冬から春へ移ろうシーズンの攻略術

冬を引きずっているトラウトたちは多い

 少々タフだったウィンターシーズンは、水温の上昇と共に春のパターンへと推移していきます。しかし、一気にスパッと切り替わるわけではありません。冬から春に移るタイミングでの、的確な攻略術を高田さんが解説します。

「水温に着目してください。水温が二桁まで上がってきたら、冬から春パターンに変わっていく目安になります。ただし、10℃以上になったからといっても、ポンドにいるすべてのトラウトが春のコンディションになるわけではありません。まだ冬を引きずっている個体もいるし、水温89℃で春パターンになっている気の早い個体もいます。いろいろな状態のトラウトたちが混在している、ファジーなタイミングなんです。

 そして、三寒四温の春先ならではの気象にも、注意が必要です。ポカポカとした暖かな陽気だったのに、急に冬に逆戻りしたような寒い日がやってきて、フィールドのコンディションは安定していません。水温の上昇で確実にトラウトたちの活性は上向きですが、何を投げてもイージーに釣れるというわけではありません。春先ならではのパターンで攻めていかないと、納得のいく釣果を上げることはできません」

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フィールドコンディションの変化に注意

 春先は、トラウトたちのコンディションが目まぐるしく変わるのが一番の特徴です。三寒四温で、前日は暖かく表層でよく釣れていたのに、次の日は気温がぐんと下がって、ボトムにトラウトが集まる冬のような状況になることもまれではありません。

「日替わりでトラウトのコンディションが変わるだけでなく、一日を通してタイムセール的にコロコロと変わることもよくあります。表層で反応がよかったのに雲がかかって陽射しが遮られたり、風が水面を吹き抜けたりしただけで、レンジが下がる、といったこともあります。釣りをしながら、常にエリアを取り巻く環境の変化にも気を配っておく必要があります。風が吹いたり、陽が射してきたなど、ちょっとした変化を見逃さずに、それにアジャストさせてレンジやルアースピードなどをマメに変えていくことが、春先を攻略する基本となります」

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釣りをしながらでも、常にフィールドを取り巻く環境の変化に注意を払っておく。ちょっとした変化でも、トラウトの動きがガラリと変わる

動きが緩慢なトラウトも少なくない

 春先は、冬の状態を引きずっているトラウトが少なくありません。トラウトの冬のコンディションで特徴的なのが、動きが緩慢になること。動きが鈍り、スピーディにルアーを追ったり、長い距離を追うようなことはしなくなります。

「春先も、動きの鈍いトラウトは少なくありません。なので、ルアーセレクトするときに重要になるのが、ルアーのリトリーブスピードなんです」

 釣り始めてからのサーチではレンジを探るだけでなく、どんなスピードがいいのかも、併せてチェックしていくようにします。同じレンジをチェックしていくときにも、遅いパターンや速めのパターンと数通りのスピードで引いてみます。それで、どのレンジとスピードがいいのかを絞り込んでいくんです」

 スピードの調整としては、スプーンの場合、やや速めに引いてきたいときには1.21.6g、遅く引きたいときには0.81gを基準にするとよいでしょう。スプーンのウェイトは、単純に重いか軽いかだけでなく、スピードをコントロールするときにも重要な要素になります。

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ルアーのリトリーブスピードがとても大切。活性が上がってきたとはいえ、スピーディにルアーを追ってくる個体は意外と少ない

クランクもレンジ&スピードの調整が可能

クランクベイトは、春先に実績を上げているルアーのひとつ。スプーン同様に、こちらもレンジとスピードの調整が重要になります。

「表層付近をやや速めに引きたいときには、WABCRA Jr.SS(スローシンキング)のSR。遅く引きたいときには同じくF(フローティング)のSRを使うなど、同じクランクでも浮力や潜行深度の違いでスピードを調整することができます」

クランクベイト以外でも、春に高い実績のあるルアーがミノーです。ゆっくりと見せて喰わせる、という狙い方ではなく、シャープな動きによってリアクションでバイトを誘います。

「操作系ルアーのミノーの場合、注意しておきたいのが移動距離です。ロングジャークなど移動距離が長いと、冬から抜けきっていないトラウトはミノーに反射してもすぐに追うのを諦めてしまいます。スピーディでクイックな動きでもいいんですけど、移動距離を短めにすることが大切ですね。DOUBLE CLUTCHでジャーク&ポーズでの縦の誘いをするときには、急速潜航する距離と浮上していく距離は、あまり長くしない方がいいでしょう。ロッド操作ではなく、デジ巻きといったリーリングだけで細かい縦の動きを出してみるのも、かなり有効ですよ」

イージーに釣れる春のハイシーズンはもう少し先

 冬から春へ移行するタイミングは、トラウトたちのコンディションは一定ではなく不安定。少しでもトラウトたちのルアーへの反応が鈍ってきたと感じたら、すぐにルアーや釣り方を変えていくことです。同じカラーやルアーが長く釣れ続くことはまれで、目先をテンポよく変えてあげることが大切になります。

「ウィンターシーズンから春のハイシーズンまでの早春は、この季節ならではのパターンを組んでぜひ釣果アップしてください。4月に入りGW連休のころまでは春のハイシーズンになります。どんなルアーを投げてもよく反応するし、釣りやすい状況です。春の釣りを楽しんでくださいね」

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