PRESSO-LTD AGS55XUL-S61MLF2モデル、そしてPRESSO AIR AGS55M-MT510UL-E2モデル、都合4モデルが追加ラインナップされました。これまでにPRESSO-LTD AGS2モデルは高田達也さんと和田浩輝さんがそれぞれをご紹介しました。今回はPRESSO AIR AGS2モデルを三浦敬児さんにご紹介していただきます。

PRESSO AIR AGSシリーズの統一コンセプトである『軽さ』という部分は確実に踏襲しつつ、さらにもう一つのコンセプトを明確に持たせて、この2モデルを開発しました。エキスパートの方はもちろんのこと、ステップアップを目指している初中級のアングラーの方にも使っていただきたいロッドです」

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55M-MT

メタルソリッドの異次元の感度が身近に体感できる

 セールスポイントのひとつが、金属マテリアルを使用したソリッドティップの『メタルトップ』を採用していること。金属ならではの高い振動伝達性能により、カーボン素材とは別次元といっても過言ではない優れた感度を実現しています。

「メタルトップは、DAIWAが誇るロッドテクノロジーのひとつです。これまでは、ハイエンドクラスのロッドにのみ搭載されていましたが、RESSO AIR AGSで初めてこれを採用しました。それがこの55M-MTなんです。メタルのソリッドティップがより身近になり、その優れた性能を存分に体感できるのが、55M-MTの大きな魅力です」

 その優れた感度は特筆ものです。ラインが少し弛んでいる状態でも、ラインの先からの伝わってくるアタリを確実にキャッチし、それをアングラーへ伝達してくれます。カーボンのソリッドティップでは出しえない感度を、金属のメタルトップは実現しているのです。

ミノーやボトムバイブの操作系ルアーと好相性

 パワーはMで、ベリーからバットにかけてやや強めの張りを持たせたファーストテーパーです。ソリッドならではのしなやかさによってフックをトラウトの口の中に残し、違和感を覚えさせたり弾かれることなく初期掛してくれます。さらに、張りのあるベリーとバットにより、アグレッシブにフッキングさせることもできる。

「張りが強めのファーストテーパーです。そのため、ロッド操作に対して、レスポンスよくルアーをコントロールすることが可能です。ミノーやボトムバイブ、トップウォーターといった操作系ルアーとの相性は抜群です」

 スプーンも使用できますが、55M-MTのポテンシャルを最大限引き出すためには、1.5g以上のウェイトをセレクトすることをオススメします。ベリーから下の張りがかなり強いため、アンダー1gのスプーンは少々扱いにくくなります。 

キャスタビリティだけでなくアキュラシーにも優れる

 5フィート5インチのややショートサイズですが、キャスタビリティに関して懸念する心配は全くありません。ブランクにルアーのウェイトをしっかりと乗せて弾くようにキャストすることで、驚くほどの飛距離を出すことができます。

「短いことで振り抜けがよくなって、気持ちよくキャストできるし、キャストコントロールもつけやすくなりました。また、メタルソリッドの長さを少し短めに設定しています。ですので、キャストした直後にティップが慣性でバタ着くこともないので、アキュラシーはより上がっているんです」

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ティップを含めた先端3個のガイドの2節分がメタルトップのソリッドになっている。金属ならではの優れた感度を実現。

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ベリーからバットにかけては、強めの張りを持たせてあるファーストテーパー。操作性ルアーをコントロースさせやすい。

510UL-E

コンセプトはエステルラインへの特化

 モデル名についている『E』はエステルのEで、エステルラインの使用に特化させて開発したモデルです。

「以前に比べると最近のエステルラインは、かなり扱いやすくなりました。でも、しなやかなナイロンラインなどに比べると、まだまだクセがあって少々扱いにくいというのも事実。でも、エステルラインは長所もたくさんあって、釣果のアップを後押ししてくれるラインでもあります。そこで、ビギナーアングラーでもエステルラインが扱いやすくなるロッド、といったコンセプトで開発したのが510UL-Eなんです」

