トラウトのコンディションを把握。

 水温が落ち着いてくれば、トラウトたちの活性は徐々に上向きになり、エリアフィッシングは好況に転じてハイシーズン真っ只中です。水温が下がってトラウトたちの活性が上がり、釣りやすいコンディションになることは間違いないのですが、さらに満足のいく釣果を得るためには、コンディションを把握し、それをベースにパターンを組み立てていくことが大切になります。ハイシーズンをもっと楽しむためのハウツーを、高田達也さんに解説していただきます。

いろいろなルアーに反応する楽しい季節。

「活性の上がったトラウトは、どんなルアーやカラーにもよく反応します。でも、同じルアーやカラーばかりで攻めていても、すぐに見切られてコンスタントに釣れ続かせるのは難しくなります」

 トラウトがルアーを見切る前に、ルアーやカラーをテンポよくローテーションさせることが重要になるのです。ローテーションさせる場合、極端に変えないことが大切。例えば、それまでアピールの強いカラーを使っていて、そのセカンドに地味なオリーブ系に替えてみる。もしくは、波動の強いフルサイズのクランクベイトを使っていて、そのセカンドに微波動のマイクロスプーンにチェンジする、といった具合に極端なルアーやカラーのチェンジは禁物です。ハイアピールカラーのオレキンを使っていたら、そのセカンドはややアピールを落としたグリメタ系や金残しの中間色を使ってみるなど、少しずつ変化をつけたローテーションを組むようにします。

「トラウトは、いろいろなルアーに反応します。なので、ハイハイシーズンは、苦手なルアーやもっと上手に使いこなしたいルアーの練習にはもってこいの時期だと思います。苦手なルアーがあったらそれを克服して、もうワンランク上のレベルを目指してみてください」

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トップウォーターのポッパーやミノー、ボトムバイブなど、操作系ルアーを練習するにも格好のシーズン。

 

ポンド全体に散って場所を選ばずに釣りやすくなります。

 水温が下がり活性の上がったトラウトは、ポンド全体に散った状態になりやすいのがハイシーズンの特徴のひとつ。サマーシーズンならば水が活発に動いている場所やシェード、ウインターシーズンなら比較的水温が安定しやすいディープレンジが好ポイントになることが多いのですが、ハイシーズンはあまり場所を気にせずにポンド全域で釣れるようになります。

「ひとつの場所でジッと腰を据えて狙うのもいいですけど、ポイントをまめに移動して狙っていくのもいいですよね。あと、散っている状態は、ポイントだけでなくレンジにも当てはまるんです。表層でも反応してくるし、中層よりも下のレンジでもヒットしてくるようになります。同じレンジをずっと攻め続けるのではなく、少しでも反応が鈍くなったな、と感じたらレンジを変えて狙ってみるのも大切になります。特に風が吹き出したり、太陽が雲に隠れてローライトになったなど、ポンドを取り巻く環境に変化があったときは、ヒットレンジが変わることもあります。環境変化にも注意を払っておくことが大切になる季節です」

 

 

SILVER CREEKに新しいアイテムがラインナップされました。TRADGLASS PROGRESSIVE、そしてMINNOW JOINTです。前回はTRADを詳しくご紹介しました。今回はGLASS PROGRESSIVEMINNOW JOINT。この開発を担当した小林さんに詳しく解説していただきます。

 GLASS PROGRESSIVEは既存のロッドシリーズで、ここに2モデルが新たに追加されました。MINNOW JOINTは全く新しいモデル。ネイティブストリーム用のミノーとしては、ジョイントタイプはかなり珍しい存在です。

 グラスロッドならではの性能とメリット。

 GLASS PROGRESSIVEにはこれまでに6モデルがラインナップされていて、そこへ今シーズンに2モデルが追加、都合8モデルになっています。ここでは、この追加2モデルを詳しくご紹介したいと思います。と、その前にGLASS PROGRESSIVEシリーズ全体の特徴を解説します。

