Q7:「スローフォールカスタム40SS」はどんなときに使う?
小林:通常のシンキングモデルでは根掛かりが多発してしまうような、水深60cm未満のシャロー(浅場)で使います。とくに頼りになるのは渇水時。多くの河川には堰堤で仕切られているエリアがあり、そこに棲息する渓魚は、水位が下がってもほかのセクションへ避難することができず、元からいた水域に留まらざるを得ません。
つまり水が減っても魚はいる。しかし、普段水深が80cmある場所が50cmや30cmになってしまうと、ファストシンキング(速く沈む)ミノーでは着水後すぐに底に着いてしまい、根掛かりが頻発して釣りになりません。根掛けないようにすると、着水直後からボトムに着かないようにけっこうなスピードで引かなければならず、釣れない。そこでスローフォールカスタムの出番、というわけです。
スローフォールカスタムは、フォールスピードは遅く設定されていますが、アクションレスポンスは非常に高いので、着水後はスタンダードモデルと同様の使い方をすればOKです。渇水は渓魚にとってマイナス要素。活性が低いことが想定されますが、そういうときこそ"反射"を意識して、キレのいいアクションを心がけてください。スローフォールカスタムは"ターンの角度が深い"ので、狭いスポットでクイックに操作することが可能です。
ご使用上の注意があります。Q6でも言及したとおり、カスタムモデルは万能ではありません。渇水した河川が多かった2021年は、スローフォールカスタムによる釣果情報が多く、SNSもこのミノーの話題で盛り上がっていました。しかし、だからといって「コレだけあればOK」ではありません。渇水していても、ちょっとした深みや流れの速い瀬はそこかしこにあります。そうした場所でスタンダードモデルへローテーションせずにスローフォールカスタムを使ってしまうと、ミノーが沈むより早く流されてしまい、ねらったスポットやコースにきっちり通すことが難しくなってしまいます。
Q8、Q9で触れるダートカスタムやダイビングカスタムもそうですが、カスタムモデルだけでは渓流ミノーイングが成立しないこともあります。特徴を知り、その時の状況に上手く当てはめてこそ威力を発揮します。こうしたルアーセレクトも渓流ミノーイングの醍醐味ですね。