文・写真/石亀明夫 1953年千葉県生まれ DAIWAフィールドテスター 日本サーフキャスティング連盟マスターズサーフ会長 SBC投・全国決勝大会の競技委員長を務める。

 

このところ、家にいる時間が長いので、釣り部屋の整理をしていたら、歴代のダイワ製品のカタログが出てきました。なんだか懐かしいとひっくり返していたら自分とは思えない写真が載っていて恥ずかしい限りですが、よくもまあ飽きずに50年も投げ釣りをしていると、自分に驚きあきれています。

 

右下、遠投サビキ釣りの教祖、河西美次氏が懐かしい!

 

ところで、こうしてカタログを年代別に見比べてみると、投げ釣り道具の進化が見て取れます。

 

 

↑例えば、ロッド。スペック上段のサンダウナー。良い竿だったけど、先径が4.7ミリ、元径25.4ミリ、重さはガイド付きで460~510グラムで、やや持ち重りがしたのを思い出します。

 

現在の最新機種トーナメントキャスターAGS33号は先径が3ミリ、元径が22ミリ、重さは410グラム。絶対質量もさることながら何よりも軽く感じるのはカーボンガイドのお蔭。ご存知テコの原理でトップが軽くなっているからで、私が普段、近場釣りで愛用しているスカイキャスター30号-385といくらも変わらない重量です。

 
 

↑そして、リール。SS45から始まって今も連綿と続く45シリーズは、SS45で495グラムだったものが、トーナメント45では375グラムと軽量化の歴史そのもの。何より、25年以上も前のSS45のスプールが最新トーナメント45にも搭載できることは本当にありがたいことです。

 

この数字を見ていると、(このカタログよりさらに昔々)私が投げを始めた頃は、投げる時はヨッコイショと竿をかつぐようにと指導されたものですが、竿とリールを合わせた重量が1200グラム以上?あったからかもしれません。それに引き替え、トーナメントキャスターAGS33号+トーナメント45は785gで、しかも持ちおもりがなく、反発力に磨きがかかり、スパッと一瞬で投げ切れる素晴らしい仕上がりになっています。

 

ガイドのカーボン化による軽量化が、これほど、スイングに影響を及ぼすとは正直驚きです。振り切った後の後ブレの少なさは、今までとは別もの。それにより、さらに飛距離が伸びているのは、実証済みです。

 

さらにラインの方はどうかというと、2002年のカタログによると投げ用PE0.6号の強度は4キログラム。現在のサーフセンサーSi-PE0.3号が4.1キログラム。材質の見直しや編み方の進化で、擦れに強くここまで強度が上がったのには感心するばかりです。太いPEから、細いPEでの飛距離アップ。強度を気にせず、安心して細いラインが使用できるのはストレスフリー。こういった道具の進化の積み重ねのお蔭で最近、とみに体力が落ちてきているのに、昔と少しも飛距離が変わらないでいられるのは本当に有難いこと。

 

 

このところ、よく言われる地球の温暖化の影響で、確実にシロギスの数が増えているように思うんです。正確なデータをとっている訳ではないけれど、ホームグラウンドにしている房総半島では40年前から比べると、シロギスの量が3倍以上にはなっているのではないかと。

 

昔から言われているシロギスのシーズンインは4月末~11月いっぱいですが、最近は日並次第で前倒しの3月、あるいは1月末になっても、十分釣りが可能になってます。

 

そんな訳で越冬シーズンも気楽にキス釣りが楽しめます。昔なら、遠浅なので11月頃にはシーズンが終わっていた平砂浦でもフロートシンカーで良型が↑上記写真の感じ。使用ロッドはトーナメントキャスターAGS33号。

 

商品には感動する商品としない商品の二つしかないという言葉があるんですが、最近のダイワはAGSとマグシールドと、感動する製品ばかり。来年のフィッシングショーも、もしかして、、、、期待出来るかな?

