2019年3月アーカイブ

文・写真/高橋明彦 1965年神奈川県茅ヶ崎市生まれ。DAIWAフィールドテスター。
 第12回SBC投げ決勝大会で6年振りに優勝を手にし、これまでで4度の優勝を果たす。
 日本サーフキャスティング連盟神奈川協会。茅ヶ崎サーフキャスティングクラブ会員。
 
 
私は竿を選ぶ人間なんでしょうね…きっと!
正直、ここ数年はハイレベルの竿が続出しており、どの竿でも支障なく満足に釣りができます。
ですが、それらの竿が持つ特徴は千差万別、そして、竿がもたらす楽しみにも差が出てきます。
 
 
投げ釣りの楽しみは、何といっても爽快感だと思います。
爽快感を味わうには、仕掛けを遠くへ飛ばすことが何よりも大切。
つまり投げ竿には遠投性能が一番求められるのです。
 
とは言っても、遠投できる竿だけでは投げ釣りとしては物足りない。
この釣りには、「動」と「静」の時があって静かにアタリを待つ間も私は大好きです。
誰にとってもアタリがよくわかる高感度の竿は釣りをしていても、とても楽しいものです。
 
 
そこでロッド設計者は、この「遠投性能」と「高感度」を追及して色々な工夫をして投げ竿を作り込んでいきます。
そして更に、テスターは試作ロッドができあがると、「投げやすさ」も十分加味して選んでいきます。
最終的には、遠投性能高感度、そして投げやすさ(コントロール性能)の3要素が投げ竿に求められるのは言うまでもありません。
 
しかし、どんなにすぐれた竿であっても、あらゆる状況ですべてを満足するのは非常に厳しいと私は感じています。
とくにプライベートの釣りではなく、トーナメントになるとさらに釣りに対する対応が厳しくなってきます。
ですので私はトーナメントでは、竿を選ぶことを常に大切にしてきましたし、あるべき理想も追い求めてきました。
 
今回のトーナメントキャスターAGSタイプTは、投げ竿に求められている3要素の概念は一旦外して、トーナメントのあらゆる場面を想定した上で、どんな竿が勝つために理想なのかを追及して作り上げてきました。
 
その結果、トーナメントキャスターAGSタイプTには4つのアイテムが今回発売されますが、すべて異なる場面をイメージして、それぞれ「トーナメントで扱いやすいロッド」として生みだされました。つまり、まさに勝つための要素を盛り込んだロッドともいえます。
ですので、4つのアイテムはすべて竿の調子や長さ、カーボン弾性率も統一性をもたせず、今までの常識を打破し、トーナメントで扱いやすいという理想のみを求めて1本ずつ作り上げました。もちろん、その結果として遠投性能や感度、コントロール性などの特性は従来品より向上していますのでご安心ください。
 
 
それでは、4つのアイテムそれぞれについてご紹介していきます。
 
■26号-428
近距離長仕掛け対応モデルです。フロートシンカーとの相性がよく、長いレングスとしなやかな穂先で「アタリがあってもノラナイ」を解消してくれます。実はトーナメントの予選時期はシロギス最盛期の少し前ですので、まだ活性は高くありません。
特に多くの選手が同会場で投擲を繰り返すためにシロギスの警戒心も徐々に高くなり、アタリがあってもノラナイが頻発する場面も多々あります。26号‐428は、しなやかな穂先と長いレングスで上手に向こう合わせの投げ釣りを竿でカバーしてくれる優れモノです。
 
■29号‐400
ランガンタイプのモデルです。この竿の特長は、とにかく軽く振り回しも楽なので「一日振っても疲れにくい」です。また、400のレングスのメリットは足元の段差や傾斜の強いサーフ、漂流物の多いポイントでも快適な投擲がしやすいところにもあります。つまり、投げる場所を選ばず、投げて歩いての機動性を重視した横の釣りに適しています。どこの大会でも同じことが言えますが、トーナメント予選会場では何キロも歩いて場荒れしていないエリアで釣ることも大事です。そのためには一日振っても疲れにくい機動性の高い竿が必要なのです。
ちなみにこの29号‐400は、元竿節長設計の高弾性カーボンですので普段33号使用されている方でも遠投は十分できます。かなりシャキッとした竿ですので縦の釣りでも対応できます。
 
■32号‐428
こんな竿が欲しかったと10年待ちました。中長距離長仕掛け対応モデルです。「トーナメント最強仕様」といっても過言ではありません。中長距離で数を稼ぐシチュエーション向けです。428のレングスは長い仕掛けの扱いを容易にし、波の高い悪条件でもロッドを立てることで高波時のライン切れなども防止してくれます。
等節長設計と428のレングスなので、ロッドを曲げて飛ばすタイプの竿ですから大会時のコントロール性能も極めて高く、的確なトーナメントの釣りが可能です。
 
■33号‐400
ロングキャスト対応モデルです。特に「向かい風に効果を発揮」させるためにレングスを400にしました。
トーナメント時期は海陸風などの影響で、海からの強い向かい風が吹くケースも多くあります。そうなると数釣りは望めず、多点ハリの長仕掛けは不要。少しでも遠投できるようにロッドの返りを優先するために適正なレングスにしました。また、強い向い風により、サーフに漂流物が多くなっても400のレングスで投擲時に安心な振り回しが可能。そしてこの竿は、遠投時の投擲ミスを無くすため投げやすさに対しても十分配慮した等節長設計になっています。
 
 
この新製品トーナメントキャスターAGSタイプTの詳細情報は下記リンクをクリック。
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