2025年3月アーカイブ

たくさんのアングラーの気配で警戒心が上がる

 トラウトの活性が高まり、釣りやすいコンディションになる春のハイシーズン。気候も相まってたくさんのアングラーが釣行するようになり、エリアが一段と賑わう季節です。このような状況のときにちょっと気にしておきたいのがプレッシャーです。水際にいるアングラーたちの気配や目の前を頻繁に通過していくルアーによって、トラウトたちにストレスがかかります。これがプレッシャーとなって、口を使わなくなる、タフになることがあります。春はハイシーズンですが、プレッシャーを克服することで、釣果はもっとアップします。今回は、プレッシャーの克服術を高田達也さんが解説します。

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 トラウトの活性が上がっている春は釣果を上げやすいハイシーズン。しかし、状況によってはプレッシャーを意識した戦略を練る必要がある。エリアフィッシングのレジェンド・高田達也さんがプレッシャーの克服法を解説

プレッシャーのかかりにくい沖を直撃する

「活性が上がっていてもプレッシャーがかかっていると、ルアーに興味は持つんだけど、なかなかバイトに至ってくれない、というような状況になりがちです。そんなトラウトに口を使わせるメソッドが、プレッシャーの克服術になるんです」と高田さん。

 プレッシャーの克服法にはいくつかあり、そのうちのひとつが、遠投して沖を狙うパターン。水際に立つアングラーの気配を嫌がって、沖に溜まることがよくあります。そこを直撃するのです。

「ウェイトのあるルアーを使う、というだけでなく、少しでも飛距離を出せるタックルバランスが重要になってきます。軽量のルアーでも遠くに飛ばしやすいエステルラインのPRESSO TYPE-Eを組み合わせてみてもいいですね。それと、沖を重点的に攻める場合のキーポイントとして、着水からピックアップまで、ずっと丁寧に引いてくる必要はないということ。沖のプロダクティブゾーンを離れたら、スピーディにルアーを回収します。手前まで、ゆっくり引いてきても手返しが悪くなるし、時間がもったいない。特に、トーナメントでは時間勝負ですから、沖から最後までのんびりと引いてくるのは時間をロスするだけで、効率的ではありません」

 周りのアングラーが使っているルアーと異なるものを使うことも、克服法のひとつになります。

「似たようなルアーが目の前をひっきりなしに通過していくと、それがトラウトたちのストレスになるとも限りません。そこで、周りのアングラーが使うルアーとはちょっと異なる目先を変えたルアーを通すことで、口を使ってくれるようになるんです。例えば、周りがマイクロスプーンで繊細に攻めていたら、逆に波動が大きく、存在感の強いフルサイズのクランクベイトを使ってみる。また、カラーもナチュラルで地味な食わせカラーならば、アピールの強いカラーを使ってみる、という風に、周りと違ったことをしてみると、かなり効果的なんですよ」

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気配を嫌がり、沖に溜まっていることが多い。遠投できるルアー&タックルで、沖のプロダクティブゾーンを直撃する

クランクベイトで攻略するふたつの戦略

「この攻略パターンを知っている人は、少ないと思います」と高田さんが前置きして教えてくれるプレッシャーの克服法が、クランクベイトのちょっと特殊な使い方。ここで使いたいクランクベイトがWABCRA Jr. 25SS SR。スタートは、ややスローに引いてきて、その周辺のトラウトの様子をしっかりとチェックします。プレッシャーが強くかかっているトラウトはほとんど無反応ですが、その中に振り向いて反応する個体がいれば、あまりプレッシャーを感じていないというサイン。そんなトラウトを視認したらデッドスローで引いて、波動が出るかでないかのタイトな動きでじっくりと見せて、口を使わせます。

