去る11月23日(祝)愛知県 豊田市にあるひだ池で「ダイワへらバトル2017 in ひだ池」が開催されました。

朝は前夜からの雨が残ったものの、8時過ぎには秋の青空に変わり晩秋のへらぶな釣りを楽しむには絶好の日和。しかも今回のイベントにあわせてひだ池さんでは直前に新べらを放流してくれたとあって、どんな釣り方でも一日中ウキがコンスタントに動くという非常に恵まれた条件でのバトルとなりました。

今回のバトルは5尾重量のルールで行われましたが、ひだ池様の非常に釣れる状況に合わせ急遽、AM7:00~AM10:30の前半終わった時点で一度5尾検量し、一時間空けたAM11:30~PM14:30までの後半で5尾検量して、その総重量で順位を決める2ラウンド制で競っていただくことになりました。

雨模様の前半戦スタート。桟橋が穏やかになるとあちこちで竿が曲がります。

新べらが好調ということで、長竿での宙・底を両グルテンもしくはバラグルセットで攻める選手が多く、開始早々ほぼ入れ食いの状況に「どれも同じ位の型で困っちゃうよ~」と言いながら顔はほころびっぱなしの状態で楽しんでおられます。

しばらくすると、最初沖目を回遊していた新べらも桟橋周りに寄ってきて短竿チョウチンの選手達の竿も曲がりだし、「釣れ過ぎて選べない」状態。

AM9:30からスタートした“早掛けタイム“は3名終了するまでの時間が約3分という状況でした。

そしてあっという間にAM10:30の前半終了。前半戦検量タイムです。

5枚きっちり揃えた選手。ぎりぎりまで粘って最後約15cmの池で育った小べらで終わってしまった選手などいましたが、いずれもそれ以上の釣果に恵まれての結果に5尾検量の面白さを体感されたようです。

 

中休み1時間は恒例のダイワ最新ロッドの試釣用貸し出しもあり、仲間同士事務所前のベンチで和気藹々とランチタイムを楽しんでおられる光景が印象的でした。

そしてAM11:30からの後半戦スタート。すばらしい秋晴れと交換に吹き出した風対策で後半はチョウチンにチェンジする選手が多く見受けられました。

当日の天候は午後から強風。それでも流石は風に強いひだ池。周りを森に囲まれているのでこんな天候でも問題なくへらぶな釣りが楽しめます。

後半になると特に深目の棚では新べらに混じり、大型の旧べらも混じりだし、旧べらの全長を取るか?新べらの幅(厚み)を取るかさらに嬉しい悩みが増えたようですが、周囲の選手と牽制しあいながら、楽しい時間が過ぎていきました。

そして後半戦は3名約2分で終了という超早掛け大会も終わり、短くなった日も傾きかけたPM14:30に後半戦も無事終了。

後半は前半と違い、ほとんどの選手のフラシにはきっちり5尾収まっていました。

注目のバトル結果は

優勝:新田 直人選手 9.86kg

準優勝:西村 和志選手 9.34kg

第3位:古橋 一哲選手 8.84kg

今年のひだ池でのへらバトルは爆釣の中での大接戦。その中で一歩抜きに出た優勝の新田選手は後半15尺「激グルテン」チョウチンバラグルセットでしっかり持たせて大型のアタリを待ち、前半4.08kgに対して後半5.78kgの最大重量を上げての見事な逆転優勝でした。

この後も順次新べらの放流予定があり、冬の風にも強いひだ池はこの後も期待十分です。

是非皆様お越しください!

~衝撃の圧勝劇。セットマイスターの新たなる覚醒~

2017ダイワへらマスターズ全国決勝大会 in 友部湯崎湖

昨年に続き、茨城県笠間市の人気管理釣り場「友部湯崎湖」にて行なわれたダイワへらマスターズ全国決勝大会。

独特なチョウチンウドンセットを操る斉藤心也選手の圧勝劇が強烈なインパクトを残した2016年大会。また今年、その斉藤選手のチョウチンタイフーンが吹き荒れるのか? はたまた…。 さまざまな予測と憶測が飛び交いながら、注目のマスターズの幕が切って落とされる。

