遠投のコツ。楽に遠くへ投げるには。

文・写真/松尾幸浩 まつおゆきひろ

1954年兵庫県三木市生まれ DAIWAフィールドテスター

全日本サーフキャスティング連盟 兵庫協会 神戸投翔会名誉会長

 

 

私がエンジェル・ジュニアサーフに入会したのが高校1年生の15歳の時。必然的に全日本サーフキャスティング連盟兵庫協会に所属することになり、それから光陰矢の如し、今年で半世紀を迎えることになりました。本当にあっと言う間の50年でしたが、健康で好きな釣りを続けることが出来たので、両親や家族には本当に感謝の言葉しかありません。

 

全日本サーフキャスティング連盟はキス釣りや大物釣りを行っているのみならず、陸上でロッドとリールを使って飛距離を競うスポーツキャスティングというものを実施していることを入会して初めて知りました。学生時代は陸上競技(長距離)とハンドボールをやっていたので、足腰と腕、肩には自信がありましたが、身長168cm、体重65kgと小柄なので最初はオーバースローで100mを投げるのに四苦八苦しました。そこで、その当時から200m近く飛ばしていた先輩のクラブ員に指導してもらい、釣りよりもスポーツキャスティングに重点を置いてST種目の練習を続けると、リールを持つ左手(私はサウスポー)の使い方が素晴らしいと褒められました。これはキャストした時に左肩の後ろからリールを持った手が頭のはるか上を超えて弧を描く様子のことで、飛ばす人にはよく言われる振り幅が大きいということでした。

これで飛距離はどんどん伸び、オールジャパンキャスティング大会では199mの最長飛距離をマーク。第4回ジャパン・トップ・キャスターズにも優勝することが出来ました。

それから数々の大会で優勝することが出来、印象に残っているのが、ST種目からスウィング投法に変更して、ジャパンワールドキャスティング大会の一般の部(道糸3号、ちから糸あり、オモリ25号)で192.45mの最長をマークして優勝することが出来たことです。また、中華民国の全国遠投競技大会では第4種目(道糸2号、ちから糸あり、オモリ15号)で211.50mをマークして見事優勝。また第3種目(道糸5号、オモリ15号、ちから糸なし)では最長154.44mをマークして日本新記録も樹立しました。

今は秋の大会に向けて練習を再開しているところであり、新しく装着したスポーツキャスティング専用設計の「RCSサーフスプール45COMPETITION」を使用して上位入賞を目指したいと思います。

本当に今思えば夢のように強い時期もありましたが、残念ながら小柄な体格と、五十肩や年齢とともに体力が低下を感じ始めました。60歳をはるか過ぎると目に見えて飛距離ダウンが感じ取られたので、昨年の7月からジムに通いパワーアップするため体力維持に努めています。その甲斐もあり、昔取った杵柄、まだまだ、最大限の飛距離は出せています。以前は釣りでもトーナメントプロキャスター35号の425を軽々と振っていましたが、今は硬くても33号、普段の釣りでは30号を主に使用しています。振れる、振りやすいを念頭に置いた号数選択により、胴を曲げる投擲ができています。

また、振りやすいというのも最大の要因の一つです。力だけではなく、より効率よく投げるためにも、スウィングスピードを上げることが重要です。このためには、4.05mよりも3.85mのショートロッドを選ぶと思った以上に振りやすく飛距離も期待出来ます。このような長さはトーナメントプロキャスタースカイキャスターにラインナップされており、トーナメントプロキャスターでは30号の405と比べて、20cm短いことも貢献して重さでは25gも軽量しています。

この差があることにより一日中振っても振りやすく、狙ったポイントに精度高いキャストが出来、また疲れも軽減出来ます。そして、使用するリールも重要な要素となります。折角、フォームが完璧になっても投げ専用の大型リールを使用しないと思ったほど飛距離はアップしません。私はトーナメントサーフ45を使っていますが、スプールストロークの長さが45mmもあり、また、テーパー角別専用設計の「LCスプール」で最大限距離を稼ぐことができています。自重も395gと非常に軽く、スウィングスピードも速くなって遠投性能は抜群です。

 

では、非力でもより遠くへ飛ばすことが出来るでしょうか?

