2024年6月アーカイブ

夏季になるとナイター営業するエリアが増える。

 サマーシーズンに入るとナイターフィッシングの営業を行うエリアが増えてきます。クローズの時間を延長し、夜の9時ごろまでナイターとして営業をします。1日券とは別に、ナイター料金を設定しているエリアがほとんどです。

 ナイターと聞くと、プロ野球などのスタジアムのような大きな照明設備によって、フィールド(ポンド)全体が明るく照らされている様子をイメージするかもしれませんが、エリアのナイターフィッシングはそれとはかなり様相が異なります。照明はポンドの周りに設置された街灯程度の照明が数か所。水面は真っ暗です。わずかな照明だけの暗い中で釣りをするのが、エリアのナイターフィッシングなのです。

 通い慣れたエリアでも、夜のとばりが下りると雰囲気は一変。少々異様とも思える斬新な雰囲気の中で釣りができるのが、ナイターの魅力のひとつ。そして、もうひとつの魅力が、日が暮れて涼しくなった中での釣りができること。ナイターの魅力にどっぷりとハマり、足しげく釣行するアングラーも少なくありません。今回は、エリアの夏の風物詩ともいえるナイターフィッシングの楽しみ方について解説しましょう。

26A.JPG

ナイターといっても大きな照明でポンド全体を照らしているわけではない。陽が落ちるとポンドは真っ暗になり、ここで釣りをするのがナイターフィッシング。

ライトは必須。虫よけスプレーもあると安心。

 ナイターフィッシングと日中のデイゲームとは、雰囲気だけでなくほかにもいろいろと異なります。用意しておかなくてはいけないナイターならではのアイテムや釣り方・狙い方があります。まずは、必要なアイテムや装備について解説します。

 ライトは必須になります。できれば2つ用意しておくとよいでしょう。ひとつがヘッドライトなど手元を照らせる小型のライト。そしてもうひとつがバッカンやタックルボックス回りを広く照らせるライトです。日中もあると安心ですが、暗くなってからより必要性の高まるのが虫よけスプレー。夜間になって虫たちの行動が活発になり、アングラーにまとわりついてきます。服装も半袖短パンではなく、なるべく肌の露出を抑えた長袖長ズボンを着用しておくと安心です。

 UVを照射するコンパクトなUVライトも用意しておくと、釣果アップの後押しをしてくれます。UVでカラーコーティングされたルアーに照射して使うことで、暗闇の中でもほのかに光り、トラウトへのアピールが格段に強くなって集魚力がアップだけでなく、ルアーがどのあたりを泳いでいるのか、といった視認性が上がって釣りやすさが向上します。

27B.JPG

手元を照らすのに便利なヘッドライト。ルアーの交換など、必ず用意しておきたいアイテム。

 28C.JPG

バッカンやタックルボックスなどの周囲を照らすのにあると便利な、大きめのハンディライト。

29D.JPG

UVライトを照射し、グローカラーに蓄光させる。暗い中でも確実にアピールしてくれる。

手感度の優れたロッドとタックルバランスが重要。

 ナイターでは日中ほどシビアなルアーチェンジをすることがないので、タックルは23セットも準備しておけば十分です。しかし、セッティングには気を配ります。感度を重視したタックルセッティングにすることが重要になります。ラインやティップの変化でアタリを察知する目感度は利きません。また、サイトでトラウトの動きやルアーに対する反応、さらにアワセのタイミングを視認することはできません。アタリや水中からの情報は、すべて手感度頼りになります。そのため、感度を重視したロッドやタックルバランスが重要になってくるのです。

 ラインセレクトにも注意が必要です。オススメがナイロンやフロロカーボン。感度に優れたPEやエステルも使えなくはないのですが、こちらのラインにはリーダーが必要になります。ラインブレイクしたときなど、暗い中でリーダーを結びなおすのは大変な作業になります。リーダーを必要としないナイロンやフロロが、オススメになるのです。

デイからナイターに切り替わるタイミングはいつ⁉

 ナイターでのトラウトたちのコンディションは、日中とはがらりと変わります。では、どのタイミングでコンディションが切り替わるのでしょうか 日が傾き、薄暗くなりだした時間帯、いわゆるイブニングタイムでは、まだ、日中のサマーパターンを引きずっています。水通しのいい場所やシェードにトラウトたちは集まり、ルアーはデッドスローに引いてじっくりと見せてバイトさせるか、イレギュラーな動きでのリアクションバイト狙いがサマーパターンのセオリーになります。