今季も好調を維持してきた友部湯崎湖であるが、折からの急激な冷え込みにより、食い自体は大会直前にワンランク下がった印象。試釣りをしていた選手の話しでは、「昨年ほどチョウチンが絶対的有利という状況ではなく、浅ダナ(池規定は自由釣りだが、マスターズルールでメーター規定で実施)でも十分に勝負になるし、これくらい渋いと段底もある」という声。どうやら昨年のようにチョウチンが絶対的大本命…というほどではないようだが、それでも、メーターでは気難しい旧べらが相手となり、それなりの戦略と技術が必要とされるはずだ。

昨年同様チョウチンで挑むシードの斉藤心也選手、星野智明選手、水杉良正選手が圧倒するのか。はたまた天笠 充選手を筆頭とするメーター勢が牙を剥くのか。または、9月に同会場で実施された韓国へらマスターズを征した韓国代表の崔 福洙選手が躍動するか、はたまたまったくの新興勢力が席巻するのか…。

注目の2017年へらマスターズ全国決勝が、いよいよ開幕する。

【予選リーグ】

和やかな前夜祭から一夜明けた11月18日(土)。肌寒い曇天の朝、選手達が緊張の面持ちで夜明け前の友部湯崎湖に集結する。

関東、関西、東北、そして韓国…。各地の厳しい予選を勝ち抜いた選手達に、昨年シードの斉藤心也選手(優勝)、星野智明選手(2位)、水杉良正選手(3位)、天笠 充選手(3位)を加えた総勢16名の選手達は、前夜祭での抽選によって4名ずつAからDの4グループに振り分けられ、各グループ内で1対1の総当たり戦を三試合行う(競技時間は全て2時間)。マスターズ伝統の1対1の対戦方式。準決勝へと駒を進めることが出来るのは、各ブロックたったの1名のみだ。

さまざまな戦略が飛び交う中、選手達は静かに指定の4号桟橋へと入場していく。

7時30分、予選第1試合がスタート。競技時間は全試合2時間。10時より第二試合、昼食休憩を挟んで13時30分より第三試合となる。

マスターズ全国決勝は全試合1対1の対決制度を採用(今年から準決勝も3名1人抜けでなく1対1)、とにかく相手に「勝つ」ことが最優先事項であり、全勝(3勝)すれば文句無し。2勝1敗で並んだ場合は直接対決時に勝った方、三すくみの場合のみ、釣った総重量の比較で予選通過者を決定する。

朝の気温は5℃。予報では日中もほとんど上がることなく、10℃ほど。また天気は下り坂で、10時以降には雨マークも付いていた。この天候はおそらく食いにはマイナスに作用するはずで、選手達の対応が注目される。

試合開始直後、案の定竿の立ち上がりが鈍い。

前評判では「出だし(朝)はメーター有利」ということであったが、そのメーター組も試釣とは感触が違うのか、首をひねりながらエサを打ち返す選手が目立つ。かといって、チョウチンもまた出足から釣る始める選手はなく、その表情は空と同じく曇りがちだ。メーター、チョウチンともに選手達の使用竿も最短の7~8尺ではなく、10尺前後を選択した選手が多かった。

【予選リーグAグループ】

前年度覇者の斉藤心也選手が入ったAグループでは、いきなり「波乱」が起こる…。

チョウチンセットで入った斉藤選手の第一試合の相手は、段差の底釣りを選んだ生稲清吾選手。その生稲選手の段底に、斉藤選手は150g差でまさかの不覚を取るのである。この1敗が効いたのか、斉藤選手は第二試合こそ韓国の崔選手を退けたものの、第三試合では今大会波に乗るメーターウドンセットの名手・佐藤 勝選手に100g差で破れ、まさかの予選リーグ敗退を喫してしまうのである。

結果的には1勝2敗となったが、良く見るとわずかへら1枚にも未たない250gに泣いた斉藤選手。3勝0敗と1勝2敗が紙一重の関係、これも1対1で対戦するマスターズの見所といえよう。

予選を突破した佐藤選手は状況によっては少しエサを背負えるタイプのPCトップのウキを駆使して、変わり行く状況に対応しながら堅実に枚数を重ねていった結果、第一試合350g、第二試合300g、第三試合100g差という大接戦を制して初出場で決勝トーナメントに進出した。当に“1枚の重み”を実感するAグループの対戦となった。