「潜りもせず、浮き上がりもしないレンジキープする限界のスロースピードで引きながら、ウォブンロールを極力抑えるようにして巻いてくるのが大切なんです。トラウトが寄ってきたら、そこでリトリーブを止めないことも大事。動きを止めると見切ってしまい、そのままプイッとルアーを見切ってしまいます。クランクベイトは強い波動で寄せてバイトさせるのが基本ですけど、プレッシャーのかかっているトラウトに対しては見せてじらせてバイトさせるのが有効なんです」

 そして、もうひとつのクランクベイトの使い方もご紹介しておきましょう。こちらで使いたいのがWABCRA DR。存在感のあるフルサイズボディで、その大きな動きで発生させる波動も強烈なのが特徴。

「通常は、トラウトは上から落ちてくるものに対して強い反応し示します。だけど、プレッシャーがかかっていると、下から上へ浮き上がっていくものに反応しやすくなります。これを利用した使い方なんです」

 着水したらハンドルを34回転素早く巻き、一気にダイブさせます。そこから、デッドスローで巻いてきます。リトリーブスピードはただ遅いだけではいけません。ゆっくりと浮き上がっていくぐらいのスピードで巻いてくるのが、重要になります。いわゆる、巻き上げの軌道ですね。WABCRA DRの場合、浮き上がってくるほどのゆっくりとした巻きスピードでも、しっかりと水を噛んでウォブンロールで動き、波動も出してくれます。WABCRA Jr.では、波動をほとんど出さないほうが有効ですが、浮き上がりの軌道で誘う場合は、ある程度の波動を出して、その存在をトラウトに教えてあげた方いいのです。

「プレッシャーのかかったタフな状況だと、マクロスプーンを使ったフィネスな展開になりがちですが、クランクベイトでアグレッシブに攻めていくのも作戦のひとつなんです」

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クランクベイトはリトリーブスピードが重要。じっくりと見せてバイトを誘う時は超デッドスロー。浮き上がりの軌道で誘いをかけるときには、レンジキープするスピードよりも遅く巻く。

センシティブチューンはエリアの釣りにマッチ

LUVIASにSTモデルが追加ラインナップされました。STとはセンシティブチューンのこと。当ブログでは、これまでに何回かセンシティブチューンをご紹介してきましたが、改めて解説させていただきます。

ノーマルのLUVIASの回転主要部であるベアリング(BB)はグリス仕様BBを採用していますが、STではこれをオイル仕様BBに変更。オイル仕様にしたことで、繊細かつダイレクトな巻き心地を実現しました。また、ピニオン部のマグシールドを取り除き、可能な限りの軽量化も目指しています。

「ノーマルのLUVIASは、完成度の高いすごくいいリールです。これにSTのチューンナップをしたことで、エリアでの使いやすさにさらに磨きがかかった感じです。BBがオイル仕様になったことで滑らかになったんですけど、単純にスムーズに回転してくれる、というのではなく敏感な滑らかさに仕上がりました。巻き感度が、圧倒的にアップしました。スプーンを泳がせたときのプルプル感や状態は、ロッドではなかなかわかりずらいんです。だけど、巻き感度がいいと微妙な巻き抵抗の違いがはっきりと分かって、スプーンが水を噛んで正しく泳いでいるか、否かがしっかりと認識できます。

また、巻き感度がいいと、スプーンに限らずクランクベイトを使っているときでも、ポンドの水の動きや強さを感じやすくなります。水流が強い場所では巻き抵抗は重くなるし、水流がなかったり後ろから水に押されているような状況では軽くなります。優れた巻き感度は、これを教えてくれるんです。水流が複雑なポンドでは、優れた巻き感度は頼もしい性能なんです」と、今回、LUVIAS STを詳しく解説してくれる三浦敬児さん。

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もし可能ならば、ノーマルのLUVIASLUVIAS STとを使い比べてほしい、とも三浦さんはいう。チューンナップによってエリアでの使いやすさや釣りやすさが、どれだけアップするのかが分かるはずです。