 エステルラインを使いやすくするためのポイントのひとつが、第1ガイド(一番手元側のガイド)です。ガイドフットを低く、さらにガイドリングも小口径タイプを採用。エステルラインは張りが強く、キャストでリールスプールからラインが放出されるときにバックラッシュを起こしやすくなります。しかし、第1ガイドを小口径にすることで、そのトラブルを最小限に防ぐことができます。

「小口径にしたからといって、キャストに影響を与えることは特にありません。もともと、エステルは飛距離を出しやすいラインですし、マイクロスプーンでもスパンとキャストできて、十分な飛距離を稼ぐことができます」

ULの柔らかめの調子もエステル向き

 パワーはULで、全体的にはかなりソフトで柔らかめのロッドフィールです。

「ティップからバットまで、ブランク全体が柔らかい調子になっています。アタリがあったら積極的にアワセに行くよりも、オートマチックに初期掛かりさせてナチュラルにフッキングさせていく。いわゆる乗せ調整のロッドになります。エステルラインは、瞬間的に負荷がかかってアワセ切れするリスクが他の素材よりも高いんです。でも、乗せる感覚でソフトにアワセる調子のロッドで、これもエステルにマッチする性能のひとつといえるんです」

 相性のいいルアーはマイクロスプーンやマイクロクランクといったコンパクトで軽量のルアーたち。ミノーやボトムバイブといった操作系ルアーとの相性はいいとはいいがたいのですが、しかし......

「ルアーに機敏でクイックな動きは出しにくいんです。でも、ルアーアクションを少し控えめにしたナチュラルな動きにさせたいときには、これくらいの柔らかさがちょうどいいんです」

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一番手元側のガイドはガイドフットが短く、かつ小口径リングを採用。これによって、バックラッシュのライントラブルを起こしにくくなる。

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全体的に柔らかめの乗せ調子。オートマチックにフッキングさせやすく、瞬間的な負荷のかかるアワセ切れも起こしにくい。

和田プロ監修でテストしたニューモデル

PRESSO-LTD AGS2モデル、 PRESSO AIRにも2モデル。 都合4モデルが追加ラインナップされます。 前回はPRESSO-LTD AGSに追加される55XUL-Sを高田プロに解説していただきました。 今回は同じくPRESSO-LTD AGS 61MLFを和田プロがご紹介します。 61MLFは和田プロが監修でテストを繰り返したロ ッドです。

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ニューモデルは18PRESSO 61MLFの進化バージョン

 「トーナメントでもプライベートでも、 信頼して使い続けてきたお気に入りのロッドのひとつに18PRESSO AGS 61MLFがありました。 今回、 PRESSO-LTD AGS に追加ラインナップされる61MLFは、 この進化バージョンといった立ち位置で開発してきたモデルなんです」

LTD AGS 61MLFの進化を後押ししたのが、 ダイワの誇る最新のロッドテクノロジーです。 そのひとつが 『SVFナノプラス』です。 従来の超高密度カーボンSVFDAIWA独自の製法を取り入れることで、 圧倒的ともいえる高強度と軽量化を両立させました。

SVFナノプラスの搭載は、 大きいですね。 これによって、 ポテンシャルが格段に上がりました」

18PRESSO AGS61MLFでは、 グリップ素材にコルクを採用していましたが、 今回の61MLFではPRESSO-LTD AGSのすべてのモデルに搭載されている 『中空軽量高感度グリップ』 が採用されているため、 手感度の向上にも繋がりました。

 「これも、 旧モデルに比べると、 飛躍的に性能を向上させた重要なテクノロジーのひとつです。 PRESSOLTD AGS 61MLFは、 当初想像していた以上に大きな進化を遂げることができました」

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既存のMLとニューモデルのMLFとの違い

  今回追加された61MLFの他に、 PRESSO-LTD AGS には61MLがすでにラインナップされていますが、 それぞれの性能は大きく異なります。

61MLFは、 低伸度のPEやエステルの使用を前提として開発をしました。 そのためティップはかなり繊細 で、 低伸度のラインの伸びない部分をティップが吸収してくれるので弾きにくいです。61MLは少しだけティップが入るテーパーなので、 ラインを問わずナイロン、 フロロ、 PE、 エステルと万能 に使用できます」