【予選リーグBグループ】

Bグループは4人全員がメーターウドンセットという、「メーター対決」となった。しかもその中にはあの天笠 充選手を始め、メーターセットの使い手として知られる松本茂行選手、姥貝秀樹選手、そして予選から勢い良く勝ちあがった最年少16歳の今井祥喜選手がその名を連ねる。この予選リーグBグループで、今大会の行方を左右するドラマが起こる。

初戦、姥貝選手と対戦した天笠選手が終始姥貝選手にリードを許す形で1.2㎏差を付けられ完敗。続く第二試合の今井選手との対戦も中盤をすぎても状況変わらず、一進一退の戦況に、

「天笠選手、終わったか…」

そんな空気すら流れ始めたその時、ラスト15分でたて続けに4枚を取り込み辛くも勝利する。通常であれば首の皮一枚残った形状況であるにも関わらず、検量を終えた天笠選手の表情には自信が満ち溢れ「次は釣りますよ」のコメント。

いったいその時、何が起こっていたのか?

続く第3試合はここまで2勝をあげている松本選手との対決。天笠選手は“松本選手に“1.65kg以上の差をつけて勝つこと”が条件、松本選手は“勝てば文句なし、負けても1.65kg以内であれば予選リーグ突破”の優位な状況下での直接対決となった。結果的にはここで一気に復調した天笠選手が2勝1敗三すくみに持ち込んで辛くも予選リーグを突破することになるのだが、この「まさかの躓きと復調」こそが、今大会を紐解く上でのキーポイントとなったのである。

 

【予選リーグCグループ】

CグループはBグループとは対照的に、4人全員がチョウチンウドンセットという「チョウチン対決」となった。しかも4人中3名が関西、さらに水杉選手、鈴木選手、飯田選手は昨年も予選リーグBグループで対決していた。対するのは関東の茂木選手。お互いに手の内を知るもの同士の戦いにいかに茂木選手が食い込んでいけるかに注目が集まった。昨年は2勝1敗の3すくみを重量勝負で勝ちあがり、そのまま決勝の舞台まで勝ちあがった水杉良正選手だが、その水杉選手へのリベンジに燃える選手がいた。今季絶好調の鈴木千秋選手である。

鈴木選手のチョウチンセットは、タテサソイを繰り返しながら力強いアタリを積極果敢にとっていく攻撃的なもの。しかし、その誘い幅は比較的小さく、喰わせを大きくフォールさせるというよりは小刻みにシェイクしてへらに反応させるタイプ。チョウチン組がアタリを出すのに苦しんでいる中、優しく小さなサソイの繊細さで他選手を一歩リードしていたのである。

結果、3勝0敗で見事チョウチン対決のCグループを制した。

【予選リーグDグループ】

Dグループも実力者揃いの混戦。しかし、蓋を開けてみれば「この男」が頭ひとつ抜き出た強さを発揮することとなる。三年前、あの浜田 優選手を打ち破って全国優勝まで駆け上がった山形の新鋭…、いや、もう「新鋭」という言葉は似つかわしくないほど各大会で実績を挙げ続けている、時田光章選手である。

メーターセットで挑んだ時田選手の攻め方は、やや小さめのバラケを駆使し、その素早い打ち返しを駆使して丁寧に丁寧に拾っていく繊細なもの。バラケをあまり持たせない、いわゆる「抜き系」のセットが体勢を占めていく中、ただ一人、やや持たせ気味にして確実なアタリを出し続けていた時田選手は、釣果的にも他選手を圧倒。見事、隙のない3勝で危なげなく予選リーグを突破するのである。

Dグループの総合重量をみると分かるのだが、時田選手以外のの3選手共に釣果的には他のグループであれば予選突破ラインに届こうという結果を挙げている。全選手中最高釣果3試合33.6kgを釣った時田選手が当にハマっていたのである。

このまま時田選手が最後まで突っ走るのか?はたまた…。

途中、予報どおり雨が降り出した湯崎湖だったが、予報よりは小降りで済んだ。しかし冷え込みによる渋さは選手達の予測を越えていたようで、波乱もあった中、Aグループ佐藤 勝選手、Bグループ天笠 充選手、Cグループ鈴木 千秋選手、Dグループ時田 光章選手…の4名が、準決勝に駒を進めることとなる。

