先週末に開催されました「フィッシングショー大阪2018」にご来場いただいた皆様、
誠にありがとうございました!
参加した設計者Nは、今までに無いくらい西のトラウトアングラーの熱気を感じた、
と、興奮気味に話をしていました。
今後、本格的に西での活動を行っていこう、と決意をしたイベントとなりました。
そんな熱いトラウトアングラーと触れ合っているイベントに、
実は、本ブログの前任者mel氏が来場したんです。
そんなmel氏から、春から在住しているヨーロッパのレポートを頂きました。
一生に一度行けるかどうか、、、の憧れの地でのトラウトフィッシングの模様、
是非、御覧ください。
えーと、改めて自己紹介させてください。
かつて、本ブログ「PRESSO PRESS」にて数年事務局を務めさせていただいたmelと申します。
今年の春にこのブログ事務局を卒業させて頂き、その後(大人の事情で)今はヨーロッパに在住しております。
もとより、釣りが好きで、トラウトが好きで、
幸運にもこのエリア、ネイティブトラウトに関わるブログの担当をさせていただいていた数年間。
今は、また少し違う仕事に関わっておりますが、こちらでもトラウト、やはり楽しんでおりますよ。
仕事の合間を縫い、今シーズン何度か訪れたのは、スロベニアという国の川々。
ヨーロッパの南の方、イタリアの東側にある国です。
アドリア海に流れる清冽な流れは、ブラウントラウトや、レインボー、フーフェン(ヨーロッパイトウ)、
そして世界でもこの地域(と、多分一部の日本の管理釣り場さん)にしかいないと言われる,
マーブルトラウトといった魚を美しく、逞しく育んでおります。
ヨーロッパでもフライフィッシャーマンにとっては聖地のひとつとして、管理もしっかりされているこれらの川、
結果として、入漁料はやや高く(私が訪れた川で25ユーロから40ユーロ)、
レギュレーションは厳しく(プラグは7cm以上、ワンフックバーブレス)、
そして本当に上流の美しいエリアはフライ専用区域となっているところが多かったり。
私としては、やはり日本と同じく、ルアーでヨーロッパの鱒たちを釣ってみたいところ(フライはできません。。)。
おのずから場所は街に近い、里川に限られてしまうわけですが、
それでも行ってみると日本とはまた違った美しさを持つ景色が広がっておりました。
最初にトライしてみたのは、夏休み、イタリアとの国境付近を流れる川へ。
ルアーが可能なのは中流域、本流ヤマメやそれこそサクラマスを釣るような雰囲気でしょうか。
半日ほど車で走り回り、いくつか場所を探しながら、大きく川がベントしているエリアでスタートフィッシング。
そこそこおしもある川で、選んだのはチヌーク17g。
クロスキャストして、下流に流しながら魚の目の前にルアーを送りこむことをイメージしてみます。
いきなり来たのは50cm弱のレインボー。
フックアップした途端、水面に飛び出してジャンプを繰り返すナイスファイター。
慎重に、慎重にと下流に下りながらなんとかネットイン。
魚体を眺めながら、ほっと溜息。
引き締まった体、しっかりとした尾鰭。
しばしネットの中で魚を泳がせながら魚体を眺めます。
あーよかった、などと独り言など呟いたりして。
ここには都合4日間滞在したのですが、真夏の盛りで、1日釣りをすると(もう若くない元事務局には)体が持ちません。
ということで朝と夕だけホテルから出勤。
釣り方がわかってくると、チヌークや、ダブルクラッチ75などで、レインボーは結構釣れるようになったのですが、
ここに来たからには是非とも釣ってみたい、あのマーブルトラウトの姿は現れません。
同僚からも、あの魚はレアだから、まぁ一匹釣れればラッキーだよ、などと言われていたのですが、
レアであればあるほどやっぱりその顔をみてみたいじゃないですか、釣り人なら。
そして、ついにその瞬間が訪れました。最終日の夕まずめ、しかもラストキャストで。