「リールをチューンナップしているエキスパートアングラーって、意外と多いですよね。もっと使いやすくしたいからチューンナップしているんです。購入した時点ですでにチューンが施されているLUVIAS STは、チューンナップの重要性やよさを経験できる恰好のリールだと思います」

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LTSFとの少し異なる個性&性能

LUVIAS STにはLTSF2タイプをラインナップしています。それぞれの性能は少し異なり、適材適所でLTSFを使い分ければ、よりLUVIASのポテンシャルを引き出すことができます。 

LT

LUVIAS ST LTには9個のBBが搭載されています。そのうち、回転主要部の6個のBBがオイル仕様になっています。回転性能は敏感な滑らかさです。

LTは、マイクロスプーンからボトムルアーまで、すべてのルアーをカバーする汎用性が一番の特長といえます。巻きトルクも強く、引き抵抗の大きなディープクランクなんかでも、ストレスを感じることなくグリグリ巻いてくることができます。また、50㎝を超えるようなビッグトラウトがヒットしても、トラウトに主導権を渡すことなく寄せてくることが可能です。

 ハンドル1回転で64㎝の糸巻き量(LT2000S-P)があります。トルクを生かした強い釣りだけでなく、メタルバイブやミノーなどのクイックな釣りにもマッチしています。アクションを加えた後に出るラインスラッグを素早く巻き取ってくれて、次のアクションにスムーズに移行することができます」

いろいろなルアーでセンシティブチューンを体感したいのならば、LTモデルが最適といえます。

SF

LTに比べると、ボディが小さくデザインされているSF。それに合わせて、内部のドライブギアも小さくなっており、それがよりフィネスな釣りに特化された仕様となっています。

「マイクロスプーンなどを使った繊細な釣りにマッチした性能です。巻き感度が優れているだけでなく、手感度も優れています。手感度をよくしてくれるのが、軽さです。自重が135gSF1000S-PSF2000SS-PSF2000SS-H)しかなく、タックルを握る手の負担が小さくなります。負担が少ないということは、小さなアタリも察知しやすくなり、それが手感度のアップに直結するんです。

SFを初めて使ったときに、感心させられたのがSFに採用されているHG-I型フィネスノブのグリップです。自分の場合、強くつままずに触れる程度の弱い力でつまむようにしています。弱い力でも違和感を覚えずに指の腹にフィットいてくれて、すごく巻きやすいんです。グリップを優しくつまんでリーリングするアングラーって意外と多いと思うんです。そんなアングラーには、このHG-I型フィネスノブはかなりおすすめできます」

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 LTSFに共通の最新テクノロジー

LUVIAS STには、優れた最新テクノロジーを惜しみなく採用し、そのボディに凝縮させています。その中でも特に三浦さんをうならせたのが、AIRDRIVE ROTORATD TYPE-Lです。

「不要な贅肉を一切そぎ落として、究極ともいえる軽量化を実現させたローターがAIRDRIVEROTORです。この軽さがもたらしてくれるメリットが低慣性。始動がすごくスムーズになりますし、何といっても停止させたときにピタッと止まります。始動と停止を繰り返すデジ巻きでは、驚くほどキレのいい動きを出すことができるんです。

ATD TYPE-Lのドラグ性能も特筆ものです。利き出しが非常にスムーズで滑るようにしてラインが出て行ってくれます。細いラインを使って、ファイトも多少強引にやり取りするトーナメントシーンなんかでは、このドラグ性能は非常に心強く感じます」

性能ではないのですが、三浦さんがたいへん気に入っているのがマットブラックのデザイン。PRESSOのロッドはもちろん、他のロッドにセットしても違和感なく一体化してくれるボディカラーだ、といいます。

「センシティブチューンが施されたLUVIAS STは、その優れた巻き感度によって様々な水中の情報を教えてくれます。情報が多いということは、アングラーがいろいろと考える機会を与えてくれることにもなります。使いやすい、釣りやすいというだけでなくアングラーのレベルアップを後押ししてくれるリールがLUVIAS STですね」

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