ネイティブトラウトの2024シーズン開幕を前に、SILVER CREEKに新たなロッド&ルアーがラインナップされました。『SILVER CLEEK TRAD』、『SILVER CLEEK GLASS PROGRESSIVE』の追加モデル、そして『SILVER CLEEK MINNOW JOINT』の3アイテム。この3アイテムのコンセプトや性能、使い方を開発に深く携わってきた小林将大さんに2回に分けて解説していただきます。今回はTRAD、そして次回はGLASS PROGRESSIVEの追加モデルとMINNOW JOINTをご紹介します。
小林将大
渓流魚の美しい魚体に魅了され、トラウトフィッシングを始める。大学は水産学部に進め、魚の生態系を学ぶ。高いキャスティングスキルと優れた洞察力でネイティブストリームのトラウトたちを狙う。
スタンダードモデルのロッドシリーズが待望のデビュー
TRADにラインナップされている6モデルすべてがネイティブストリーム用で、スピニングタイプが4モデル、ベイトタイプが2モデルになっています。
「TRADのコンセプトは、このネーミングに集約されています。TRADの和訳は『伝統』ですが、もうひとつ『流行に流されない』という意味もあります。これまでの渓流用ルアーロッドのテイストを守って伝統をつないでいく、というのがコンセプトで、そんな思いを込めてTRADという名前にしたんです。例えば、昨今のルアーロッドの多くに小口径のガイドが採用されています。これはこれでいろいろなメリットをもたらしてくれるんですけど、TRADではあえて小口径ガイドではなく、以前はスタンダードであった口径の大きなガイドを採用しています。渓流用ルアーロッドらしさを出しているんです」
流行を追わないとはいいつつもロッドとしての性能は、DAIWAの優れた最新ロッドテクノロジーの搭載によってしっかりとカバーされています。そのひとつがHVF NANOPLUSです。レジンの量を減らしてカーボン繊維の密度を増やした高密度HVFカーボンによって粘りと強度を両立させ、相反する高強度化と軽量化を同時に実現しています。また、ゆがみのない美しい曲線を描くV-JOINT、キャスティングやフッキングなどのロッド動作の中で発生するネジレを防止するX45も搭載。ロッドが求める性能を高い次元で実現しているSILVER CLEEKのロッドのスタンダードシリーズが、TRADなのです。
SILVER CLEEK TRADに込めたふたつのこだわり
小林さんがTRADの開発を進める中で強くこだわったことが、ふたつあります。ひとつがデザイン。そしてもうひとつが、気持ちよく釣りのできる使い勝手です。
「美しい自然に包まれた渓流、そのロケーションに溶け込むデザインに仕上げたかったんです。美しい自然とのミスマッチなデザインでは、いくら釣果が上がっても、心の底から釣りを楽しむことはできません。周りの森と調和するデザインで釣りをすることで、心がうるおされて、楽しく釣りができると思うんです」
グリップ回りは、細身のデザインにしてナチュラル感溢れる天然木素材を採用。また、そこに取り付けているスペーサー(金属パーツ)は、無垢に近いシルバーを使っています。鏡のような無垢のシルバーは周りの風景を映し出し、そして同調してくれます。まだ残雪のある春のまぶしい渓相、緑の深まる夏の風景など、無垢のシルバーのスペーサーは季節ごとにいろいろな描写をしてくれるのです。そして、小林さんはブランクとスレッドのカラーにもこだわりを見せています。
「ブランクのカラーは、状況によって色彩が変わるんです。室内では黒やネイビーに見えるんですけど、自然光に溢れたフィールドの中ではフォレストグリーンやライトグリーンに見えます。スレッドには透ける糸を採用しました。光の強さの具合によって若葉のような色彩を放ったりします。一日のうちで時間の経過と共に森の色に合わせてスレッドが変色していくんです。ブランクもスレッドも、時間ごとに変化していく森の様々な表情に同調してくれるんです」
そして、気持ちよく釣りができる使い勝手のよさが、小林さんのもうひとつの強いこだわり。狙った場所へピンポイントでルアーをアプローチさせられるアキュラシーなど、どんなフィールドコンディションでもストレスなくキャスティングできるキャスト性能。そして、ヒットしてからのトラウトとのやり取りを堪能できる釣味のよさ。これらのルアーロッドとしての基本的な性能がトータルで備わることで、気持ちよく釣りができるようになります。
「DAIWAの持つ高いロッドテクノロジーを搭載することで、気持ちよく釣りのできるロッドフィールにすることができました。エキスパートアングラーはもちろん、ビギナークラスのアングラーでも気持ちよく使える一本です」
流行に流されることなく、小林さんが強くこだわったふたつ要素を1本のロッドに凝縮させることができて完成しました。釣果を求めるだけでなく、渓流ルアーゲームを心から楽しませてくれるロッドがTRADなのです。
状況に合わせて使い分けたい6モデルの特徴を解説。
TRADにラインナップされている6モデル。それぞれの特長をここで解説しましょう。
48UL
ピッチング、フリッピング、サイドキャスティングなど近距離のアプローチで気持ちよくキャストできるのが一番の特長です。周囲に木々の枝が被さっているような状況においても、その隙間から投げるテクニカルキャストが可能です。「渓流のトラウトに近づき、ルアーへの反応を視認しながら狙っていくサイトフィッシングでは、欠かすことのできないレングスとキャスト性能になっています」
410L
弾道の低いライナーキャストでハイテンポに攻めていきやすいキャスティング性能です。ULに比べるとやや張りの強いファーストテーパー。特に、バッド付近の張りは強く設計されています。4g前後のミノーとの相性は抜群です。「5~10mのディスタンスでアプローチする小渓流に向いているレングスです。フリッピングやピッキングだけでなく、バックハンドでも投げやすいキャストフィールになっています」
53UL
小渓流から里川まで、様々なフィールドで使いやすいオールラウンダーモデル。「10mぐらいの距離で投げるのにはベストなレングスです。ロッドワークで岩などをかわしながらリトリーブすることができ、長い距離が引きやすくなります。早春の小規模河川など、少しでも長くルアーを水中に留めておきたいようなシーンでは、かなり頼りになるのがこの53ULです」
56L
15m以上のロングアプローチがしやすく、里川から中流域で使いやすいモデル。バッドパワーは強靭で、ワイルドでパワフルな遡上トラウト、C&R区間での大型の放流ニジマスなど、想定外の大物がヒットしてきても、余力を残してファイトすることが可能です。「50㎝オーバーのトラウトでも、安心してやり取りのできる、釣味のいいモデルです。大型トラウトのヒットの確率が高いC&R区間の釣りでは、このロッドパワーが心強く感じます」
46ULB
源流から小渓流まで、接近戦で使いやすいレングスとキャスト性能を持っています。フリップやアンダーハンド、サイドハンドなど低弾道のキャストでハイテンポに攻めていくことができます。
51LB
渓流からオープンになった里川まで、ロングディスタンスでキャストできる5フィートクラスのモデルです。全体的に強めの張りを持たせ、大型のトラウトのヒットでも力負けすることなく寄せてくることができます。