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3.少しずつ秘密が見えてきた?

真夏の暑さも忘れ、秋の涼風が吹き始めると、なぜかマダイ釣りに行きたくなる。マダイ釣りは、けっして数釣りでもないし、どちらかというと満足いく一尾が釣れればこの上なく上機嫌になれる釣りではないだろうか。

だが、なかなか満足できるような釣果にめぐり合えないというのも現実である。

最近、海の中でよくマダイに出会い、観察する機会を得ている。観察で数多くのマダイに遇うと、けっして大発見とは言えないまでも、小さな発見がいくつもあるものだ。

1)例えばマダイはコーンが好きではない

先日は面白いシーンに出会った。まずはサカナ寄せにと考えて、冷凍アミを解凍したものを海中で撒いてみた。

すると、どこからともなく良型のアジが大群で押し寄せ、目の前がアジだらけになった。不覚にも、このアジならタタキにしたらさぞかし美味かろうなどと考えてしまった。

アジが盛んにエサを食い始めると、他のサカナたちも興味を持って集まってきた。スズメダイ、カサゴ、メバル、チャリコ(マダイの幼魚)などである。そこで次なるエサ・オキアミを撒いてみた。

すると、面白いことが起きた。

カサゴ、メバル、チャリコはオキアミを、アジとスズメダイはアミをというように、食べるエサによって魚種が分離し始めたのだ。

これは、面白い考え方として、例えばコマセ自体をアミ主体にし、付けエサにオキアミを使うと、エサ盗りがアジの場合、絶対的な方法とは言えないまでも、エサ盗りを本命のサカナから分離する効果がありそうな点だ。

さらにマダイに関して言えば、最初のうちはほんの手のひらサイズだったのが、30cmオーバーの若魚が混じり、さらには40cmを超える成魚も混じり始めたのである。

しばらくするとクロダイの姿も見え始めてきた。

そこで、今度はスイートコーンを取り出して、オキアミと一緒に撒いてみた。

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チャリコサイズは、強引ともいう感じで海底のエサを拾い喰いする。
だが、面白いことに海底に落ちているスイートコーンには興味を示さず、オキアミを喰っていた。
ロダイは不思議なことに、オキアミも海底にいくつも落ちているのに、スイートコーンを拾って喰う。マダイと非常に近縁にあたるのに、喰い物に嗜好の差が出るのは興味深い。

マダイはどちらかというと、オキアミをガツガツと喰う。メバルやカサゴもオキアミを吸い込むようにして喰う。

ところが、クロダイはオキアミが海底に落ちていてもコーンを見つけると、なぜかコーンを先に喰う。オキアミは釣り人からは最強のエサと信じられているだけに、コーンを先に喰うという点はとても興味深い(しかも、この場所がしょっちゅうコーンが撒かれていることもなく、どちらかというと、ここにいるクロダイはコーンとは初対面なはずなのに・・・、昔から喰い慣れているかのように安心して喰うのだ)。

コーンに関しては、他のサカナが喰わないのでコーンそのものが海底に残っている(ちなみに、コーンを好んで食うのはクロダイ以外にはアイゴ。ボラもコーンを喰うが大好きという感じでもなかった。他はカワハギやフグが興味本位にかじることがある程度である)。

マダイの場合は、特にチャリコ時代は悪食で何でも喰うといわれている割には、コーン自体には不思議と興味を示さない。同じ悪食仲間であり、しかも種としてもとても近い関係にあるクロダイが好んで喰うのに対して、マダイがまったくといっていいほど喰わないというのが興味深い。チャリコばかりではなく、若魚や成魚も含め、マダイにとってはスイートコーンにはエサとしての魅力を感じていないようである。

2)マダイは寄って来ては遠ざかるを繰り返しながら喰う

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良型のマダイはコマセの中心付近にも寄っては来るものの、どちらかというと遠巻きに行動する。少し離れたところから、寄っては離れるという行動をとる。その状況におけるハリスの長さの課題は、もちろん実釣のままでもあるが水中実験の大きなテーマでもある。

もうひとつ面白い点は、マダイの喰い方である。

例えば、アジなどはコマセが海中に漂えば、その煙幕の中心的なったエリアに集中し、そこで渦を巻くようにウロチョロしながらエサを喰いまくる。ところがマダイは、コマセの漂う場所に寄って来ては海底に落ちているエサを拾いながら喰い、遠ざかりながらも拾いながら喰う。特に、チャリコはエサの最も多いところに突っ込んでくることが多い。

チャリコの場合、数尾で行動する。だから、ダンゴ釣りやコマセマダイなどのときに、チャリコがかかり始めると連発してしまう傾向はここにあるのだろう。

チャリコよりも大型になるに連れ、良型のマダイにもなれば、あまりコマセの中心部には寄ってこない。極稀に、中心部近くを通ることがあっても、良型になればなるほどマダイはコマセ煙幕の中心部から半径1.5〜2mぐらいまでを限度として寄って来ては遠のくという行動パターンを繰り返す。その間に寄ってきながらエサを拾い、遠ざかりながらもエサを拾うのだ。

3)果して、この行動パターンが実際の釣りに活かせるのか?

端的には言えないものの、例えばコマセマダイの釣り方として、長いハリスを使うことになんらかの有効性があるとは思える。

だが、果してハリスの長さが「7mなのか10mなのか・・・、逆に5mぐらいがいいのか?」となると、釣るポイントによって変わってきそうな要因だと考えられるでしょう。

さて、今回観察した場所は水深18mで、そこから緩やかに傾斜して深みに落ちているものの、海底は砂泥地が延々と広がっている場所。このような場所なら、ハリスは5mでも7mでも10mでも、実際にはエサ盗りたちの集まるコマセの中心からは離れることになり、どちらもエサ盗り対策にはなっているはず・・・である。

ただ、ここに潮の流れが要因として加わってくると、どうなるのだろうか(?)。

今度は、コマセの入ったビシからどのようにコマセが出て、それに対してエサ盗りたちがどのように行動し、そのことによって付けエサがいかにエサ盗りに喰われずに残り、本命(マダイ)の口に入る確率が高まるのかを実験しなければなるまい。

現段階では、まだ想像の域を脱してはいないのだが、ある程度の仮説は立てられそうだ。例えば、そこそこ潮の流れが速くなると、仮にビシを振ればコマセの煙幕は出て、それが潮下に流れる。エサ盗りたちは、コマセの煙幕が出るとコマセの煙幕を追って行動する。潮の流れが速ければ、ビシは振らずにいた方がコマセの出所が一定し、そこに向かって本命がうろつく行動を呼ぶことになる。

ビシと付けエサとの距離がどのくらい離れていたほうがいいのか。

ビシの動きとコマセの煙幕の出方、そしてそれに対してのマダイやエサ盗りたちの行動・・・。

次なる実験のテーマはこれだ。

※釣魚考撮より移設