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1.トーナメントが頻繁に開催される超人気ターゲット

釣具メーカーや釣具販売店が主催するトーナメント(釣り大会)が、この時期になると頻繁に開催されるまでになった魚種・カワハギ。いまや押しも押されぬトップクラスの人気ターゲットと言えるだろう。

面白いもので、カワハギ釣りを愛好する理由となると、釣り人の間で大きく二分されるようだ。

ひとつは、やはり食味。ちょうど11月ぐらいから肝が大きくなり、その肝あえのお刺身はまさに極旨。身そのものは白身で淡白なのですが、そこに肝と醤油があわされると、まろやかで味の深みも増し、一度食べたら病みつきになる「魔の食材」的な要素がそこに潜んでいる。ただし、肝が新鮮でないと、このような食べ方はできないために、肝あえのカワハギを食べたいがゆえに、自分で釣るという人も、実は少なくないワケだ。

もう一方、なかなか釣れないカワハギ。エサばかり盗られる、ハリがかりさせると小気味よいカンカンとした強いヒキもこたえられない・・・、こういった釣趣面白さにのめりこむ人も少なくない。

こう好条件がそろえば、人気が出ないはずがない理由がお分かりいただけることだろう。そこで、いまやトップスターにのし上がったとも言えるカワハギの素顔に迫ってみよう。

ふだんのカワハギは海底のエサを喰う

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ふだんのカワハギは、海底にジェット噴流をふきかけてエサを捕食します。海底の砂や砂泥を吹き上げて、そこに潜むエサを露呈させて喰っているのです。

仕掛けのエサを上手に盗る。本命のターゲットだから、「エサ盗り」と呼ぶには忍びないが、上手にハリからエサだけを盗っていき、まるでハリそのものの存在を知っていて、こっそりと盗み盗っていくのがカワハギだ。

だが、ふだんのカワハギはというと、海底のエサを一日中探して喰っている。その喰い方がまた面白い。カワハギの棲んでいるところは、海底が砂地、または砂泥、そこに岩礁が混じったような場所。また完全な岩礁帯にも棲んでいる。

食べているものは、小さなエビ・カニ類、貝類、ゴカイ類。

ところが、こういったエサたちも、巧妙に砂や砂泥、岩礁の付着生物などにうまく隠れている。カワハギは、海底に向かって口から強い水流を吹きかけ、その狙った部分の砂が舞い上がり、そこに隠れていたエサたちが一瞬姿を露わにする。その隙に、素早く捕食しているワケだ。

このジェット噴流作戦は、もしかしたらカワハギ本人にしてみると、手当たり次第に行なっているのかもしれないが、海中で観察している限り、ある程度めぼしをつけて、ココぞというところでジェット噴流を吹き付けているようにも見える。

そんな喰い方をしているのにどうして上手くエサを盗れるのか?

ふだん、前述したようなエサの捕食方法を行っているカワハギが、なぜ釣りの仕掛けからは上手にエサだけを盗れるのだろう。

それは、カワハギのカラダの構造に秘密がある、と断言できるだろう。

カワハギの体形からして、海中を猛スピードで泳ぐことは難しい。その代わり、あの平たいカラダとよくうねる背ビレ、尻ビレ、これこそがカワハギ流の独特な喰い方を可能にするワケだ。

まず何か興味を引くようなものを見つけると、背ビレや尻ビレをたたんで、扇形に開く尾ビレを使って急行し、言ってみれば、集寄(板)がキラキラと光れば、そんな誘いにつられて、それをめがけて泳ぎ寄る。そしてエサを見つけると、今度は背ビレと尻ビレをヘビのようにうねらせ、胸ビレを軽くあおるように使いながら、海中のある一定の位置に器用にとどまる独特の泳ぎをする。

釣り人が垂らす仕掛けが胴付きで、海底に立っている状態なら、そこにぶら下がっているエサを、まるでパン喰い競争を上手にこなすようにしてエサだけ喰う。エサの一部を噛んでは、噛み切るか、首をわずかに振って喰いちぎる。