「このネーミングの通り、シリーズ全てのモデルがグラス素材を採用しています。グラスロッドの特長は、カーボンフィールではなかなか出せない粘りです。この粘りは、渓流魚をヒットさせてファイトしているときに実感できます。魚のローリングなど、様々な動きにブランクが追従してくれてバラしを軽減してくれます。また、粘りというかグラス特有の伸びが、ルアーを操作したときに引っ張りすぎない、水に馴染むようなアクションを可能にしてくれるんです」

 グラスロッドというと、ちょっと重くなりがち、といったイメージをお持ちのアングラーも少なくないのでは⁉ GLASS PROGRESSIVEでは、DAIWAの誇るロッドテクノロジー『SVF GLASS』の搭載によって、そんな不安を一蹴してくれています。このSVF GLASSはレジン量を減少させグラス繊維を密にしています。その結果、従来のグラスロッドよりも軽量化が図られ、キャストしたときのダルさも抑えることができました。

「口径が大きめのガイドと絶妙なガイドセッティングで、キャストフィールがグラスロッドとは思えないほどいい感じで投げられるんです。2g台の軽量ルアーでもピシッとキャストが決まるし、気持ちよく使えるロッドです」

では、新たに加わった2つのモデルを個別にご紹介しましょう。どちらも4ピースのマルチピースロッドになっています。

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48UL-G4

 まずは、4ピースのメリットについて少々解説します。

「携帯性が高くなる、というのはもちろんなんですけど、源流などちょっと険しいフィールドでは、両手を空けて先に進みたいことがあるんです。そんなときに、携帯サイズがコンパクトになるマルチピースだとザックに収納することができて、両手を使えて安全に行動できるのです。それと、私の場合、釣行のときは1セットしか持たないことが多いのですけど、マルチピースだともう1セット余計に持っていきやすくなります。二刀流になるので、使えるルアーの幅が広がるし、また、いろいろなフィールドに対応できて楽しさも釣果も上がりますよね」

 さて、48UL-G4のご紹介です。取り回しのいいレングスになっています。小渓流や沢など、対応フィールドの守備範囲が広いモデルです。ルアーもスピナーやスプーンのリトリーブの釣りからシンキングミノーまで広く対応します。

4ピースですが、グラスならではの粘りが損なわれているようなことは一切ありません。ちょっと大型の魚がヒットしても、追従性のよさはGLASS PROGRESSIVEの他の2ピースモデルと遜色ありません」

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46ULB-G4

アキュラシーに優れ、渓流・源流域でピンポイントに攻めていきたい状況で大いに活躍してくれるモデルです。SVF GLASSにカーボンをコンポジットさせることでグラス特有の粘りはそのままに、カーボンの持つ感度や操作性も併せ持っています。

4ピースなので、確かにテーパーの曲線は2ピースとは異なってきますが、魚がヒットしてロッドが曲がったときの追従性は、2ピースと変わりません。キャストもビシッと決まって、心地よく使えるロッドです」

変化してきている渓流に対応させたジョイントタイプ。

MINNOW JOINTは御覧の通り、ボディが連結しているジョイントタイプになっています。ネイティブストリーム用のミノーとしては、ジョイントモデルはかなり稀有な存在です。もちろん奇をてらってのジョイントではなく、これを開発したのにはいろいろな理由があります。

「昨今の渓流のコンディションとして、渇水しているシーンによく出くわします。以前のような釣り方、狙い方だけではだめだと考えたんです。そこで、開発に着手したのが、このMINNOW JOINTです」

渇水になると、当然、水深が浅くなります。浅い場所でのファストシンキングミノーだと、着水からあっという間に着底してしまいます。着底を少し遅くさせるために、シンキングスピードをゆっくりにすると、今度は魚がミノーを見切ってしまい、口を使わなくなってしまいます。MINNOW JOINTはシンキングタイプになっていますが、スローシンキングに近い少しゆっくり目のフォールスピードに調整されています。ゆっくりのスピードですが、フォール中でも水流によってジョイントのボディをクネクネさせながらアピールし、魚に見切る余裕を与えません。 