佐藤、天笠、時田の3選手がメーターで、鈴木選手のみがチョウチン。

予選リーグ敗退を喫してしまった斉藤心也選手は、「チョウチンがダメだったというより、自分が釣れなかった。状況に合わせられなかっただけです。去年よりかなり難しく、いろいろやったんですが、最後まで波に乗ることが出来ませんでした」と謙虚に語った。

また同じくシードで昨年準優勝の星野智明選手もチョウチンで挑んだが、「全然ダメでした。完敗です。去年より一段と難しく、とにかく手強かったです」と爽やかに完敗を認めていた。

試合後、ホテルにて行われた中夜祭における抽選にて、準決勝は時田選手VS天笠選手、鈴木選手VS佐藤選手、という対戦カードに決定。各組の勝者1名のみが栄光の決勝戦に進出することとなる。

時田選手と天笠選手の対戦が決定した瞬間、会場がどよめく。事実上の決勝戦…とも言うべき好カードであるが、今大会、ノっているのは時田選手の方か。果たして、結果は如何に。

また静かなる強さを見せつける佐藤選手のメーターも不気味である。実力的には折り紙付きなだけに、もしかしたら決勝でも…の空気も生まれていたが、ただ一人チョウチンで勝ち上がってきた鈴木選手に対しても、「昨年の斉藤選手の圧勝劇の再来か」との空気も漂う。

 

大一番を前に、静かに夜は更けた。

 

【決勝トーナメント&シード権獲得戦】

明けて11月19日㈰。いよいよ雌雄を決する時。

前日の天候が嘘のように、朝から穏やかな青空が広がった。しかし放射冷却の影響で、とにかく寒い。今季一番の冷え込みとなった朝、友部湯崎湖の外気温計はかろうじて1℃を差して氷点下は免れたが、桟橋には真っ白く霜が降りて、選手達には池側から「入場時には転倒注意」の注意が伝わった。

準決勝は敗れた選手達全員による(前年優勝の斉藤選手は規定により既にシード権を保持しているために欠場)翌年度ブロック大会決定戦シード権獲得戦と同時に、7時30分にスタート。

前日同様4号桟橋5号桟橋向きに、向かって右手から時田選手VS天笠選手、鈴木選手VS佐藤選手…の順に並ぶ。釣り方は順に、時田選手と天笠選手がともに9尺メーターウドンセット、鈴木選手が9尺チョウチンウドンセット、佐藤選手が8尺メーターウドンセットだ。

【準決勝Aグループ】

時田選手と天笠選手のメーター同士の「潰し合い」に加え、鈴木選手と佐藤選手の「チョウチンVSメーター」の対決。非常に見応えある準決勝となった。

7時30分のスタート直後の2投目、いきなり時田選手が食わせる。

これには天笠選手の表情が一瞬変化するが、どうやらこれはラッキーパンチだったようで、その後は予想外のジャミの猛攻を受け、ウキの動きがまったく安定しない。

一方、完全に攻め方を見切っているのであろうか。落ち着き払った表情の天笠選手が開始から8分後に掛けると、1枚、また1枚と着実にカウントを重ね始めた。浅いナジミを基本に、しっかり待って対岸からでも分かるようなはっきりしたアタリで確実に仕留めていく。対する時田選手は、完全に決まっていた前日と状況が違うのか、時折苦笑いを浮かべながら竿が空を切る場面が目立つ。

天笠選手とほぼ同時に絞った佐藤選手もまた、コンスタントに竿を曲げ始めた。ほぼゼロナジミ、いわゆる「抜き系」のセットだ。対する鈴木選手はウキは踊っているが、空振り・スレで首を横にかしげるしぐさが目立ち、なかなか1枚目が遠い状況。出足は間違いなく、佐藤選手が鈴木選手を圧倒していた。

ここまでの結果の上辺だけを見れば、2勝1敗でギリギリ予選を突破してきた天笠選手に対し、ブッチギリの総重量トップで突破してきた時田選手が順当に決勝戦へと駒を進める「はず」だった。

