【経験もテクノロジーも、すべては"美しい弧"のために】
上/生井澤聡フィールドテスターのアワセによって、竿(硬式先調子・短尺)は手もとからしなり、間もなく解放される反発力を蓄えている状態に(シャッタースピード1/1600秒)。使用しているのはダイワ並継へら竿の2023年新製品。詳細は、釣りフェスティバル in Yokohamaの初日、1月20日(金曜)に発表
下/長尺竿のアワセ(シャッタースピード1/1000秒)。使用しているのは同じく23新製品の硬式先調子
根気強く、丁寧に、作り込めるか
ダイワ並継へら竿に深く携わる生井澤フィールドテスターが、その開発において評価するのは、ダイワの製竿技術そのものではなく、それらを使いこなして製品に落とし込む、ダイワ設計者たちの根気強さと、丁寧な仕事だ。
カーボン製の竿は、マスプロダクト(大量生産)かもしれないが、その製造工程は人の手によるところが多く、またカーボンシートも保存に冷蔵を要する点で"生"の素材といえる。お決まりの型(芯金/マンドレル)に巻き付けて焼けば出来上がり、などということは全くなく、さまざまな条件が変化していくなかで、シリーズごと、尺数ごとに専用設計が求められる。
■生井澤FT「とはいえ、竿作りの経験値がダイワのなかにしっかり蓄積されてきていて、近ごろでは、一発目のサンプルから"この尺数はイイ出来"と思うものが混じるようになってきました。もちろんイイことなんですけど、僕の仕事がなくなっちゃいそうですヨ(苦笑)」
竿のためにテクノロジーがある
2023新製品のダイワ並継へら竿にも「株理論」や「Vジョイント」「X45」といったダイワの設計思想やテクノロジーが盛り込まれているが、大事なのはもちろん、「これらによって作られた竿に、何ができるか」だ
■生井澤FT「ダイワの並継へら竿は、とても手間が掛かる設計をしています。あえて粗い言葉を使って言えば、めんどくさいやり方で作っている。竿全体を設計して、それを分割して継に落とし込めば早いは早いんでしょうけれど、ダイワの場合は逆に、"完成された継"の集合体として一振りの竿を組み上げる。枯法師やHERA Rなどのハイエンドモデルだけではありません。どのシリーズもです。こうすることで、ダイワの並継へら竿は、先ほどお話しした"美しい弧"を描き、たしかな性能と釣り味の良さを兼ね備えているんです(「ダイワ並継へら竿の設計思想 Vol.01/03」参照)」
Vol.03/03へ続く(1月20日午前10時公開)。