PRESSO PRESS ご愛読の皆様
今回のPRESSO PRESSは弊社リールの開発協力者である新家 邦紹氏がコロンビアへ釣行
された時の話をアップさせていただきます。
トラウトとは違う世界ではありますが、WISE STREAMを使用されております!
それではご覧ください!
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WISE STREAM 56TLを使ってきました。
…といっても、相手はネイティヴトラウトではなく、南米コロンビアの魚たち。
旅程としてはまずはワシントン経由で首都ボゴタに入り、そこからベネズエラとの国境の町に国内線でフライト。
そして境となっているオリノコ川に流れ込んでいるB川流域に滞在。
そこで釣りや自然観察を楽しんだあと一旦首都に戻り、車で山岳地帯を越えて別の町に移動。
そこからセスナで中南部の山脈を越えて、G川畔の小さな町へ。そこでも釣りや自然観察を楽しむ
という内容でした。移動に時間がかかるし、各拠点で1泊したりするため、全2週間の旅程でも釣りは
7日半ぐらいでした。
56TLの出番は旅行後半のG川。
B川でも少し使用したのですが、ターゲットとなる小型魚があまりおらず、10~15cm程度の
種類不明のカラシンが数度アタってきたのと、なぜか5gスピナーに50cm級のパヴォン(ピーコックバス)
が食ってきて、細軸シングルフックが開いてバレるというアクシデント(?)があっただけ。
そのG川、とある瀬脇で25cmほどの小型魚の群泳があり、ためしにスピナーを投げてみましたが無反応。
その直後にパヤラ(ペイシェ・カショーハ)によるボイルが起き群れは四散。捕食者にツケ狙われてる状態では
無理ですね。で、少し場所を変えて大型魚が入りづらい浅場にいる小型魚に向かって投げてみました。
するとリトリーブ開始と同時にアタリ連発。一瞬乗ってもすぐにバレる。
少しドラグテンションを上げてしっかりフックセットすると、白銀に光る魚がジャンプ。
寄せてみてびっくり。なんとシルバー・ドラードでした。
<スピナーにかんしては、細軸シングルフックはすぐに伸ばされるし、ノリが悪かったので、
トレブルフックに交換。永遠の定番「ブレットン金赤」でシルバー・ドラード。>
周辺の水系でその存在を耳にしたことはありますが、まさかこの川にもいるとは…。
ルアーはなんでもよいらしく、ミノーでもスピナーでもスプーンでも、自作のトップウォータープラグでも釣れました。
<活性の高い群れは我先にルアーを襲ってきます。そうなると断然トップがおもしろい。
ランディングしても暴れ続け、なかなか写真を撮らせてくれません。>
サイズは25~32cmぐらいですが、この種のカラシンはパワフル。走る・跳ぶの繰り返しで、
小気味よいファイトを展開してくれます。56TLはティップセクションこそライトですが、
テレスコピックという構造のせいか、ベリー~バットは「これがネイティヴトラウトロッドの
ライトアクション設定?」というほど張りと力があり、トラウト族よりパワフルなカラシン相手でも、
なんの問題もありませんでした。また、使用ルアーも設定より少し重いものでも問題ありませんでした。
<小さくても精悍な表情をしています。口唇部も硬め。>
その後水面から数mも岩盤がそそり立ったポイントに移動。ここの岩の隙間にも小型魚の影が見えたので
さっそくキャスト。するとシルバー・ドラードとは異なるカラシンが釣れました。シルバー・ドラードほど
跳びませんが、泳力はかなりのもの。モトリスタ(操船者)に尋ねると「それはサワレタ(Sabaleta)だ」
という答えが返ってきました。
<サワレタはシルバー・ドラードよりひとまわり大きめの個体が多かったです。
ルアーを外すとすぐに飛び跳ねて川に帰ってしまうので、フックを外す前に撮影しました。>
<目が大きくシルバー・ドラードより優しい顔立ち。パヤラの襲撃を受けていたのは、
この種とボカチコ(bocachico)でした。>
こちらは平均的に30~35cm。このサワレタを数本釣ったところで正午になり、
河畔の日陰でモトリスタの奥さんが作ってくれた弁当をひろげランチタイム。本命のパヤラ、
うれしい外道のピンタイージョ(タイガーシャベルノーズ)、初対面のアマリージョ
(大型ナマズ。釣れたのは小型ですが…)に加え、これら2種のうれしい小物釣りもできました。
ジャンルを限定してタックルを選定しがちな昨今ですが、ジャンル違いのモノの中にも適応性を秘めたモノは
意外なほどあります。今回使わせてもらったWISE STREAM56TLなんかもそのいい例で、ネイティヴトラウト以外
にもけっこう様々な釣りに対応性をもっていると思います。自分の釣りにあわせて、自由な発想で道具を選ぶ
のも楽しいとと思いますよ。個人的には今後とも海外旅行時の小物遊び用ロッドとして、携行するつもりです。
<56TLはコンパクトに仕舞えるので、移動中や不使用時にまったく邪魔になりません。>
実は…というか、当然のことながら、今回の海外旅行はこれらの小物釣りがメインではなく、
B川ではパヴォンやブルーフィンアロワナ、G川ではパヤラがメインターゲットでした。
<B川でのメインターゲットはパヴォン(ピーコックバス)。この水域には4種類のパヴォンが
生息していますが、最も大きくなるのはこのテメンシス。テメンシス以外はテメンシス・パカ、ロイヤル、
マリポザの3種。>
<B川のアロワナはヒレがライトブルーに光ります。砂州の表層を集団遊泳しているのを探してサイトフィッシング。>
<「20lb(9kg)のパヤラが生息する川がある。やってみないか?」。それが現地ガイドからの誘い文句でした。
ところが10kgを超える個体も複数釣れました。うち2本(新家と同行者各1)は10kgのスケールが底突きしたため
正確な計測はできませんでした>
それら本命たちも予想以上にたっぷり遊んでくれたので、首都で発生したいくつかの行き違いやトラブルは
気分的に帳消しになりました。
新家 邦紹
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以上が新家 邦紹氏よりいただいた釣行紀となります。
携帯が便利なWISE STREAMの振り出しモデルでの釣りとなりましたが、
「持ち運びのしやすいルアーロッド」といった位置づけにしていただいております。
トラウトロッドとして開発は行いましたがこういった使い方をしていただけると非常に
ありがたいです。
最後にコロンビアの釣行以外の素敵な写真もいただいておりますのでご紹介して終わりたいと思います。
<遠くに素晴らしい川相が見えますが、ここより先は国立公園なので釣りは不可。
切り立った岩場による複雑な流れの中に、パヤラや大型のナマズ類が生息しています。>
<B川ではアマゾンカワイルカを何度も見かけました。ボートから10m程度の距離まで近づいてきます。>
<ツメバケイ(hoatzin)。ヒナの翼にはツメがあり始祖鳥を思わせます。生態も独特なのでいろいろ興味深い鳥です。
ちなみに乾燥牛糞のようなニオイもします。アマゾン川オリノコ川流域の熱帯林に生息。>
<今回の旅行で起きた奇跡がこれ。ただの旅行者である自分が、B川流域ではカメラトラップにもかからず、
足跡しか確認されてなかったジャガーの撮影に成功。しかも立派な成獣。ボゴタの動物調査保護団体から
写真提供を依頼されました。ちなみに野生のジャガーに遭遇したのは、エクアドルとペルーの国境付近以来
2度目です。>
事務局:UKE