しかし、そう単純に事が運ばないのがまた、トーナメントの妙である。

天笠選手は、完全に躓いた予選第一試合と第二試合の前半を経て、実は試釣からずっと感触を得ていた釣り方を捨て、大きく修正していたのである。

天笠選手といえば、そもそもウキを入れていく…、つまり、バラケを持たせつつの釣りをベースとして強さを発揮してきたセットマンである。小さなバラケで静かに寄せ、静かに粘り強くアタらせる「静の釣り」から、近年はバラケを持たせつつも強烈に寄せて派手にウキを動かしながら釣り込むパワー系寄りのスタイルも取り入れ、それなりの結果を残してきていた。

しかし、準決勝で時田選手を圧倒し始めたそのスタイルは、今までの天笠選手には見られなかった釣りだった。

「抜き」である。

自身の釣りのシンボルでもあったパイプトップのウキではなく、PCムクトップ。そして、明らかにナジミは浅く…というより、ほとんどナジませないゼロナジミ…いわゆる「抜き」の釣りを展開し、そのまま「タッ!」と落とすアタリに繋げて時田選手を圧倒していたのである。

時田選手の釣りは、バラケの出し入りを繰り返しながらも、基本的には小エサを持たせていくスタイル。これが予選では抜群に決まったのだが、釣り座が間引かれた準決勝では本来であれば圧倒的優位なヘチの釣座があだとなり、ジャミとへらが混じった状態でウキが動き過ぎている感があり、肝心の決めアタリがなかなか出ない…というスパイラルに陥ってしまっていた。

ほんの僅かな差が、ここまで決まっていた釣りを崩してしまうものなのか。

時田選手の失速は、いかに彼らがギリギリの領域で勝負しているかの象徴だったのかもしれない…。

「準決勝では、アタリを出すことが出来なかった。完敗です」

浮遊感溢れる浅ナジミのウキの動きで良型をバシバシと釣り込んでいく天笠選手の横で、時田選手は終始波に乗れないまま準決勝の2時間を過ごすこととなったのである。

【準決勝Bグループ】

一方、佐藤選手VS鈴木選手は?

天笠選手同様、完全に水面から馴染む直前の間でバラケを落とす抜きの釣りを展開していく佐藤選手。得意のスタイルである。しかし、釣れる時はバタバタと何枚か連続するのだが、その後何分かポッカリと「穴」が空いてしまうのだ。

ジワジワと棚に食い気のあるへらを蓄積していった鈴木選手が、その隙間を埋めるように良型を取り込んでいく。

序盤は完全に佐藤選手のゲームだった。しかし、「穴」の時間がどんどん長くなる中、鈴木選手のペースは一定で、しかも僅かながら型がいいのである。

検量後の佐藤選手の一言、「同枚数では勝てないと思っていたので、完敗です」

16枚対16枚。

一進一退の攻防は、同枚数。そしてチョウチンならではの良型を揃えた鈴木選手が上回った。

同じ「抜き系」の釣りながら、へらぶなを手玉に取るように支配下に置いた天笠選手に対し、佐藤選手は最後まで「穴」を埋めるような釣りが出来なかった。しかし、その差もやはり、実際はやっている本人達にしか分からないであろう、ほんの僅かなものなのかもしれない。

「チョウチンは出足が悪いので昨日(予選)と同じく10尺で入ろうか悩んだんですが…結局9尺でいきました。案の定、序盤は佐藤さんに走られましたが、落ち着いて追い上げることが出来たと思います。」

初の決勝の舞台へのチケットを得た鈴木選手は試合後、爽やかな笑顔でそう語ってくれた。

かくして、決勝戦のカードは天笠 充選手VS鈴木千秋選手に決定。くしくもメーターVSチョウチン対決となる。

【シード権争奪戦】

同時開催された「シード権獲得戦」では、韓国代表の崔 福洙選手が10.35㎏を釣ってトップ。以下、水杉良正選手、松本茂行選手、小寺則之の各選手が、翌年度ブロック大会決勝戦大会シード権(1勝すれば全国)を獲得し、大会を終えた。

 

【 決勝戦 】

~メーターVSチョウチン。「マイスター」の凄さを知る、衝撃の圧勝劇~

10時30分、対岸の5号桟橋で全選手及びスタッフ、報道陣、ギャラリーが固唾をのんで見守る中、いよいよ2017年のダイワへらマスターズ覇者を決める決勝戦が4号桟橋にて始まる。

