夜ギス狙いに大型の確率が高くなります。

 

 置き竿で釣る場合は、ラインはナイロンラインにして、リールのドラグはゆるゆるにして、警戒心が強い大ギスに違和感を与えないような釣り方をします。穂先ライトが揺れて、ドラグが「ジーっ!」と鳴り、竿先が引きこまれる瞬間はドキドキします。

 

 ただ、置き竿よりは引き釣りで釣ってこそ・・・・・・という方々、場所さえ当たれば真っ昼間に「グンっ!」と大ギスがロッドをひったくることがあります。ちなみに冒頭の写真は島根県大田市近藤ヶ浜で、午前11時前に釣れた29センチ。

ナイロンライン使用の遊動式で釣る場合、最初のアタリで合わさず、違和感を与えないように送り込んでやり、次の大アタリで合わせて釣るという釣り方が主流でしたが、最近のようにPEライン、固定式で釣る場合は、即合わせの方が取り込める確率が高くなります。

 
 

 とくにひと荒れしたあとや、急に雨が降り出した時など、大型・良型キスに遭遇できる可能性がうんと高くなります。さすが日本海、ひと荒れしたあとは小川の位置もこのように大きく変わります。

 ぜひ真っ白い砂浜の日本海に出かけてみてください。

 

瀬戸内でのマダイ狙いのタックルは

ロッド トーナメントサーフT 30-405W

リール トーナメントISO遠投4500(一気に引き込まれないようドラグは緩めて)

ライン サーフキャスター4色ラインR 5号

力 糸 サーフキャスターちから糸 5~12号(5号部分を切り詰めて6号くらいから結束)

 

山陰のキス狙いのタックルは

ロッド トーナメントキャスターAGS 27-405

リール トーナメントサーフ45

ライン UVFサーフセンサー+Si 0・6号

力 糸 サーフセンサーハイパーテーパーちから糸 0・6~6号

ハ リ D-MAXシロギス 投魂T-1 8号二本バリ

 

夜のキス狙いではライト趣向も的確にいけます。 

ロッド キャスティズムT 23-385・Q

リール キャスティズム 25QD

ライン サーフキャスターちから糸付4色ライン 2号

オモリ 遊動式15~20号

ハ リ D-MAXシロギス投魂T-1 8号二本バリ

 

文・写真/大野 等(おおのひとし)1969年富山市生まれ。DAIWAフィールドテスター。全日本SCF・北陸協会岩瀬釣友会会員。

 

2011年の月某日。

ロッド企画担当者とやってきたのは能登半島・外浦の大川浜。

2012年の春発売予定のスカイキャスターともう一本、取り出されたのがこのスカイキャスターのプロトモデルに、AGSを取り付けた一本。これが初見でした。

「今日は、AGSと、金属フレームガイドで釣り比べて、どんな違いが感じられるかを試したい。」と担当者。

 

 

秋のシーズンたけなわの大川浜。

釣り始めてみたらシロギスが数珠つなぎになる。とにかく投げれば釣れる。この状態では、はっきり言って「よくわかりませんでした」というのが正直な感想でした。

 

こうして2011年からAGSの装着を念頭に入れた開発がスタート。プロトロッドを手にすることから始まったのですが、 使えば使い込むほど、違和感のようなものを感じてくる。 

 

『ノイジー』

 とにかく、にぎやか、なのです。カーボンフレームになったことでSiCリングを通るPEラインの編み目が擦れてくる感触すらもビリビリと手元に伝わってくる。ちょっと負荷を掛けて巻き上げるような場合だと、リールのラインローラーが回ってないんじゃないか?と感じるぐらいギュルギュルと音がする。

 竿先から、竿を握る手元にいたるまで神経を集中すればするほど伝わってくる音感が多くて気持ち悪いという感触すら感じてしまうことがありました。

 

企画担当者に「AGSってイヤ、気持ち悪いよ」と伝えた時期もありました。しかし、そんな違和感も、慣れというのか使い込んでくると、当たり前になってくるのが面白いところ。

 

次第に、こう感じるようになってきました。

AGSでは、うるさいほどに音がしていたのが金属フレームのガイドでは、音がしない。その音のしない感触が、AGSに慣れた身体には、逆に、当たり前に聞えるはずのモノが伝わってこない。これは不安になってくる! 

 

従来の金属フレームがいかに、その部分で伝わるはずの微細な音をカットしていたか! ということを思い知らされる感覚になってきました。AGSを一度使うと、金属フレームのガイドが使えなくなる、というのは他の釣り種目で言われてきたこと。ノイジーが快感に変わる。それが理解できるようになったのでしょうか。 

 

マスタライズキスを開発していた頃、そのほとんどはトップガンを使用して、キスのアタリがより明確に出ることが命題でした。ところが、ここ数年はフロート系のシンカー使う人が多くなってきました。

DAIWAも、フロートシンカーW/Gを発売したわけですがフロートシンカーを使うと錘の引き感は、軽くなるのですが、海底の状態を明確にトレースする感覚はダウンします。魚の居所を探ってサビいているのに、底地の情報量が減る。しかしAGSを使うことによって、そのあたりの情報量をカバーしてくれる。単純に、マスタライズキスのようにアタリが明確になるという部分を期待されるならちょっと違います。ロッドを通して伝わってくる情報量が一気に多くなる。最初は戸惑いを感じる方も多数いるでしょう。それでも慣れるとやめられない。

 

そこでブランクスの持つ機能として、キスのアタリを捕らえるという特性では、マスタライズキス。底の情報量が飛躍的に多くするのがトーナメントキャスターAGS。こんな感じでしょうか。

 

 

さて、AGS装着モデルの開発に際して、企画担当者、設計者から、指針のようなものが打ち出され、テスター側とのやりとりが始まりました。

1.AGS搭載のロッドは、飛距離が伸びる。

2.AGS搭載のロッドは感度がいい。

飛距離に関しては、北海道の開発チームがご担当ということで、陸上での飛距離測定を行い、実際のデータとして、投げカタログ2014「投魂」に出ている通りだと思います。

 

私は設計者とのやりとりの中で、AGSで感度というのをテーマにしていくならば、ガイドのセッティングにこだわりました。従来のガイド数、ガイド位置とは違った考え方でやったほうがいいのではないか?

フィネス化(小口径化)による多点化で、感度を突き詰めたセッティングをやりませんか?と

テストを繰り返して、決定したのが、今回製品化された、27号と30号に採用となった2番竿にガイドは個。穂先側を小口径多点化した、点のガイドセッティングです。 33号、35号モデルに関しては、飛距離を考慮に入れて点でいくということで、感度と飛距離の両立する口径とガイド位置でのセッティングになりました。                                          

 

テスト当初は、シーバスロッド用のガイドをそのまま付けていましたが、投げ釣り用に新しく開発した元ガイドをトーナメントキャスターAGSは採用。キャスト時のライン放出の第1波に対して、独自の絡みにくい形状となっています。

 

 

 

いま全国で試投会が開かれています。

実際、AGSの感覚を実感された方も多いでしょう。ガイド軽量化による飛距離にこだわる。やはり話題の感度に期待する。投げ釣りの趣向はさまざまですから、ご当人にあった吟味があると思います。ひとつ提案させていただくなら、出来れば従来の鉛系の錘。

 

感度の違いをより体感するために、少し、引きずり感覚の重い錘を持参ください。海底をじっくりトレースしてみることで、AGSの真骨頂を味わうことができると思います。 

 
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