ダイワ並継へら竿の設計思想 Vol.01/03

生井澤聡フィールドテスター × ダイワ設計者

【丁寧に作り込んだ"美しい弧"の効果】

mtg.JPGDSC_0803.JPG

■生井澤FT:竿の曲がりの良し悪しを見るとき、わかりやすいのは、へらを掛けてから取り込むまで。アワせた直後は胴にある"曲がりの頂点"が、竿を立てながらへらを寄せてくる過程で、徐々に竿先へ移行していく。その"曲がりの頂点"の移動がスムーズで、かつどの瞬間を切り取っても、曲がりのどこにも淀みやツッパリがないこと。それが、竿でいうところの"美しい弧"ですね。

R.JPG

 2023年新製品のダイワ並継へら竿が描く"美しい弧"。詳細情報は「釣りフェスティバル in Yokohama」初日の1月20日(金曜)に公開

■設計者:生井澤さんの理想を数値に落とし込んで設計している我々からすると、"美しい弧"は合理的なんです。逆に、竿の曲がりに淀みやツッパリがあると、強度と反発力のロスに繋がります。曲がりが完成されていないと、折れないように余計にカーボンを使うことになって重量増になり、反発力が足りないから、掛けた直後のへらの浮きが悪い。寄せるパワーにムラも出てしまうから、へらに横に走られたり、玉網に入れる直前に桟橋の下へ潜られたりもします。

■生井澤FT:重量増を気にせずに補強すれば"折れない竿"にはなるだろうけれど、根本的な解決にはならないんですよね。ただ強いだけの竿は、へらが暴れるし、釣り味も良くない。きれいに曲がる竿は、負荷が一点に集中しないから折れにくい。反発力の出し入れがスムーズだから、へらの引き味は楽しめるけれど、反転するような大暴れはされにくい。へらを掛けて、ぽんと浮かせたところから、玉網へまっすぐ導くことができます。

■設計者:常にきれいな弧を描ける竿にとっては、軽さと強さは矛盾しませんよね。

■生井澤FT:むしろ軽さと強さは、常に両立するべき関係ですよ。とはいえ並継へら竿の場合、何でもかんでもただ軽ければ良いわけじゃありませんけどね。理想の釣り味を出すために"あえて重くする"ような、難しい作りをすることもあるでしょう。

■設計者:そうですね。その点、23年の新製品はシンプルです。しなやかな硬式先調子で、デザインコンセプトは軽量系。全体的にシャープな使用感で、短尺ではそれが際立ち、中尺はバランスが良い。そして"実用性が高い23尺"をラインナップできました。

■生井澤FT:今回の竿は、硬さも、調子も、使用感も、ダイワの並継へら竿のなかでは極めてベーシック。ただし、設計が丁寧で「ベーシックのレベルが高い」のが現在のダイワの並継へら竿なので、ぜひ多くの方に手に取っていただきたいですね。

awase.JPG

Vol.02/03へ続く。

2023年9月

          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30