タフだけど夏はレベルを上げる絶好のシーズン。
真夏のエリアフィッシングは、少々手強いタフなシーズンになります。冷たい水を好む冷水系のトラウトたちにとって、サマーシーズンのポンドの高水温は活性を下げてしまう大きな要因。人間同様にトラウトたちも夏バテをするのです。
「水温15℃までは、トラウトたちは元気な状態をキープしてくれます。でも、そこから徐々に水温が上がりだすと、活性は少しずつ下がり始め、18℃を超えると夏バテ状態。このあたりから、サマーシーズンに突入、といった具合になっていくわけです」と高田達也さん。
しかし、サマーシーズンに入って暑さでトラウトたちはバテ気味とはいえ、全く釣れなくなるわけではありません。サマーシーズンのトラウトのコンディションを把握し、的確にパターンを組み立てていけば、必ずトラウトたちは応えてくれます。
「この季節、漠然と釣りをしていては、なかなか結果は出ません。パターンを模索しながら攻めていかないといけないわけですが、逆にいえば、スキルを上げていく絶好のシーズンでもあるんです。思うように釣れなければ、釣れない原因を探さないといけません。釣果を上げるには、常にいろいろなことを考えて釣らないといけないのがサマーシーズンで、これが、レベルアップさせてくれるんです」
高水温が苦手なトラウト。エリアのサマーシーズンは少々タフになるが、パターンをキッチリと組み立てていけば、釣果は出せる。
活性を下げる要因を把握してポイント選び。
サマーシーズンは、高水温が低活性の引き金になります。そして、もうひとつ、活性を下げるファクターが溶存酸素量の低下です。溶存酸素とは、水中の溶け込んでいる酸素のこと。水温が上昇することでこの酸素量が低下し、トラウトたちは息苦しさを覚えてしまうわけです。
「サマーシーズン攻略のひとつに、ポイントのセレクトが挙げられます。高水温と溶存酸素量の低下が活性を下げるわけで、このふたつがポイント選びでのキーになるんです」
水温が上がりにくいところ、そして、溶存酸素の豊富な水があるところに、トラウトは溜まりやすくなります。水温が上がりにくい場所がシェード、そして、インレットなどの水がよく動く場所です。
「シェード狙いでは、日陰の中のど真ん中よりも日陰と日向の境目の辺りに、やる気のあるトラウトがいることが多いです。その周辺を重点的に攻めていくといいですね」
水がよく動く場所は、水温が上がりにくいというだけでなく、酸素が多く溶け込んだフレッシュな水を供給してくれる場所。インレットやアウトレット、水車回りなど水のよく動く場所はサマーシーズンでは外せないポイントになります。
「水があまり動いていなくても、噴水や散水といった周辺にも、トラウトが溜まりやすいですね。水しぶきが水中へ酸素を供給してくれるので、溶存酸素量の多い場所になるんです」
インレット。水の動きが激しく、水温は極端に上がらず、さらに、相損酸素が豊富な水が流れ込んでくる。
散水や噴水回り。水があまり動いていないようでも、水面を叩く水しぶきによって酸素が水中に供給される。
シェード(日陰)と日向の境には、やる気のあるトラウトが溜まりやすい。その付近を重点的に探ってみよう。
コンディションの変化にも注意を払っておく。
ポイント選びだけでなく、ポンドを取り巻く環境の変化にも、細心の注意を払っておきたいです。
「特に注意しておきたいのが風。風が吹いて水面が波立つことで、水中に酸素をたくさん供給してくれるようになります。それまでニュートラルになっていたトラウトたちが、急にルアーへの反応がよくなりだすことも珍しくありません」
風が吹いてきたら、チャンス到来の合図。表層付近を徹底して狙っていくようにします。このほか、太陽に雲がかかり日照が弱くなったタイミングでも、急に表層付近にいたトラウトの活性が上がることもあります。
「周囲のコンディションのちょっとした変化を見逃さず、それに合わせて臨機応変に狙っていくことも、サマーパターン攻略ではとても大切なことになります」
フィネスとリアクションを使い分けて攻略。
ルアーでの攻め方は2パターンあります。デッドスローに動かし、じっくりと見せてバイトを誘うパターン。もうひとつが、シャープでスピーディーな動きのリアクションで狙うパターン。静と動の両極端で攻めていくのが、サマーシーズンのセオリーになります。「夏バテのトラウトはルアーに反応しても、それを速く長く追ってくることはありません。
ですので、トラウトが追いつけるスローな動きで誘うのが鉄則になります。巻きのスピードが速いと、すぐに諦めて追うのをやめてしまいます。ルアーへの反応が鈍く、あまりやる気のないニュートラルになっているトラウトに対しては、目の前をゆっくりとルアーを巻いてきても興味を示しません。こんなときは、強制的にスイッチを入れるリアクションが効果的なんです」
デッドスローでフィネスに攻めていくときには、マイクロスプーンやクランクベイトを使います。ただし、フルサイズのクランクベイトだと、波動が強すぎて逆にプレッシャーをかけてしまうこともあります。クランキングでは、そのあたりにも気を付けながら使うようにしたいです。リアクション狙いのルアーがミノーやボトムバイブ。いわゆる操作系のルアーです。ジャークやトゥイッチ、ボトムバンプなどのシャープな動きでリアクションバイトを狙っていくのですが、このときに注意してほしいのが移動距離。キレのある動きは重要ですが、その時の移動距離が長いと、すぐにバイトするのを諦めてしまいます。キレはあるけど移動距離の短いアクションを入れた後は、ちょっと長めのポーズを入れて喰わせるタイミングを与えてあげることが重要になります。
「攻め方のローテーションは、最初はスローな釣りで狙っていきます。それである程度釣り切ったと思ったら、リアクションの釣りにスイッチします。初めにリアクションの強い釣りからスタートすると、そうでなくてもタフになっているトラウトたちにプレッシャーを与えてしまうことになりかねません。それともうひとつ。トップウォーターもサマーシーズンには必須のルアーになることを覚えておいてください。活性が上がって表層に集まりだしたタイミングでは、ポッパーを使いたいですね。夏場は水面上を飛び交う虫も多くなりますし、水面に浮くものに対して興味を持っているんです」
体調管理に気を配り、快適に釣りをすることも夏の攻略術。
ここ数年、猛暑が続いています。トラウトも暑さでバテ気味ですが、アングラーも暑さに備えてエリアフィッシングを楽しみましょう。
「小まめに水分を補給するなど、熱中症には十分に気を付けてください。猛暑の中で釣りをするときには、体調管理を怠らない。これもサマーシーズンを攻略するうえでの大切なことです。