61MLFFはファーストテーパーの 『F』で、PEやエステルに特化させて使用する場合は61MLF、 ライン問わず万能に使用する場合は61MLという選択 になります。

 「低伸度ならではの感度のよさをいかして、 アタリを感じたら弾かずに、アグレッシブに掛けていきたい、 というのがこの2つのラインとの相性をよくさせた理由です」

 ルアーの関しては、 特に相性のいいルアーが1.63g台のやや重ためのスプーン。 フルサイズなど引き抵 抗が大きめのクランクベイト。 そして、 浮上系のロングリップのミノーが、 61MLFと相性のいいルアーになります。

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キャストや取り回しのよさでこだわる6フィート1インチサイズ

 使うアングラーによって個人差はありますが、 和田プロは巻きの釣りにおいて、 6フィート1インチが一番扱いやすいサイズ、 と感じています。

 「ルアーをコントロールするときの操作性、 ランディングのときにトラウトの動きをいなすロッドの取り回しやすさ。 そして、 キャストのしやすさなどトータルに考えたときに6フィート1インチが一番しっくりいく サイズだと思っています」

61MLFは、 キャストフィールが抜群です。 6フィート1インチという長さもさることながら、 ブランクのしなりや反発力が絶妙に調整されているからです。

 「軽くて振り抜きやすいというのはもちろんですけど、 ルアーのウェイトをバット部に乗せやすいんです。 そこから反発力を生かしてスパンとキャストすることができます。 比較的軽めのルアーでも、 思っている以上に遠くへ飛ばすことが可能です」

  沖を直撃したい状況では、 この優れたキャスタビリティは頼もしく感じられるはずです。

繊細なティップと張りのあるバットが絶妙のバランスを細部に至るまで妥協を許さずにテストを繰り返し、 その中でも和田プロが特にこだわったのがチューブラーティップのフィーリングとバット部分の張り具合です。 ティップはショートバイトでも、スッと初期掛かりさせられる繊細な柔らかさを求めました。 また、 絡みついてきたり、 強めのバイトでも弾かない柔らかさも重要になってきます。

 「しなやかさだけでいけばソリッドもありなんですけど、 引き抵抗の大きいルアーの場合、 バイト時に少しティップが入りすぎてしまうこともまれにあるんです。 そのため、しなやかさを持たせたファーストテーパーのチューブラーを選択。 様々な調子のティップをテストし、 感度もよく、 理想とする繊細なチューブラーティッ プを採用しました」

  バットの張り具合は、 MLとしては比較的マイルドなフィーリングで、 こだわりを持たせています。 具体的には キャスト時やファイト時など、 ある程度の負荷が掛かったらナチュラルに曲がってくれる調子になります。 それでいて、柔らかくはない粘りのある張りです。

「張りがなさすぎると、 操作系ルアーを動かすときにアクションが緩慢になって、 思い通りの動きをルアーに与えずらいです。 また、 遠投時のバイトがあってもタイムラグが発生して、 瞬時に掛けていくことも難しいです。 逆にバットが極端に硬くなると、 ファイト時の追従性が悪くなって、 魚が暴れやすいというリスクが上がってしまいます」

  繊細なティップ。 そして、 マイルドかつ粘りのある張りを持たせたバットセクション。 これらを絶妙なバランスで備え、 積極的に掛けにいくようは強気の釣りをしっかりとサポートしてくれるロッドフィールです。

 「最新のDAIWA技術を詰め込み、 進化した61MLF。 プロトモデルをトーナメントでも使用して早速成績を出せている実績のロッドです。 是非ご期待ください!」

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PRESSO-LTD AGSには『55XUL-S』と『61MLF』。そして、PRESSO AIR AGSには『55M-MT』と『510UL-E』のそれぞれ2モデル、都合4モデルが新たに追加ラインナップされました。この4モデルを3回にわたり、ご紹介していきます。今回は、55XUL-Sを高田達也さんが解説します。

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5フィート5インチのショートサイズがもたらすメリット。

 パワーは、軟調子のXUL(エクストラウルトラライト)。XULは現行のPRESSO-LTD AGSシリーズでは初めての採用で、先代のPRESSO-LTD AGSにラインナップされていた55XUL-Sの進化バージョンといった位置づけになります。

