SILVER CREEKに新しいアイテムがラインナップされました。TRAD、GLASS PROGRESSIVE、そしてMINNOW JOINTです。前回はTRADを詳しくご紹介しました。今回はGLASS PROGRESSIVEとMINNOW JOINT。この開発を担当した小林さんに詳しく解説していただきます。
GLASS PROGRESSIVEは既存のロッドシリーズで、ここに2モデルが新たに追加されました。MINNOW JOINTは全く新しいモデル。ネイティブストリーム用のミノーとしては、ジョイントタイプはかなり珍しい存在です。
グラスロッドならではの性能とメリット。
GLASS PROGRESSIVEにはこれまでに6モデルがラインナップされていて、そこへ今シーズンに2モデルが追加、都合8モデルになっています。ここでは、この追加2モデルを詳しくご紹介したいと思います。と、その前にGLASS PROGRESSIVEシリーズ全体の特徴を解説します。
「このネーミングの通り、シリーズ全てのモデルがグラス素材を採用しています。グラスロッドの特長は、カーボンフィールではなかなか出せない粘りです。この粘りは、渓流魚をヒットさせてファイトしているときに実感できます。魚のローリングなど、様々な動きにブランクが追従してくれてバラしを軽減してくれます。また、粘りというかグラス特有の伸びが、ルアーを操作したときに引っ張りすぎない、水に馴染むようなアクションを可能にしてくれるんです」
グラスロッドというと、ちょっと重くなりがち、といったイメージをお持ちのアングラーも少なくないのでは⁉ GLASS PROGRESSIVEでは、DAIWAの誇るロッドテクノロジー『SVF GLASS』の搭載によって、そんな不安を一蹴してくれています。このSVF GLASSはレジン量を減少させグラス繊維を密にしています。その結果、従来のグラスロッドよりも軽量化が図られ、キャストしたときのダルさも抑えることができました。
「口径が大きめのガイドと絶妙なガイドセッティングで、キャストフィールがグラスロッドとは思えないほどいい感じで投げられるんです。2g台の軽量ルアーでもピシッとキャストが決まるし、気持ちよく使えるロッドです」
では、新たに加わった2つのモデルを個別にご紹介しましょう。どちらも4ピースのマルチピースロッドになっています。
48UL-G・4
まずは、4ピースのメリットについて少々解説します。
「携帯性が高くなる、というのはもちろんなんですけど、源流などちょっと険しいフィールドでは、両手を空けて先に進みたいことがあるんです。そんなときに、携帯サイズがコンパクトになるマルチピースだとザックに収納することができて、両手を使えて安全に行動できるのです。それと、私の場合、釣行のときは1セットしか持たないことが多いのですけど、マルチピースだともう1セット余計に持っていきやすくなります。二刀流になるので、使えるルアーの幅が広がるし、また、いろいろなフィールドに対応できて楽しさも釣果も上がりますよね」
さて、48UL-G・4のご紹介です。取り回しのいいレングスになっています。小渓流や沢など、対応フィールドの守備範囲が広いモデルです。ルアーもスピナーやスプーンのリトリーブの釣りからシンキングミノーまで広く対応します。
「4ピースですが、グラスならではの粘りが損なわれているようなことは一切ありません。ちょっと大型の魚がヒットしても、追従性のよさはGLASS PROGRESSIVEの他の2ピースモデルと遜色ありません」
46ULB-G・4
アキュラシーに優れ、渓流・源流域でピンポイントに攻めていきたい状況で大いに活躍してくれるモデルです。SVF GLASSにカーボンをコンポジットさせることでグラス特有の粘りはそのままに、カーボンの持つ感度や操作性も併せ持っています。
「4ピースなので、確かにテーパーの曲線は2ピースとは異なってきますが、魚がヒットしてロッドが曲がったときの追従性は、2ピースと変わりません。キャストもビシッと決まって、心地よく使えるロッドです」
変化してきている渓流に対応させたジョイントタイプ。
MINNOW JOINTは御覧の通り、ボディが連結しているジョイントタイプになっています。ネイティブストリーム用のミノーとしては、ジョイントモデルはかなり稀有な存在です。もちろん奇をてらってのジョイントではなく、これを開発したのにはいろいろな理由があります。
「昨今の渓流のコンディションとして、渇水しているシーンによく出くわします。以前のような釣り方、狙い方だけではだめだと考えたんです。そこで、開発に着手したのが、このMINNOW JOINTです」
渇水になると、当然、水深が浅くなります。浅い場所でのファストシンキングミノーだと、着水からあっという間に着底してしまいます。着底を少し遅くさせるために、シンキングスピードをゆっくりにすると、今度は魚がミノーを見切ってしまい、口を使わなくなってしまいます。MINNOW JOINTはシンキングタイプになっていますが、スローシンキングに近い少しゆっくり目のフォールスピードに調整されています。ゆっくりのスピードですが、フォール中でも水流によってジョイントのボディをクネクネさせながらアピールし、魚に見切る余裕を与えません。
「開発では、アクションにもかなりこだわりました。リップの角度を少し立て気味にしたんです。トゥイッチを入れたときは、クネクネと動き出し、それが止まるときは急ブレーキがかかったようにビタッと停止します。慣性がほとんど働かずに急制動します。立ち気味のリップが水の抵抗を受け、また、折れ曲がったボディのテール部分にも水の抵抗を受けるため、従来のシングルボディのシンキングミノーでは出せない急制動が可能になったんです。渓流魚を翻弄するジョイントならではの動き、そして、渇水でスポットが狭くなった場所でも、慣性がつきにくく急制動する性能は頼もしく感じられるはずです」
安定性はしっかりと持たせていますが、破綻しない限界寸前のバランスで設計しているため、ロッド操作によって暴れるような動きを出すことも可能です。ジョイント系ミノーが、これからのネイティブストリームに新風を吹き込む。MINNOW JOINTは、そんな予感をひしひしと感じさせるルアーです。