 

 

文・写真/小池 勝 1945年広島市生まれ DAIWAフィールドテスター 全日本サーフキャスティング連盟島根協会 しまねえのみやサーフ会員。

 

このところ、盛んなトーナメントなどの影響なのか、一口に投げ釣りと言っても、ロッド1本でのキス釣りファンが増えたような。

 

確かに気難しいカレイや、不敵な引きで釣り人を翻弄するマダイに比べれば、キスは大かれ少なかれそこにいれば、必ず答えを出してくれます。

そういったあたりからも、ファンが増える動機ともなっているのかもしれませんね。

 また、複数のロッドを置き竿にしているのも、トーナメントに憧れる人たちの目にはちょっとダサい、と映るのかもしれません。

 

 鈴などを付けて投げっ放なしにしている置き竿について、日本投げ釣り界のパイオニア、故・小西和人氏が何かに書いておられました「竿先に付けた鈴は「ヘタヘタ」(注・下手下手)と鳴る」と。

 そのような音がするかはともかくとして、置き竿が、ただ「運」を待っていると思っている方、私の置き竿釣りを一度見てください。

 
 あるテレビ局のディレクターさんが「カレイ釣りとは、のんびり座って竿先を見ているのかと思っていましたが、小池さんはふかせ釣り以上に動きますね!」と言っていました。待って釣るのではなく潮流や反流点を釣るのですし、待つとしたら潮を待つ時だけです!

 

 とまぁ声高に吠えましたが、本音を言わせていただければ、私も一番好きな投げ釣りターゲットはキス!ですから鹿児島の甑島辺りまで出かけているのです。

 それほどキスの好きな私ですが、瀬戸内海は季節によっていろんなおさかなが楽しめます、それを楽しまない手はありません。

そこで私の投げ釣りライフワークは、好きなキスだけの偏食?を避け「旬を釣る」こととしています。

 

 10月後半から年末まではカレイを狙い、年が明けたら産卵後のカレイには目もくれず、越冬ギスを追いかけます。

 3月に入ると戻りガレイ、4月の花見ガレイと春ギス釣りを気分によって楽しんでいます。

 

 そのカレイ釣りについて、私見を述べさせていただきます。

 文献によれば、カレイは夏の間は水深60~70mの場所にいて、産卵期を迎えると浅場に寄ってくる、といわれています。

 その接岸期はいつ頃からでしょうか?

私の住む瀬戸内海西部では、キンモクセイの匂いが漂い始めたころからになります。

 もちろんキンモクセイが咲いたからと言って、どの場所でも「よーいドン!」で釣れ始めるわけではありません。

 

 カレイにはまず深場から到達する接岸場所、餌を摂りながらの通過と滞在の場所、小石交じりで比較的浅い産卵場所、産卵後の体力回復のため餌の豊富な場所などと微妙に違っており、早く接岸する場所はだいたい決まっていますので、みなさんの周りでもそういった情報を記録しておくといいでしょう。

 

 

 その時、「新暦」で記憶するのではなく、釣具店さんなどに置いている潮見表の「旧暦」で記録しておくといいでしょう。

 例えば、私のカレイ開幕戦西暦でいうと2011年度は10月13日、2012年度は11月1日、2013年度は10月20日、2014年度は10月11日でした。

 ずいぶんバラつきがあるように思えますが、旧暦でいうとすべて9月18日ころで、潮回りもほぼ同じ日で釣果もそこそこあげています。

 

 みなさんも、ぜひキンモクセイの開花や匂いなど自然界の様子や、旧暦を把握してカレイ狙いをしてみてください、釣果アップを望めますよ。

 

 

 

参戦リポート・写真/松尾幸浩 1954年兵庫県生まれ DAIWAフィールドテスター 全日本サーフキャスティング連盟レインボーキャスターズ会長

 

ダイワSBC投2014で優勝すること!

 

 今年60歳の還暦を迎えて、私はひとつの節目を感じていました。長く、シロギスの数釣り競技にのめりこんできて、この歳になっても納得のいく結果を残してみたい。気力と体力を整えて、万全の準備を持って臨みたい。前号でご報告したとおり、時間があれば近場の砂浜に通い、自身の得意なパターンの確認とイメージのトレーニングに励んでました。

 

 仕掛けについても、打ち返すスピードやリズム。フロートシンカーのアームに私流の工夫を加えて、アタリの取りやすさ、掛かり具合をチェック。多点針仕掛けでの状況による適宜応答を心がけて、SBC投決勝の鹿児島に乗り込みました。

 

 目指すは優勝。以前の準優勝(第2回大会)からの「準」をとること。それは還暦の節目にふさわしいと掲げた目標でした。

 

 
 

 予選1回戦の直前。突然、インスピレーションのようなものが湧きました。まだ薄暗い吹上浜の海を見てピンときたもの。南九州の浜辺なのになんとなく寒々しい。この状態ではキスはまだ遠いのではないか。

 

 まわりでは2色から3色の釣りという目測が語られてました。

 

 前日までそのあたりにキスが集中していたと。私もそこに気持ちがあり、プロキャスター27号425を構えていました。長めの仕掛けなので竿を425にして操作をしやすくしよう。そう思ってはいたのですが、直前になっての心変わり。なにかいまの道具では状況に合わないのではないか。一目散、必死にクルマまで走りました。4色から5色の釣りになるのではないか?