向かって右が鈴木 千秋選手、左が天笠 充選手だ。

天候は快晴の釣り日和。気温は10℃と寒いが、厚着をして太陽の光りを浴びていると暑いくらいだ。また心配された風も吹かず、最高の条件下での大一番となった。

決勝戦、メーターウドンセットの天笠選手は竿を1尺短くし、「兆」8尺を選択。また鈴木選手も竿を短く、最短の「荒法師 武天・K」7尺でのチョウチンウドンセットだ。「桟橋に二人のみ」というシチュエーションを想定しての「決勝仕様」である。

予選の躓きを経て完全に「覚醒」している感のある天笠選手のメーターか、はたまた昨年の斉藤選手同様、最後の最後で鈴木選手のチョウチンが火を噴くのか…。注目の決勝戦が、静かに始まった。

5回ほどタテサソイを繰り返した後、打ち返していく鈴木選手。対する天笠選手は出足から浅めのナジミで入り、4投目に早くもアタリをもらうが、これは空振りに終わる。

不気味な静寂を打ち破ったのは、天笠選手だった。

開始から11分後、フワフワとウケていたトップがそのまま「チャッ!」と落として1枚目を釣ると、続けて同様のアタリで2枚目を連続ヒット。さらに次の1投を空振った後、3枚目を仕留める。

このスタートダッシュで勢いに乗った天笠選手は、落ち着いて「プラン通り」の釣りを展開していくのである。

一方の鈴木選手には、初めての「マスターズ決勝戦の洗礼」が襲いかかっていた。

天笠選手から遅れることさらに5分で1枚目をものにしたものの、ウキは踊り、制御出来ないほどの状態に。おそらく頭では分かってはいたであろう「桟橋に2人だけ」という異常事態は、鈴木選手の想像を遥かに越えていた。

鈴木選手のウキを見ていると、激しい突き上げを受けながらもいったんはナジむが、タテサソイ3回から5回ほどでバラケは抜け、そこで小さく鋭いアタリはもらえていた。しかし、これがことごとくカラツンやスレになってしまうのだ。意識的にアタリを送ったり、打ち返しのリズムを遅くしたりはしているようだが、いかんせん、この状態から抜け出せない。その表情からは、「バラケがもっと耐えていて欲しい」というニュアンスが伝わってきた。

一方、「場数は十分」の天笠選手は、冷静な表情で淡々と良型を掛けていく。

「出足に寄ってくるへらは、とにかくウキを入れてくれない。なので、このへらはとりあえず釣ってしまう。で、その後に寄ってくるへらというのは、案外、ウキを突き上げるような動きを出さない。ここからが勝負で、浅ナジミの釣りをキープしつつ、今度は意識的に深いナジミを入れるエサ付けも織り交ぜてタナを崩壊させないようにしつつ、コンスタントに釣り続けていく」

序盤の「連続ヒットスタート」は、まさに想定どおりだった。

そしてそのスタート奪取に浮かれることなく、「本命のへら」が寄ってきた後は、ウキが静かになり過ぎないよう、また必要以上に寄せ過ぎないようバラケを制御。「抜き」での早めのアタリをベースにしつつ、時には完全に沈没するまでナジませて、抜けた後の消し込みで良型…という、まさに「完璧」なゲーム展開へと持ち込んでいくのである。

なんという技術。そして、なんという戦略眼と勝負度胸。

開始から1時間が経過した時点で、天笠選手が16枚、鈴木選手が8枚。

そして、そこからジワジワと棚のへらを安定させてきた鈴木選手であったが、鈴木選手が釣れば必ず天笠選手に釣り返され、さらに1枚2枚必ず追釣られてしまう…という展開が続く。

残り30分となった時点で、天笠選手26枚、鈴木選手16枚。

ここからさらにウキを深く入れるエサ付けを増やし始めた天笠選手は、一段ギアを上げてペースアップ。時には膝を立てて取り込むような大型も交じり、手の付けられないペースへと突入していったのである。