 イブニングタイムからさらに暗くなり、空に浮かぶ星の輝きが増しだしたことからナイタータイムに突入します。このタイミングで、トラウトたちのコンディションもガラリと変わってくるのです。高水温による夏バテでダレていたトラウトたちの活性は上がり、活発に動くようになります。また、水がよく動く居心地のいい場所から離れて、ポンド全体に散るようになります。日中に比べると、圧倒的に釣りやすい状況に一変します。 

ライトの下は一級ポイントだが、細心の注意が必要。

 ポイントのセレクトは、日中ほどシビアに絞り込まなくても大丈夫です。ただし、注意してほしいのがライトの下で釣るとき。明るくてルアー交換の作業などしやすく、また、明かりに虫たちが群がり、それを狙うトラウトたちも集まってきます。状況のいいポイントではあるのですが、ライトが作る自分の影がネックになります。影が水面に落ちると、それだけでトラウトたちの警戒心が一気に高くなってしまいます。もし、ライトの下で釣りをするのならば、自分の影に細心の注意を払うことが非常に大切になります。

 影とは別に注意したいのがヘッドライトなどの明かり。ライトの明かりが水面を照らすと、これもトラウトに大きなプレッシャーをかけてしまいます。釣りをするときには、必ずヘッドライトを消すようにします。 

カラーはグローの他にマットブラックも用意。

 ナイターで使いたいルアーが、スプーンとクランクベイトの巻き系ルアー。ミノーやトップウォーターの操作系のルアーは、あまり使用しません。釣れない、というのではなく操作系はサイトでバイトを察知することも要求されるルアーで、暗い中では少々不向きになります。その点、巻き系ルアーですとアタリを手感度でとりやすく、しっかりとアワセていくことができるのです。

 ルアーカラーは、グローが鉄板のカラーになります。ほのかに光、暗い中でもトラウトに確実にアピールしてくれます。そして、意外に実績の高いのがマットブラック。暗い中でのブラックだとほとんど目立たないのでは⁉ と思うかもしれませんが、実は、シルエットがクッキリと浮かび上がり、トラウトのその存在を気付かせやすくなるのです。

 ルアーやカラーは、それほどシビアにローテーションさせなくても大丈夫。釣れるルアーやカラーが見つかれば、それが意外と長く釣れ続きます。暗いので、すぐに見切ることはないので、反応があればそのルアーで少し粘ってみてください。

PRESSO_WABCRA_Jr._25DR-F_GOMASHIO_GLOW_4550133229640_針あり.jpg

タフだけど夏はレベルを上げる絶好のシーズン。

 真夏のエリアフィッシングは、少々手強いタフなシーズンになります。冷たい水を好む冷水系のトラウトたちにとって、サマーシーズンのポンドの高水温は活性を下げてしまう大きな要因。人間同様にトラウトたちも夏バテをするのです。

「水温15℃までは、トラウトたちは元気な状態をキープしてくれます。でも、そこから徐々に水温が上がりだすと、活性は少しずつ下がり始め、18℃を超えると夏バテ状態。このあたりから、サマーシーズンに突入、といった具合になっていくわけです」と高田達也さん。

 しかし、サマーシーズンに入って暑さでトラウトたちはバテ気味とはいえ、全く釣れなくなるわけではありません。サマーシーズンのトラウトのコンディションを把握し、的確にパターンを組み立てていけば、必ずトラウトたちは応えてくれます。

「この季節、漠然と釣りをしていては、なかなか結果は出ません。パターンを模索しながら攻めていかないといけないわけですが、逆にいえば、スキルを上げていく絶好のシーズンでもあるんです。思うように釣れなければ、釣れない原因を探さないといけません。釣果を上げるには、常にいろいろなことを考えて釣らないといけないのがサマーシーズンで、これが、レベルアップさせてくれるんです」

 0611a.JPG

高水温が苦手なトラウト。エリアのサマーシーズンは少々タフになるが、パターンをキッチリと組み立てていけば、釣果は出せる。

活性を下げる要因を把握してポイント選び。

 サマーシーズンは、高水温が低活性の引き金になります。そして、もうひとつ、活性を下げるファクターが溶存酸素量の低下です。溶存酸素とは、水中の溶け込んでいる酸素のこと。水温が上昇することでこの酸素量が低下し、トラウトたちは息苦しさを覚えてしまうわけです。

「サマーシーズン攻略のひとつに、ポイントのセレクトが挙げられます。高水温と溶存酸素量の低下が活性を下げるわけで、このふたつがポイント選びでのキーになるんです」

 水温が上がりにくいところ、そして、溶存酸素の豊富な水があるところに、トラウトは溜まりやすくなります。水温が上がりにくい場所がシェード、そして、インレットなどの水がよく動く場所です。