「開発では、アクションにもかなりこだわりました。リップの角度を少し立て気味にしたんです。トゥイッチを入れたときは、クネクネと動き出し、それが止まるときは急ブレーキがかかったようにビタッと停止します。慣性がほとんど働かずに急制動します。立ち気味のリップが水の抵抗を受け、また、折れ曲がったボディのテール部分にも水の抵抗を受けるため、従来のシングルボディのシンキングミノーでは出せない急制動が可能になったんです。渓流魚を翻弄するジョイントならではの動き、そして、渇水でスポットが狭くなった場所でも、慣性がつきにくく急制動する性能は頼もしく感じられるはずです」

 安定性はしっかりと持たせていますが、破綻しない限界寸前のバランスで設計しているため、ロッド操作によって暴れるような動きを出すことも可能です。ジョイント系ミノーが、これからのネイティブストリームに新風を吹き込む。MINNOW JOINTは、そんな予感をひしひしと感じさせるルアーです。

ネイティブトラウトの2024シーズン開幕を前に、SILVER CREEKに新たなロッド&ルアーがラインナップされました。『SILVER CLEEK TRAD』、『SILVER CLEEK GLASS PROGRESSIVE』の追加モデル、そして『SILVER CLEEK MINNOW JOINT』の3アイテム。この3アイテムのコンセプトや性能、使い方を開発に深く携わってきた小林将大さんに2回に分けて解説していただきます。今回はTRAD、そして次回はGLASS PROGRESSIVEの追加モデルとMINNOW JOINTをご紹介します。

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小林将大

渓流魚の美しい魚体に魅了され、トラウトフィッシングを始める。大学は水産学部に進め、魚の生態系を学ぶ。高いキャスティングスキルと優れた洞察力でネイティブストリームのトラウトたちを狙う。

スタンダードモデルのロッドシリーズが待望のデビュー

 TRADにラインナップされている6モデルすべてがネイティブストリーム用で、スピニングタイプが4モデル、ベイトタイプが2モデルになっています。

TRADのコンセプトは、このネーミングに集約されています。TRADの和訳は『伝統』ですが、もうひとつ『流行に流されない』という意味もあります。これまでの渓流用ルアーロッドのテイストを守って伝統をつないでいく、というのがコンセプトで、そんな思いを込めてTRADという名前にしたんです。例えば、昨今のルアーロッドの多くに小口径のガイドが採用されています。これはこれでいろいろなメリットをもたらしてくれるんですけど、TRADではあえて小口径ガイドではなく、以前はスタンダードであった口径の大きなガイドを採用しています。渓流用ルアーロッドらしさを出しているんです」

 流行を追わないとはいいつつもロッドとしての性能は、DAIWAの優れた最新ロッドテクノロジーの搭載によってしっかりとカバーされています。そのひとつがHVF NANOPLUSです。レジンの量を減らしてカーボン繊維の密度を増やした高密度HVFカーボンによって粘りと強度を両立させ、相反する高強度化と軽量化を同時に実現しています。また、ゆがみのない美しい曲線を描くV-JOINT、キャスティングやフッキングなどのロッド動作の中で発生するネジレを防止するX45も搭載。ロッドが求める性能を高い次元で実現しているSILVER CLEEKのロッドのスタンダードシリーズが、TRADなのです。

SILVER CLEEK TRADに込めたふたつのこだわり

 小林さんがTRADの開発を進める中で強くこだわったことが、ふたつあります。ひとつがデザイン。そしてもうひとつが、気持ちよく釣りのできる使い勝手です。

「美しい自然に包まれた渓流、そのロケーションに溶け込むデザインに仕上げたかったんです。美しい自然とのミスマッチなデザインでは、いくら釣果が上がっても、心の底から釣りを楽しむことはできません。周りの森と調和するデザインで釣りをすることで、心がうるおされて、楽しく釣りができると思うんです」