XULというパワーの表記だけを見るとソフトなロッドフィールに思われますが、実際に使っていただくと、それほど柔らかい、といった印象は受けません。サイズが5フィート5インチと短いこと。それと、単純に柔らかくしているのではなく、張りを少し抑えた柔らかさで設計しているからです。使っている感覚としては6フィート前後のUL、といったフィーリングになっています」

 5フィート5インチのショートサイズにすることで、取り回しが圧倒的によくなっています。トラウトがヒットしてからのロッド操作がしやすく、トラウトの動きをいなしながら主導権を握って寄せてくることが可能。また、ロッドを引き寄せてネットランディングするときも、取り回しやすいショートサイズだとスムーズにトラウトをネットに収めることができます。

「ネットインさせる直前って、ロッドのしなりを十分に生かすことができないんでバラしてしまうリスクが大きくなります。でも、それを最小限に抑えられるのがこのサイズなんです」

 サイズが短くても、飛距離への影響はほとんどありません。昨今の優れたロッドテクノロジーによって優れた反発力を実現させ、短いサイズでも十分な飛距離を確保してくれます。

「短いことにより、キャストしたときの振り抜け感は、かなり上がっています。気持ちよくキャストを繰り返せますし、キャストコントロールのアキュラシーも上がっています」

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ショートサイズ、ソリッド、XULのバランスが絶妙。

 ソリッドティップのMEGA TOPを採用しています。ショートバイトでもトラウトに違和感を覚えさせることなくナチュラルに初期掛してくれるし、絡みついてくるようなバイトに対しても、弾くことなくしっかりとフッキングしてくれます。さらに従来のカーボンソリッドよりも圧倒的に感度に優れたソリッドティップがMEGA TOPなのです。

「ショートサイズのブランクにソリッドティップを搭載したとき、ベリーからバットに張りを持たせるとロッド全体がバタついた感じになってしまうんです。キャストで振り抜いた直後にティップが慣性で暴れたり、ミノーやボトムバイブといった操作系ルアーをコントロールするときも、思い通りのアクションがつけにくくなります。これらを解消するためにXULのパワーを採用したわけなんです」

 ショートサイズにソリッドティップを搭載したのでパワーはXUL。さらにソリッドティップとXULとの組み合わせによって、取り回しやすい5フォート5インチにすることができました。それぞれの個性を損なうことなく、最良のバランスで出来上がったのが55XUL-Sなのです。

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ポテンシャルを最大限に引き出しルアー&ライン。

 様々なルアーをカバーする汎用性は持たせてありますが、55XUL-Sのポテンシャルを最大限引き出すためには使用ルアーや使う状況をある程度絞り込んだ方がよいでしょう。

「アタリの小さなショートバイトのときには、ソリッドティップを搭載したXULが頼もしく感じられます。甘噛みのようなバイトでも、フックをしっかりと口の中に残して初期掛かりさせてくれます」

 ショートバイトが多く出る状況では、アワセ方が重要になります。ビシッと強く合わせるのではなくスイープや巻きアワセで、優しくフッキングさせること。優しいアワセでもXULのアクションとソリッドティップが、しっかりとフッキングさせてくれます。

55XUL-Sと特に相性のいいルアーが、1g前後の軽量スプーン。アンダー1gスプーンでも、ブランクがしっかりとしなって適度な反発力によって、思った以上の飛距離を出すことができます。スプーンの他には、マイクロクランクもオススメですね。ヒットしてからのトラウトの動きへの追従性もいいので、バラしにくいんです。強いアタリに対しても弾かれずにオートマチックにフッキングしてくれます」

 ナイロンとエステルが、55XUL-Sと相性のいいライン素材になります。口に残して初期掛かりさせるオートマチックなフッキングで狙いたいときにはナイロン。小さなアタリをキッチリとキャッチして、掛けていきたいときにはエステル。状況に合わせたラインセッティングによって55XUL-Sのポテンシャルを、さらに引き上げることができます。

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