「シェード狙いでは、日陰の中のど真ん中よりも日陰と日向の境目の辺りに、やる気のあるトラウトがいることが多いです。その周辺を重点的に攻めていくといいですね」

 水がよく動く場所は、水温が上がりにくいというだけでなく、酸素が多く溶け込んだフレッシュな水を供給してくれる場所。インレットやアウトレット、水車回りなど水のよく動く場所はサマーシーズンでは外せないポイントになります。

「水があまり動いていなくても、噴水や散水といった周辺にも、トラウトが溜まりやすいですね。水しぶきが水中へ酸素を供給してくれるので、溶存酸素量の多い場所になるんです」 

0611b.JPG

インレット。水の動きが激しく、水温は極端に上がらず、さらに、相損酸素が豊富な水が流れ込んでくる。

 0611c.JPG

散水や噴水回り。水があまり動いていないようでも、水面を叩く水しぶきによって酸素が水中に供給される。

0611d.JPG

シェード(日陰)と日向の境には、やる気のあるトラウトが溜まりやすい。その付近を重点的に探ってみよう。

コンディションの変化にも注意を払っておく。

 ポイント選びだけでなく、ポンドを取り巻く環境の変化にも、細心の注意を払っておきたいです。

「特に注意しておきたいのが風。風が吹いて水面が波立つことで、水中に酸素をたくさん供給してくれるようになります。それまでニュートラルになっていたトラウトたちが、急にルアーへの反応がよくなりだすことも珍しくありません」

 風が吹いてきたら、チャンス到来の合図。表層付近を徹底して狙っていくようにします。このほか、太陽に雲がかかり日照が弱くなったタイミングでも、急に表層付近にいたトラウトの活性が上がることもあります。

「周囲のコンディションのちょっとした変化を見逃さず、それに合わせて臨機応変に狙っていくことも、サマーパターン攻略ではとても大切なことになります」

フィネスとリアクションを使い分けて攻略。

 ルアーでの攻め方は2パターンあります。デッドスローに動かし、じっくりと見せてバイトを誘うパターン。もうひとつが、シャープでスピーディーな動きのリアクションで狙うパターン。静と動の両極端で攻めていくのが、サマーシーズンのセオリーになります。「夏バテのトラウトはルアーに反応しても、それを速く長く追ってくることはありません。

ですので、トラウトが追いつけるスローな動きで誘うのが鉄則になります。巻きのスピードが速いと、すぐに諦めて追うのをやめてしまいます。ルアーへの反応が鈍く、あまりやる気のないニュートラルになっているトラウトに対しては、目の前をゆっくりとルアーを巻いてきても興味を示しません。こんなときは、強制的にスイッチを入れるリアクションが効果的なんです」

 デッドスローでフィネスに攻めていくときには、マイクロスプーンやクランクベイトを使います。ただし、フルサイズのクランクベイトだと、波動が強すぎて逆にプレッシャーをかけてしまうこともあります。クランキングでは、そのあたりにも気を付けながら使うようにしたいです。リアクション狙いのルアーがミノーやボトムバイブ。いわゆる操作系のルアーです。ジャークやトゥイッチ、ボトムバンプなどのシャープな動きでリアクションバイトを狙っていくのですが、このときに注意してほしいのが移動距離。キレのある動きは重要ですが、その時の移動距離が長いと、すぐにバイトするのを諦めてしまいます。キレはあるけど移動距離の短いアクションを入れた後は、ちょっと長めのポーズを入れて喰わせるタイミングを与えてあげることが重要になります。

「攻め方のローテーションは、最初はスローな釣りで狙っていきます。それである程度釣り切ったと思ったら、リアクションの釣りにスイッチします。初めにリアクションの強い釣りからスタートすると、そうでなくてもタフになっているトラウトたちにプレッシャーを与えてしまうことになりかねません。それともうひとつ。トップウォーターもサマーシーズンには必須のルアーになることを覚えておいてください。活性が上がって表層に集まりだしたタイミングでは、ポッパーを使いたいですね。夏場は水面上を飛び交う虫も多くなりますし、水面に浮くものに対して興味を持っているんです」

体調管理に気を配り、快適に釣りをすることも夏の攻略術。

 ここ数年、猛暑が続いています。トラウトも暑さでバテ気味ですが、アングラーも暑さに備えてエリアフィッシングを楽しみましょう。

「小まめに水分を補給するなど、熱中症には十分に気を付けてください。猛暑の中で釣りをするときには、体調管理を怠らない。これもサマーシーズンを攻略するうえでの大切なことです。

1

2024年7月

  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31