渓流魚の食性は!?

Q4-1:ヤマメやイワナは普段からミノー(小魚)を食べている?

小林:いいえ、食べていない個体も多いと考えられます。大学の研究室で1,000尾単位の渓魚を扱ったのですが、ヤマメやイワナは小魚をほとんど食べていません。エリアによっても食性は違ってきますが、おおむね25cm未満の渓魚の主食は虫です。25cm以上の渓魚でも、エサとなる小さい魚が少ない小渓流では、やはり虫を食べています。

「それなのに、なぜ小魚を模したミノーでヤマメやイワナが釣れるのか」ということになりますよね?

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 それについては、生態学の見地とアングラーとしての経験から、捕食行動以外の要素が大きく関わっている可能性があると考察できます。前提として、主食が小魚の渓魚しかミノーで釣れないわけではなく、むしろ虫を主食にしている渓魚もミノーに好反応を示します。

 私は、渓魚がミノーに反応する要素はおもに3つあると考えています。1つは食性、2つめは好奇心や反射行動、3つめは縄張りを守るための威嚇行動です。

 まず、食性についてはそのまま、「ミノーをエサと認識して食ってくる」ケースです。次の好奇心や反射行動は、食性や威嚇行動とも関係してくるのですが、「注意や興味を惹かれるモノを、思わず追ってしまう」ケース。最後の威嚇行動は、「自分の縄張りに入って来たモノを、追っ払うためにアタックする」ケースです。つまり、小魚をエサにしていない渓魚もミノーに食いついてくる要素には、捕食以外の好奇心や反射、威嚇が大きく関わっていると考えています。

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解説:小林将大(こばやし・まさひろ)

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1986年生まれ、東京都在住。幼少期に魚類図鑑を見てイワナやヤマメの美しさにひとめ惚れ。大学では、水産学部でサケ・マス類の生態について学びながら、岩手県を中心に東北の渓でルアーフィッシングに没頭していた。ピンスポットキャストを得意とし、生態学に基づく釣りを展開する。

2022年3月

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