2024秋シーズン、PRESSOにATTRA、NYORO CRAZY、WABCRA SLIMの3つのルアーが新たに加わりました。この3つとは別にもうひとつ、注目したいルアーがあります。それが、今回、和田さんに詳しく解説していただくWABCRA Jr.のSRモデルです。これまでWABCRA Jr.にはDRしかなかったのですが、ここに新しくSRが追加されたのです。
「DRだけではカバーしきれなかったトラウトや釣り方を、SRが確実にフォローしてくれます。すでにトーナメントでも実践投入していて(2024年12月現在)、いろいろなシーンで活躍してくれるし、助けてもらっているんです。頼りになるクランクベイトです」
充実した布陣のPRESSOのクランクベイトたち。WABCRA(上左)、WABCRA Jr.(上右)、NYORO CLAZY(中左)、WABCRA SLIM(中右)、そしてRIVECRA(下)
SRにはFとSSの2タイプを用意
今回、 WABCRA Jr. SRにはF(フローティング)とSS(スローシンキング)の2モデルが登場しました。
「FとSSを使い分けることで、 表層から中層レンジにいる魚に対して効果的にアピールをすることができ、 釣果を伸ばしやすいです。音とワイドなキビキビアクションで魚を寄せて、食べやすい一口サイズでバイトさせる欲張りクランクです」
小さなボディには和田さんのこだわりがたくさん詰まっています。そのこだわりを、詳しくご紹介します。
FとSSはアイ(目)の色で識別。Fはシルバー(写真上)、SSはオレンジ(写真下)になっていてセレクトするときに一目で区別がつく
ラトルの内蔵により音でもアピールをする
WABCRA Jr. SRには、ガラスラトルが1個内蔵されており、 音でもトラウトにアピールします。
「ラトルは、凄いパワーを持っています。 通常の動きに音が加わることで、 広い範囲に散った魚にアピールでき、 音が発生することで突然スイッチが入ってしまう魚も多くいます。サイトフィッシングだとよくわかるのですが、ボーッとしている魚がラトル音を聞いた途端にスイッチが入ってバイトしてくることがあります。 この小型ボディに音をプラスすることで、ボディサイズのアピールは弱いのに、音という泳ぎとは違った方向でアピール力を上げているのです」
ラトルを1個しか使っていないことにも、和田さんなりのこだわりがあります。
「ラトル音については、絶妙なサウンドに調整しています。 魚のスイッチが入りやすく、広範囲にアピールしつつも、魚が嫌がらないサウンド感。単純に音を大きくするだけでなく、誇張しすぎないで食わせ要素も持たせた音質にしています。これはテストを繰り返して魚に答えを聞きながら、このサイズのラトルを1個だけ搭載、という結論に至りました。 音だけでも、かなりのこだわりが詰まっています」
この絶妙なサウンドがより遠く、より深いところからも魚を呼ぶことができ、スイッチも入れることができるのです。
分かりやすいブルブル感と引き抵抗
マイクロ系のクランクベイトはサイズがコンパクトで小さく、また、リップも小さくなるために、どうしても手元に伝わるブルブル感や引き抵抗が感じにくいことがありました。しかし、WABCRA Jr. SRでは、分かりやすいブルブル感と引き抵抗も念頭に置いて開発を進めました。
「ブルブル感の伝わり方、引き抵抗の具合も入念にテストを繰り返しました。たくさんのサンプルを作り、アクションの伝わり方や巻き心地といったところに注意を払い、 リップ形状などを試行錯誤しながら煮詰めていきました。そして、やっと僕の理想とするアクション、そして、分かりやすいブルブル感や引き抵抗を実現することができました」
なぜ、 手元に伝わるルアーの動きは重要なのでしょうか......⁉ ルアーが泳いでいるブルブル感、引き抵抗を感じやすいと魚のバイトがとても分かりやすくなるのです。小型クランクはボディサイズが小さいため、サイズ感としては食わせ系です。 そのため魚は反転するバイトだけでなく、手前に押してくるバイトやルアーと同じスピードでバイトしてくることも多いのです。プルプル感が手に伝わっていると、そのようなバイトを感じやすくなるのです。ルアーから来る情報を分かりやすく、鮮明にすることが大切です。
「このブルブル感が伝わってくる中で、例えばそのブルブル感がスッと消えたときは、魚が手前に押してきたり、魚が泳ぐスピードとルアースピードと同調してバイトしていることが考えられます。そこでしっかりとアワセができれば、今まで逃していたヒットを確実にゲットできるようになるわけです。このほか、プルプル感があれば水中でルアーがどのように動いているのかも想像しやすくなりますし、バイトや魚がフックに触れたわずかな違和感もわかるようになるんです」
リトリーブさせると、プルプルとした感覚が手にダイレクトに伝わってくる。今までわかりにくかったアタリが、キャッチしやすくなる
FとSSの使いわけ
Fは浮力があるため、 SSに比べると動きのキビキビ感が強くなります。
「表層に魚がいる場合やサーチをする場面は、 まずFからスタートするのが基本です。 SSに比べるとキビキビ感が強くなるので、高活性の魚も呼びやすく、魚の目線より上を通しても効果的になります。水面直下のバジングから一段下レンジまで対応できます」
Fで状況を探りながら、 魚の反応によってはFでそのままカラーローテーションしていくこともよいでしょう。SSは、どのような場面で使用するのでしょう⁉
「SSは、あえて少し沈むように設定しています。これは、アンダー1gのスプーンを巻いている感覚で、WABCRA Jr. SRを様々なレンジでトレースしたいためです。一定に巻くことはもちろん、 水噛みのいいワイドリップの搭載により、巻き上げや巻き下げもしやすくなっています。スプーン感覚で使えるクランクベイトです」
状況によってFとSSの使い分けることで更なる釣果アップに繋がっていきます。
リングの大きさへのこだわり
WABCRA Jr. SRはフロントアイのリングサイズが#1、リアアイは#0のリングが標準で、 フロントアイのリングの方が大きくなっています。もちろん、これも和田さんのこだわりによるもの。
「小型のWABCRA Jr. SRは、 ボディもリップも小さいのでフロントフックの交換がしづらいときがありました。使いやすさ、フック交換のしやすさを求める中でフロントアイのリングを一回り大きくすることで、圧倒的にフック交換がしやすくなりました。大きくしたからといって魚の反応が悪くなることは全くありません。もちろん好みでリングサイズを変えても問題ありません」
フック交換のしやすさに対しても、こだわりのセッティングを採用しています。
ベリーとテールにセットしてあるリングのサイズが異なる。ベリーの方がワンサイズ大きい。これによってフック交換が圧倒的にしやすくなった
厳選した実績のカラーラインナップ
WABCRA Jr. SRは10色のカラーラインナップです。新しくリリースされたWABCRA SLIMと同じカラー展開になります。
「カラーラインナップは厳選に厳選を重ねた10色です。グローや蛍光、パール、食わせカラーと豊富な展開になります。この10色があれば、水質や状況問わずカラーローテーションが完結するほどの実績カラーです」
カラーについては、 次回ご紹介。 カラー詳細もお楽しみに!