2017年8月アーカイブ

文・写真/中本嗣通   1959年大阪府生まれ。DAIWAフィールドテスター。投釣倶楽部大阪会長。投げ釣りの他、ビートルズ、昭和のプロレスを愛する。

 

今年も梅雨が明けました。とたんに真っ赤に燃える太陽から放たれるキツイ陽射しと、朝から容赦なく鳴き続けるセミの相乗効果によって、「ホンマ、クソ暑いわ」としか言えない真夏がやってきました。この7月~9月といえば、できることならクーラーの効いた涼しい屋内で冷たいカキ氷でも食べて過ごしたいところですが、暑い夏だからこそメッチャおもしろい体験ができる投げ釣りもあります。ダラダラと滝のように汗を流し、寄ってくる羽虫を避けながら竿を振り続けていれば、きっと投げ釣りの女神様から“好釣果”という素敵な御褒美を賜れると信じて、夏の週末は進んで海へと向かいまひょ♪

 

さて、そんな猛暑の時期に僕らが遊び楽しむ投げ釣りで魅力のあるフィールドといえば、なんてたって砂浜や砂利浜、ゴロ石浜といった海岸線の「サーフ(SURF)」で決まりです。…とはいっても、真昼のサーフは我慢できない灼熱地獄に陥る上に波打ち際で水遊びする子供たちも多く、釣れる魚も小型中心になる傾向が強いことから、僕ら大物志向のキャスターは陽が傾き始める時間帯から行動を開始する夕マズメ狙いに「変身」ですわ。

 

そのスタートとなる“夕マズメ”は、明るい日中には各種ストラクチャーの物陰で身を潜めていた警戒心の強い良~大型魚がエサを求めて捕食行動を始め、活性を上げて回遊する好時間帯に違いありません。さらに、この夕マズメに「込み潮」という要因が加われば、潮に乗った魚が岸近くへと接岸しやすくなるのでチャンスはグッと膨らみます。そのタイミングに回遊路と予想されるポイントにエサを置いて待ち伏せをすれば、狙いのターゲットが派手なアタリを出してくれるって寸法です。

 

また、夕マズメと同様に魚が活性を上げる夜明け前後の“朝マズメ”もチャンスでっせ。

やはり込み潮や満潮から引き始めといった潮が動く要素を条件に加えると、より釣果の確率アップが図れます。たしかに一般的な通しの夜投げもおもしろいのですが、条件によってはアタリの遠い時間帯も多いことから、前述したような潮の動きがリンクするマズメ時の4~6時間に狙いを定め、その時間内を集中して釣る“時短釣行”が意外と効果的に好釣果を上げるスタイルかも知れまへんな ❤

 

ところで、真夏のサーフで狙うターゲットといえば、まずはイの一番に思い浮かべるのが投げ釣魚を代表する『シロギス』です。そのシロギスのなかでも、僕らが狙うのは25センチ~尺寸前後の「大キス」と呼ばれるサイズ。ポイントとしては砂底に小さなシモリや海藻帯が点在するようなスポットや、底潮や離岸流によって作られたカケアガリ付近が挙げられ、マズメ時も含む夜投げならば水深5メートルを切るような浅場でもノープロブレム。要は釣果実績が数多くあって大キスが高確率で回遊してくると予想できる釣り場、ポイントを選んで竿を出すことが重要です。

 

 

そんなサーフからの大キス狙いに使用するロッドは、複数本を『サーフスタンド750』に並べてアタリを待つ「置き竿スタイル」が主体になることから、機動性で優れる振出タイプの選択がベター。しかも、遠投性や強引な巻き寄せが得意な硬調アイテムは不要で、何よりも大キスが発する刹那のアタリに追従し、食い込みに対して優位性を生みだす軟らかい穂先を持つ軟調のロッドが適しています。僕的には、三代目赤サーフこと『トーナメントサーフT』の25号-425 Wや27号-425 Wというアイテムがドンズバやと思います。

 

この三代目赤サーフならば、継目で起こるパワーロスを軽減させる「Ⅴジョイント」やネジレ防止機構「X45」の搭載によって、老獪な大キスに警戒心を与えないために使用する着水音の小さな15号前後の軽い天秤オモリを100メートル近くの遠投ポイントまで飛ばすことも可能です。また、同じポイントで不意に乱入してくるマゴチやクロダイといった大型他魚がハリ掛かりしたケースにおいても、軟調ロッドとは思えないパワーと粘りを発揮してくれることで不安なく取り込みができまっからネ。

 