そのうちにハリが露出すると、ハリは喰い物ではないことだけは悟っているようで、エサだけをうまく喰いちぎっていくのだ。

では、この仕掛けが立っているときは釣り人に勝機はないのかというと、まったくないワケではない。

小さなエサなら、まるごと口に入れるときもあり、最近はこの状態で掛けられるように懐の開いたハゲバリが、このようなときに使われるようになった。ハリの懐が開いて、針先が外に向いていれば、このような場合でもハリ掛かりさせやすいからだ。

たるませ釣りは、カワハギ本来の喰い方を呼ぶ

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カワハギ釣りの定石のひとつ「たるませ釣り」。仕掛けが海底にはい、付けエサが海底にあると、その喰い方はかなり違ってきます。

また、カワハギ釣りのひとつの定石とされる「たるませ釣り」。これは、仕掛けをはわせることで、エサが海底に落ち着く釣り方だ。海底に落ちているエサに関しては、カワハギ本来の喰い方にマッチするので、ふだんと同様の捕食を実践することになる。斜め下を向いて、エサを吸い込み、口の中で転がして、不要なものを吐き出しながら喰う。つまり、仕掛けが立っている状態とは、あきらかに違う喰い方となるワケだ。エサは何度か必ずカワハギの口の中に入るタイミングがある。だが、違和感を感じると、そのエサを吐き出すため、なるべく違和感を感じさせないで、カワハギの口の中にエサが入り込んでいるタイミングを多くしてあげれば、必ずそこに釣り人の勝機が存在することになるワケだ。

最近、吸い込み系のハリをこの「たるませ釣り」に使うことが流行っているのは、その理由からだ。

カワハギの面白い生態はクラゲが大好きなこと

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大型のサルパというプランクトンというか、クラゲの仲間の弱った個体が潮に乗って流れてきました。カワハギがそれを見つけて、すぐに喰いにいったところをみると、間違いなくクラゲは好物のようです。

最近は日本海の巨大なエチゼンクラゲが社会問題となっているが、このエチゼンクラゲの天敵がカワハギとウマズラハギということはあまり知られていない。

クラゲ類を食べる生物としては、海ガメやマンボウが知られている。さすがに、エチゼンクラゲともなると、マンボウや海ガメが日本海側にどれだけの数いるのか、またあの大きなクラゲに対して太刀打ちできるのかは不明だ。だが、カワハギは群れになって大きなクラゲも襲うことがあり、それこそカワハギにはもっともっと頑張ってもらいエチゼンクラゲを喰って欲しいもの。

なぜ、ここでクラゲの話を持ち出したかというと、カワハギ釣りのエサについて話したかったからだ。

カワハギ釣りのエサが、なぜアサリのむき身なのか?

もう一度、その原点に立ち戻って考えてみたい。

他の魚種(他の釣りのターゲット)は、いろいろなエサを試みるのに対し、カワハギ釣りだけはあまり試みられてないようだ。磯ではオキアミのエサでカワハギはハリがかってくるし、以前シジミで試しても喰って来た。おそらく、クラゲもエサになるだろうし、イソメやゴカイをエサにしても喰うはず・・・。

ボクもカワハギフリークのひとりですが、カワハギ釣りに不満を呈するならば、この使うエサについて・・・。

実は、付けエサを変えることで、なにか違うカワハギ釣りがあるのではないか、と考えているのです。最近、日本各地でカワハギが釣りの対象として狙われるようになり、小さな活きエビを使ったり、ムキエビを使う地域も実はある。もっと多種のエサが、カワハギ釣り用として認知され、市民権を得てもいいはず・・・。

この点は、ボクなりに試行錯誤し、なにか釣り人の視点で面白さがわかったら、ここでまた発表したいと考えている。

※釣魚水中生態学入門より移設