PRESSO PRESSご愛読の皆様
今回のPRESSO PRESSは「SILVER CREEK STREAM TWITCHER」の開発の話です。
3回目となりますので、1回目、2回目をお見逃しの方は是非、ご覧いただければと思います。
--------------------------------------
■前回まとめ
・リリースポイントを掴みやすく、且つ、ネジレを抑制
→ 曲げ方向のカーボンマテリアルの弾性率を調整し、懐を広く。
そして、X45でネジレを徹底的に排除。
・上記を反映した53ULプロト第1号を制作
→ 結果は失敗…リリースポイントが非常に狭くなってしまった。
実釣でのアングラーの動きを考察し、新たな仮説を立てる。
■53ULが使用されるシチュエーションとは…?
53ULの実際の使用シーンを観察すると、殆どが「サイドキャスト」、
「バックハンドキャスト」等の「狭い場所で“竿に仕事をさせて”投げる」キャストが
殆どであるということが見えてきました。
例えば3'8''や4'8''というショートレングスは、その短さを活かし、
狭い場所でも比較的スピーディーに振りぬいてルアーを飛ばすことが出来ますが、
遠い場所のルアー操作や大場所での遠投は苦手であるという傾向にあります。
それに対して、5'3''というレングスは、障害物が多い場所では、
振りぬくようなキャストではなく、力まず、小さなキャスト動作でピンポイントを打っていく
ような感覚です。一方で長さを活かしたルアー操作や遠投はショートレングスよりも得意であり、
日本の渓流に於いて、所謂スタンダードレングスという位置づけが可能です。
■対・ネジレの最適値
コンパクトな動作のキャストでは、竿先は、単なる前後の運動だけでなく、
手首のスナップにより三次元的な円弧を描き、竿全体がネジレながら追従していることが見えてきました。
では、この際に、竿が“ネジレなさすぎる”とどうなるか・・・?
竿を“ネジりながら”ルアーを飛ばしたいのに、ネジレを抑制しすぎてしまうと、
釣り人の意思に反して竿はすぐに元に戻ろうとしてしまいます。
結果、リリースポイントが狭くなってしまうい、竿がいうことを聞いてくれません。
これがプロトタイプ第一号の失敗の主な原因であると考えられます。
では、反対に“ネジれすぎる”とどうなるか…?
第1回で述べたように、穂先の遊びが収まらず、弾道が浮いてしまい、
余分な糸ふけが出てしまう原因となってしまいます。
つまり、スイング中は適度にネジれながら追従し、
リリース後はネジレが収束し弾道の浮きを抑制する“対・ネジレの最適値”を見つけることが、
第一回で述べた「リリースポイントと収束」という矛盾の解決の糸口のひとつであったわけです。
■アイテム紹介
53UL・・・振りぬくようなキャストではなく、柔らかなサイドハンド、バックハンドで
近~中距離を打っていく、日本の渓流におけるスタンダードモデルです。
やわらかいキャストであってもルアーの荷重を感じ、リリースポイントが掴みやすく、
また、適度な収束により、無駄なラインスラックを出すことなく、安定した弾道で
ルアーを飛ばすことが可能です。
56L・・・53ULよりも比較的ハリがあり、また、収束も早く、ピンシャン傾向にある調子です。
里川や開けた渓流域・中流域に於いてサイドハンド・バックハンド、或いはオーバー
ヘッドでしっかりと竿を振り抜き、飛距離を出すようなキャストに向いています。
63L・・・53UL、56Lが可変テーパーであるのに対し、63Lは比較的素直なクセの無い調子といえます。
先からスムーズに淀みなく荷重が移動し、オーバーヘッドで大きな飛距離を生むことが可能。
中流域やバックウォーター等、様々なシーンに対応する遠投性・汎用性の高いモデルです。
----------------------------------------------
何度も試行錯誤を繰り返し、開発を続けてくれたロッド設計者のコラムでした。
これから緑が深くなる時期となりますのでショートレングスのロッドの出番が増えてくることが
想定されます。河川・シュチュエーション・使いたいルアーに合わせて様々なロッドの
組み合わせが考えられますので是非参考にしていただければと思います。
前回も紹介させていただいたのですが、小林将大フィールドスタッフが動画によりロッドの
解説をしてくれております。
URL:https://youtu.be/Crt3SRyBLjs
実釣の中でいろいろなお話をしていただいております。
また、シャッド、スピナーの動画も公開しておりますので、
こちらも合わせて、ご覧ください!
SC SHAD50F 解説動画
URL:https://youtu.be/bhgOclxeZzQ
SC Spinner 解説動画
URL::https://youtu.be/QlQj78qHVDE