さらに、リールをガッチリと固定するスクリュー式の「バーミングシート」や、ラインの種類を選ばず的確な糸さばきを可能にする「遊動Kガイド」、定番の「ファインピッチガイドロック」といった実釣時における不要のトラブルを軽減する装備も充実しているので、まさに大キス狙いには死角なし。しかも、軟調の425という長寸アイテムだから波打ち際まで巻き寄せてから横走りまで見せる大キスの抵抗をダイレクトに味わえ、その釣り味のよさは長寸ロッドならではのもの。この心地よい釣り味は、チョイ投げ用のショートロッドでは決して体感できないと思いまっせ。もちろん長寸ロッドであるがゆえ、取り込み時には「手前の障害物等をかわしやすい」というアドバンテージも発揮してくれます♪ 

 

三代目赤サーフに装着するリールといえば、ドラグ付き投げ専用リールの大定番機種である『パワーサーフQD』。大キス釣りで最大のハイライトである「突然の激信」の対応策として、ドラグを緩めて魚の引きに応じてスプールを逆転させることで自動的にラインを送り込み、食い込みを補助する“ドラグフリー”はハズせない釣法です。ドラグフリーを実践していれば大キスの激信と同時にカン高いドラグ音が釣り場で鳴り響き、その瞬間に憶える興奮&高揚感は、まさにこの釣りならではのエクスタシーでんな。そんなドラグフリーを簡単に操作できるのが、パワーサーフの「クイックドラグ(QD)」機構。このダイワが開発したQD機構は、現在では乾坤一擲の大物ターゲットを狙う投げ釣りには欠かせない必須の機能だといえます。

 

そして、パワーサーフには塩ガミ等のトラブルを引き起こす原因となっていたリール内部への海水やホコリの浸入を遮断し、初期の回転性能を長期間にわたってキープするダイワ独自の防水・耐久テクノロジーである「マグシールド」をはじめ、特殊形状による軽量化でレスポンスのよい回転を実現した「エアローター」、ライントラブルを減らす滑らかな形状と中空構造で強度アップした「エアベール」等が搭載されたことでストレスの少ない快適なリーリングを実現しています。

 

パワーサーフのスプールに巻くラインは、エサ取りの小さなアタリもキャッチすることで効率的な打ち返しができるPE素材の『サーフセンサー+Si』2~3号に、リーダーとして『サーフキャスター力糸』の5~12号を結ぶのが僕の選択。伸びが無いことで「穂先の抵抗が大キスへ伝わりやすい…」と置き竿でのPE使用を嫌う人もいますが、個人的にはドラグフリーとの併用で食い込みに対するリスクは軽減することから、さほど気になりまへん。オモリは前述したとおり軽めの15号前後を選択するケースが多いことから、僕は市販の遊動天秤に『フロートシンカ― G』を装着して使用。フロートシンカ―は8・10・12・15・18・20とバリエーションが豊富で、シロギスの活性や水深などの条件に応じた号数の使い分けや、その形状から海底で滑らかなサソイを掛けられることもメリットです。

 

仕掛けは同じポイントで乱入してくる大型他魚にも対応できるようにモトス8号、ハリス4~5号、ハリは太軸のカレイ針10~12号というスペックで全長を1.2~1.5メートルにまとめた2本バリ仕様が標準的。ハリスには根ズレに強いフロロカーボン素材の『ディーフロン船・真鯛』を好んで使用しています。エサは、シロギスが好む“ネライストキシン”という物質を表皮から発する「チロリ」が大キス狙いでは高い実績を誇ってまっせ。

 

さてさて、夏のサーフ釣り場から狙う大キスについてザックリした講釈はこれにて終了です。しかし、サーフの投げターゲットはシロギスだけではありません。潮通しが良好で、足元近くからドン深になっているサーフでは『マダイ』や『クロダイ』といった鯛系の魚もターゲット。さらに、険しいシモリがビシバシに点在している様なゴロ石の磯場サーフならば、『ハマフエフキ』や『コロダイ』といった磯魚も狙いモノの範ちゅうに入ります。

ちなみに、そんな大型のターゲットが魅せる金剛力の抵抗と真っ向勝負をするには、今春に新発売された「高密度SVFカーボン素材の3本継ぎ」というマッチョな作りの振出ロッド『トーナメントサーフT パワートルク』+『パワーサーフQD』という強力なタックルコンビがお奨めでっかな。

 

てなことで、狙うターゲットに応じた最適な投げタックルをダイワの豊富な製品ラインナップから選択して使用すれば、きっと魅惑的な夏のサーフ釣り場でも“気色のエエ釣り”が体験できると思いまっせ ❤

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