 グリップ回りは、細身のデザインにしてナチュラル感溢れる天然木素材を採用。また、そこに取り付けているスペーサー(金属パーツ)は、無垢に近いシルバーを使っています。鏡のような無垢のシルバーは周りの風景を映し出し、そして同調してくれます。まだ残雪のある春のまぶしい渓相、緑の深まる夏の風景など、無垢のシルバーのスペーサーは季節ごとにいろいろな描写をしてくれるのです。そして、小林さんはブランクとスレッドのカラーにもこだわりを見せています。

「ブランクのカラーは、状況によって色彩が変わるんです。室内では黒やネイビーに見えるんですけど、自然光に溢れたフィールドの中ではフォレストグリーンやライトグリーンに見えます。スレッドには透ける糸を採用しました。光の強さの具合によって若葉のような色彩を放ったりします。一日のうちで時間の経過と共に森の色に合わせてスレッドが変色していくんです。ブランクもスレッドも、時間ごとに変化していく森の様々な表情に同調してくれるんです」

 そして、気持ちよく釣りができる使い勝手のよさが、小林さんのもうひとつの強いこだわり。狙った場所へピンポイントでルアーをアプローチさせられるアキュラシーなど、どんなフィールドコンディションでもストレスなくキャスティングできるキャスト性能。そして、ヒットしてからのトラウトとのやり取りを堪能できる釣味のよさ。これらのルアーロッドとしての基本的な性能がトータルで備わることで、気持ちよく釣りができるようになります。

DAIWAの持つ高いロッドテクノロジーを搭載することで、気持ちよく釣りのできるロッドフィールにすることができました。エキスパートアングラーはもちろん、ビギナークラスのアングラーでも気持ちよく使える一本です」

流行に流されることなく、小林さんが強くこだわったふたつ要素を1本のロッドに凝縮させることができて完成しました。釣果を求めるだけでなく、渓流ルアーゲームを心から楽しませてくれるロッドがTRADなのです。

状況に合わせて使い分けたい6モデルの特徴を解説。

TRADにラインナップされている6モデル。それぞれの特長をここで解説しましょう。

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48UL

ピッチング、フリッピング、サイドキャスティングなど近距離のアプローチで気持ちよくキャストできるのが一番の特長です。周囲に木々の枝が被さっているような状況においても、その隙間から投げるテクニカルキャストが可能です。「渓流のトラウトに近づき、ルアーへの反応を視認しながら狙っていくサイトフィッシングでは、欠かすことのできないレングスとキャスト性能になっています」

410L

弾道の低いライナーキャストでハイテンポに攻めていきやすいキャスティング性能です。ULに比べるとやや張りの強いファーストテーパー。特に、バッド付近の張りは強く設計されています。4g前後のミノーとの相性は抜群です。「510mのディスタンスでアプローチする小渓流に向いているレングスです。フリッピングやピッキングだけでなく、バックハンドでも投げやすいキャストフィールになっています」

53UL

小渓流から里川まで、様々なフィールドで使いやすいオールラウンダーモデル。「10mぐらいの距離で投げるのにはベストなレングスです。ロッドワークで岩などをかわしながらリトリーブすることができ、長い距離が引きやすくなります。早春の小規模河川など、少しでも長くルアーを水中に留めておきたいようなシーンでは、かなり頼りになるのがこの53ULです」

56L

15m以上のロングアプローチがしやすく、里川から中流域で使いやすいモデル。バッドパワーは強靭で、ワイルドでパワフルな遡上トラウト、C&R区間での大型の放流ニジマスなど、想定外の大物がヒットしてきても、余力を残してファイトすることが可能です。「50㎝オーバーのトラウトでも、安心してやり取りのできる、釣味のいいモデルです。大型トラウトのヒットの確率が高いC&R区間の釣りでは、このロッドパワーが心強く感じます」

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46ULB

源流から小渓流まで、接近戦で使いやすいレングスとキャスト性能を持っています。フリップやアンダーハンド、サイドハンドなど低弾道のキャストでハイテンポに攻めていくことができます。

51LB

渓流からオープンになった里川まで、ロングディスタンスでキャストできる5フィートクラスのモデルです。全体的に強めの張りを持たせ、大型のトラウトのヒットでも力負けすることなく寄せてくることができます。

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