このためには先ほど述べたように、「曲げられるロッド」を選ぶことです。体力があまり無いのに、35号や40号の硬調子のロッドを選ぶとロッドに負けてしまいます。先ず、胴が曲がらないのでコントロールがつきません。キャスト時に無理なフォームになり、ちから糸を離すタイミングもバラバラになるからです。そのため、硬いロッドよりも振りやすい、胴を曲げられるロッドを選ぶことが大切です。トーナメントプロキャスタースカイキャスターでは27号があり、またプライムキャスターパワーキャストでは25号もラインナップしています。

 

硬過ぎるロッドを曲げようとすると、リールを持った利き腕を真っ直ぐに押し出す傾向になり、飛距離を生み出すために大きく撮らなければいけない振り幅が小さくなってしまいます。昔から手首を軽く曲げてスナップで投げるなどと言われていますが、飛距離を出すためには体重移動を行って腰で振る方がいいと思います。現在のロッドは3DXやSVFカーボンでその反発力は凄まじく、またV-ジョイントのお陰で強度アップとスムーズな曲がりを実現していますから軽い号数の竿でも、上手く竿を曲げることができれば飛びます。

 

飛ばすために必要なテクニックは何度も言いますが、「ロッドの胴を曲げろ!」これが重要です。

 

ロッドの反発を生かすためにも出来るだけ胴を曲げるために、キャストする場合には遠心力を利用しますが、ロッドのトップガイドから、ちから糸のオモリまでのタラシは長いほど遠心力は大きくなり、胴に負荷をかけてくれます。この遠心力を大きくするため、リールの前後ぐらいまでタラシを取る回転投法を使いますが、慣れないとコントロールは非常に難しいです。

飛距離がまぁまぁ出なくてもポイントの狙ったところへコントロールよく仕掛けをキャスト出来る方が重要となる場合もあります。このような場合は、比較的コントロールも付けやすく飛距離も出るスリークウォータースロー(V字投法)でキャストするのがお勧めです。この場合のオモリのタラシは2番のバットガイドの位置ぐらいがいいと思います。フォームは野球のピッチャーの動作と良く似ており、軸足に体重を乗せてキャストを開始すると体重が移動して腰が入り、最後に正面を向いて胸を張る。リールを持つ手は出来るだけ頭の上を通るように弧を描くのがベストで、この一連の動作が重要ですね。文字で伝えるのにも限界がありますので、飛距離アップを望むならキャスティングの上手な方にコーチをお願いするのが一番の早道だと思います。

出来れば冬場にランニングして足腰を鍛え、筋トレでパワーアップして先ず丈夫な身体を作ることも重用になります。それからキャスティング練習をして少しでも飛距離アップが出来るように精進することが大切だと思います。

 

飛ばせることのメリットは、何と言っても魚の居るポイントを広範囲に探れることです。100mしか投げられない人は150m先の魚を釣ることは決して出来ません。特にキストーナメントではこの差が歴然であり、沖合の深場までキャストできる人はキスの型も良く重量勝負になると遠投力のある選手が有利になることが多々あるからです。

 

最後にタックルの小物類も飛距離を出すためには重要な要素となります。完璧な投法と最適な小物類を合わせて使うとより飛距離がアップします。先ず、ラインは細いほど空気抵抗が軽減されて飛びます。現在ではPEラインを使用するのが主流ですから、一番細くて耐磨耗力が大幅にアップ、コスレにも強い「サーフセンサーネオ+Si」の0.3号―300mがお勧め、そして、キャスト時の強い衝撃でも安心の強度がある「サーフセンサーハイパーテーパーちから糸+Si」の0.8号~6号を結びます。また、キャストによる指先へのダメージを軽減するために「グルビタフィンガー」を使用し、オモリは高比重タングステンを使用し遠投性と感度を両立したTGフロートシンカーを、使用するロッドの硬さによって25号~30号を使い分けていきます。実釣では飛行時の仕掛けの抵抗も大きく、ハリ数を少なくするのも飛距離アップにつながりますね。

 

この中で出てきた商品の詳細情報は下記商品名をクリックしてご覧いただけます。

トーナメントサーフ45

RCSサーフスプール45COMPETITION

トーナメントプロキャスター

スカイキャスター

プライムキャスター

パワーキャスト

サーフセンサーネオ+Si

サーフセンサーハイパーテーパーちから糸+Si

グルビタフィンガー

TGフロートシンカー

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