2017年6月アーカイブ

文・写真/高橋明彦 1965年神奈川県茅ヶ崎市生まれ。DAIWAフィールドテスター。
 第12回SBC投げ決勝大会で6年振りに優勝を手にし、これまでで4度の優勝を果たす。
 日本サーフキャスティング連盟神奈川協会。茅ヶ崎サーフキャスティングクラブ会員。
 
 
 
 

D-MAXシロギス投魂T-1が発売されたのは、2007年の春。ダイワテクノロジーのSaqSas化によるバージョンアップされたものも含めると、10年以上続くロングセラー商品として多くのキャスターの方に使用いただいています。

 

 

当時、キストーナメントで「勝つため」のハリとして、度重なる検証を繰り返し発売に至りました。特に検証中はシロギスの捕食行動を研究すべく、水中カメラで捕食するシーンの撮影や、実際に針掛かりしやすい箇所の追求など、私自身にとってもすごく勉強になりました。「プルッとアタリがあった時に既に勝負が決まっていた!」をキャッチに発売。カタログを見返すのも、また面白いものですね。

 

D-MAXシロギス投魂T-2の開発に関しては、D-MAXシロギス投魂T-1のみでは対応しきれない状況下で威力を発揮するハリとして試行錯誤を繰り返した上、ようやく発売に至りました。

 

D-MAXシロギス投魂T-1、T-2は相反する特殊形状になっていますが、そのコンセプトは「トーナメントで勝つため」のハリなのは変わりありません。

トーナメントでは大勢の釣り人で混雑するエリア内を釣りすることになりますが、対象魚のシロギスも、状況の変化で警戒心がMAXになり、思ったようにエサを喰ってくれないときが多々あります。

そこで、トーナメント対応策として、狙ったポイントで待つか、超スローサビキで釣るために適したD-MAXシロギス投魂T-1や、サビキ時にシロギスの吸い込みが悪く、口しか使わない際にフッキング重視を狙ったD-MAXシロギス投魂T-2が開発されたのです。

 

 

しかし、近年の決勝大会会場などでは、逆に釣れる釣り場を選定していただけるため、トーナメントで勝つという状況も少し変わってきたのです。つまり、「釣れる釣り場で如何に釣るか」が、もうひとつのキーワードになってきました。

これがD-MAXシロギス投魂T-3、T-4の開発に至った経緯です。

 

 

釣れる釣り場ではどんなハリでも釣れるという考え方もあります。しかし、1匹を競うトーナメントでは例え「1g」でも目方が少なければ負けなのです。だからこそ、エサを口にしたシロギスはすべてハリに掛けてやる意気込みも必要なのです。そのためにハリは常に大切な役割を持っており、微妙な形状差がトーナメントの勝敗を左右することになってしまうのです。

 

そこで、釣れる状況シーンで最初に思いつくのが多点の連掛けです。しかし、やる気のあるシロギスをすべてのハリにフッキングさせても、思わぬシロギスの暴れ具合で一度掛けたものもバレてしまうときも多々あります。

 

そこで、D-MAXシロギス投魂T3、T4は、共に深いフトコロでハリ掛かり後のキープ力を拡大に改善しました

 

その中で、D-MAXシロギス投魂T3は小型のシロギスはハリを比較的吸い込む習性から外出しハリとし、喉奥にフッキングしやすいように設計されています。一方でD-MAXシロギス投魂T-4は大型のシロギス向けで、硬い口内でも確実に刺さりやすいようにハリ先がチモト方向に向けてある設計にしました。

基本ベースはD-MAXシロギス投魂T-3、T-4全く同じですが、ハリ先の方向をシロギスのサイズ別で2通りの仕様に仕上げています。

 

改めて、D-MAXシロギス投魂シリーズの使い分けを整理すると、

T-1:小型+魚影薄い+待ち釣り(シロギスは薄く活性低い)

T-2:小型+魚影薄い+引き釣り(シロギスは薄く活性あり)

T-3:小型+魚影濃い+引き釣り(小型の数釣り)

T-4:大型+魚影濃い+引き釣り(大型の数釣り)

豊富なラインナップでシロギス釣りの全ての状況に対応しています。

 

シロギスの投げ釣りは向こう合わせの釣りになります。概ねアタリがあっても乗らない現象は、ハリのカエシまでしっかりと刺さらずにバレるケースであること。向こう合わせの釣りでもカエシまでしっかり刺すにはアンカー効果のあるテンビン・シンカーが有効ですが、サクサスのように滑りのよいハリ選びも大切です。

 

さらに言えば、ハリの線径が細い方が効果的です。ただし細い線径だと直ぐにハリが伸びて使えません。今回のD-MAXシロギス投魂T-3、T-4は、線径の細い素材を使用しているため可能な限り伸び難いよう硬めに仕上げることで、ハリ掛かり時の逃げが少なく、なおかつ深さ方向に刺さりやすく出来ています。

 

その限界を知るため。

 

 

試作タイプを何度も行い、度重なる実釣評価を行ってきました。更なる製品価値を高めるために、時には様々な方々と乗船して評価を取ることも実施しました。皆さんもご存知のあの方まで?!と驚かれるかもしれません。この船シロギスの経験は、貴重な体験となりました。

 

2017年キストーナメントもいよいよ開幕しました。ただ、いずれもシロギスの釣果が厳しい状況。実際に針の使い分けなど、工夫・意識することで、貴重な1尾に巡り合う。そんなシーンにD-MAXシロギス投魂シリーズが活躍してくれることを期待しています。

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