夕暮れどき、サンドバーのかけあがりを狙い、キャストしたチヌークを巻き始めた瞬間にバイトが。
夕暮れとはいえ透明度の高い川ですから、水中で暴れる魚の姿が見えます。レインボーとは違う魚体、色。
やった、きっとそうだ、バラすものかとゴリ巻きして(ほんとはダメですが)そのまま砂州にごぼう抜き。
興奮に肩で息しながら、魚に駆け寄ると、独特の色と模様。
サイズはそんなに大きくない、30cmくらいでしょうか、
でもまちがいなく世界中でここでしか釣れないマーブルトラウト。
あの夕暮れどきの一部始終を、私はこれから何度も思い返すでしょう。
これに味をしめて、というわけではありません(あります)が、その後も週末を利用し、二回釣行。
こんどはもうすこし規模の小さい川へ。
ワイン畑を縫って流れる、規模的にはかつて日本でよく行った、伊豆の里川の支流のような雰囲気。
川に入ってみると山からの流程が短いだけあって、ウェーダー越しにも水の冷たさを感じます。
ただ、問題は水の濁り。ここ一週間何度かあった雷雨のために、水は茶色く濁り、どこにどう投げてよいやら。
ここが伊豆ならあきらめて帰るところですが、自宅から6時間かけてきているだけに、そうはいきません。
なんとか濁りの薄そうな場所を探して上流から下流まで走り回りますが、当然のごとくノーバイト。
こりゃだめかもしれないな、と諦めかけたところで地図を眺めていると上流に支流があるのに気付きました。
チケットを確認すると一応釣ってよいエリア。
車で向かうと、そこは川幅5mくらいの本当に小さな川、しかしエリアによっては水深もあるようですし、
水の様子をみると、よかった、流れの上の方は澄みかけているようです。
早速釣りを始めると何度か追いがあります。しかし、フックアップしない。
どうも日本流のアップストリームキャストではこちらの魚は追いかけきれないような。
ならばと、上流にポジションを取り、下流にダブルクラッチ70を流し込むようにしてみました。
これが正解。レインボー、ブラウンが次々とヒットします。
今思えば、魚たちは濁りを避けてこの支流に入り込んでいたのでしょうね。
さっきまでの苦悶はどこへやら、ファイトを楽しむ余裕など出てきたりして。
この川は両岸がボサで覆われていて、キャストをしようとすると結構テクニカルなのですが
、流れに乗せてルアーを送りこむなら(私でも)簡単です。
大きくオーバーハングした木の下のところへ来たときも、
鼻歌を歌いながら(よく釣れているので)足元にルアーをぽちゃりと落とし、
そのままルアーを流れに乗せて、もういいかな、とリトリーブを開始した瞬間、
今までの魚とは全く違う重みがロッドに伝わってきました。
なんとか、木を避けて手元まで寄せてきたのですが、目の前に現れたのは巨大な鱒。
下流に走られたら、ラインが木に引っかかってそのままラインブレイク。
日本から持参したWISE STREAM62L-3が満月のように曲がります。
なんとかプレッシャーをかけ続けながら、ネットで掬おうと、失敗。
魚が目の前でのたうち回るのが見えますが、こちらも必死です。
二回、三回、と失敗、何分ファイトしているのか、きっと2、3分だったと思うのですが、
そのときはもう祈りながら永遠にも思えるような気持ち。
最後、これ以上ないくらい精一杯腕を伸ばした40cmネットの先に魚の頭だけ、本当に頭だけが入りました。
ロッドを放りなげてそのままネットを引き寄せ、体で魚を抱きかかえます。
足場のよい下流まで下り、魚を岸に横たえたときに、新巻鮭みたいだな、と思いました。
大きく、美しく、逞しい、スロベニアのマーブルトラウト。
いや、ラッキーでした。
きっとこれ以上の魚を今後、ヨーロッパで釣ることはできないんじゃないかな・・、などと思ったりもしています。
・・・欧州の鱒釣り、他にも行ってみたいところや釣ってみたい魚がまだまだたくさんあります。
また何か面白い経験をしたら、ここで紹介させていただくかもしれません。
(たぶん、)また、お会いしましょう。
mel