開始直後の「寄り過ぎ」にも冷静に対処し、徐々にペースを上げて来ていた鈴木選手ではあったのだが、いかんせん相手が凄過ぎた…。

10枚差は詰まるどころか、この最後の30分で逆に開いてしまうのである。

12時30分、終了の合図とほぼ同時に天笠選手が良型を掛け、2時間の決勝戦が終了。

天笠 充選手  37枚 20.9㎏

鈴木 千秋選手  22枚 13.55㎏

関西のチョウチン職人鈴木選手をもってしても、「完全覚醒」してしまったセットマイスターを止めることは、ついに出来なかった…。

その尾数は昨年の斉藤選手と同枚数。重さはメーターにも関わらず昨年を上回る重量を釣り上げた。

天笠 充。

この男の快進撃は、まだまだ来年も続きそうである。

〈完〉

 

決勝トーナメント進出選手のタックル

優勝 :天笠 充 選手

釣果は決勝2時間で37枚20.90㎏

釣り方:メーターウドンセット

竿:「兆」8尺

道糸 :スペクトロンXP 道糸1.0号

ハリス :スペクトロンXP ハリス 上0.6号8㎝、下0.5号40㎝→35㎝

ハリ :上「極ヤラズ」7号、下「喰わせヒネリ」3号

ウキ :「吉田作 AYアズーロ」5番。ボディ7㎝のPCムクトップ。エサ落ちは7目盛中、クワセを付けて4目盛出し

エサ

バラケ:「粒戦」100㏄+「粒戦細粒」50㏄+「セットガン」100㏄+水200ccをしばらく放置後、

    「サナギパワー」50㏄+「バラケマッハ」50㏄+「軽麩」50㏄で仕上げたもの。 

クワセ:「力玉 小(さなぎ粉漬け)」

 

準優勝 鈴木 千秋選手

釣果は決勝2時間で22枚13.55㎏

釣り方:チョウチンウドンセット

竿:「荒法師 武天・K」7尺

道糸 :1.2号

ハリス :上0.8号8㎝、下0.6号60㎝→20㎝

ハリ :上「改良ヤラズ」8号、下「改良ヤラズ」3号

ウキ :羽根2枚合わせボディ6㎝の極細グラスムクトップクワセを付けて1目盛残しに設定

エサ

バラケ:「粒戦」100㏄+「とろスイミー」50㏄+「セットガン」100㏄+水200ccをしばらく放置後、

    「セット専用バラケ」、「凄麩」、「パウダーベイトスーパーセット」の3種類を全部で400㏄の

     配合で仕上げたもの。

     例えば、食いが悪い状態では「セット専用バラケ」を200㏄と多めにし、バラケを持たせたい時は

    「パウダーベイトスーパーセット」を200㏄と多めにする。

クワセ:「電子ウドン」30㏄+水40㏄

 

3位 佐藤 勝 選手

釣果は準決勝2時間で9.00㎏

釣り方:メーターウドンセット

竿:「兆」8尺

道糸 :0.8号

ハリス :上0.5号7㎝、下0.35号37㎝→34㎝

ハリ :上「バラサ」7号、下「タクマ」5号→「かる玉鈎」5号

ウキ :「力也 トーナメントモデル Type-A」4番。ボディ5.5㎝のPCムクトップ

エサ

バラケ:「粒戦」200㏄+「粒戦 細粒」100㏄+「とろスイミー」50㏄+水300ccをしばらく放置後、「底バラ」

     100㏄で仕上げたシットリボソ。

クワセ:「さなぎ感嘆」で、「感嘆」1袋に「さなぎ粉」30㏄を混ぜたもを10㏄+水0.9

 

3位 時田光章 選手

釣果は準決勝2時間で6.50㎏

釣り方:メーターウドンセット

竿:「龍聖・E」9尺

道糸 :0.8号

ハリス:上0.4号8㎝、下0.35号35㎝

ハリ :上「バラサ」6号、下「サスケ」4号

ウキ :「達明作」ボディ5㎝のパイプトップ

エサ

バラケ:「粒戦」100㏄+「粒戦 細粒」50㏄+水150ccをしばらく放置後、「セット専用バラケ」150㏄+

    「軽麩」100㏄で仕上げたものを「軽麩」で調整。

クワセ:「さなぎ感嘆」1+コーラ1

 

 

 

 

 

 

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