 

 慌ててトーナメントキャスターAGSの30号405に差し替えたのです。整列直前ぎりぎりになんとか戻れてのセーフ。いま思えば、この直感と心変わりがこの日の最初のターニングポイントでした。

 

 1投目。いきなり15連、しかも型はすべて20オーバーの良型ばかり。まわりは小さい。どよめく声を聞いて、やったと思いました。予感的中のロケットスタート。ここからスタートダッシュの波に乗れた。自分の開始直前まで持っていたイメージとテンポが面白いほど決まり、次々とキスが乗ってきます。潮は上げ潮で、私の打ち返すリズムにさらなる応援をくれるよう。

 

 換えたロッドは、狙い所だったゾーンのキスたちをことごとく捉える印象で集中力が途切れない。夢中の1回戦を終えて、気がつけば私はぶっちぎり。自分でも驚くほどの1位通過を果たしていました。

 
 
 

 決勝ラウンドに進んだ4人は、私、早坂直人選手、坂手魚神選手、澤谷彰広選手。いよいよ待ちに待った目標のステージでした。

 

 イケる。イケるはず。1回戦の印象と狙い所を離さなければ、このままの好調モードを持続できるはず。私は少々(というかかなり)舞い上がっていたのかもしれません。釣り用語でいう、魚のうわずり。これが困ったことに人間側がうわずっていた。そして結果から言えば、すべてが裏目。この日の2番目のターニングポイントでした。

 

 潮は下げ潮に入っていたことに、私はもっと早く気がつくべきでした。1回戦のイメージが頭から離れず狙い所から外していたのです。正直なことを言いますと、私のホームグランドである淡路島の砂浜には、吹上浜のような広大かつ干満差のある砂浜がありません。体験値の引き出しが少なかったことと、判断と行動力の甘さを悔やんでいます。

 

 もうひとつの反省として、早坂選手の存在。連覇中の早坂選手に対してどうしても意識をしてしまい、彼の行動がつねに視界にあります。三連覇も目前の勢いの早坂選手をマークするばかりに、まわりを見る余裕を失っていた気がします。それは、おそらく、早坂選手も一緒でなかったでしょうか。

 

 この展開のなか、坂手選手は自身の投げ釣りを繰り返していた。私が気がついた時には、追いつけない状態にいた。いま終わって振り返れば、しみじみと感じることです。

 

 ↑上記の写真は、決勝ラウンドの開始の当初、イケると思って余裕を見せて仲間に撮ってもらった私。しゃがんでいる場合ではなかった(苦笑)

 

 
 

 坂手選手が優勝、2位早坂選手、私が3位、澤谷選手が4位でした。口惜しさは残りますが、同時に、かなえられた達成感はありました。還暦の私でもまだこういう「お立ち台」に立てるではないか。しかも、もうちょっと柔軟に物事を考えて行動すれば念願のお立ち台の真ん中はあるなと。

 

 それにしても、坂手選手は凄かった。立派だったと思います。会場を丁寧に探査して、吹上浜の会場エリアを把握。自身の釣りを貫いていた。若いのに(32歳)、いや若いから出来ることだとも思いますし、私も30代の頃はそうだったなと呼び覚まされる想いまでありました。優勝はひとまずお預けになりましたが、自分はまだまだやれる。これからの目標が継続できました。

 

 こういう若い方々が出てきてくれて、その若い人の壁になったり、逆に若い人に胸を借りて全力で立ち向かったり。そういう想いをより強くした今年。還暦といっても、ほんの通過点。来年への楽しみが増えて、ますますワクワクしてきた私です。

 

 来年、2015年もブロック戦を勝ち上がり、坂手選手に挑むことでいまから胸はいっぱいです。

 

●↓↓↓決勝大会の詳細はこちらをご覧ください。

 

http://www.daiwaweb.com/jp/fishing/event2/data/main/nage/2014/1238750_4247.html

 
 
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