銘竿の系譜
枯法師物語 その4
浜田優の七代目枯法師インプレッション
1月21日からのオンラインフィッシングショーでお披露目された七代目枯法師は、すでに各地で話題の中心になっているようだ。発売予定は3月だが、早くも予約が相次いでいると聞く。
六代目が登場したのが2013年、それから9年の歳月を経て誕生した七代目だから、へら師の間で待望感がみなぎっていた故の話題沸騰なのだろうが、七代目はそれらの期待に完璧に応え得る出来栄えとなっている。
前回は生井澤聡テスターに七代目の全貌を語ってもらった。そのわかりやすい解説が竿の特徴を余すところなく伝えてくれた。「あれで発売がますます待ち遠しくなった」という嬉しい反響も多数いただいた。
そして今回は「カリスマ」浜田優テスターに語ってもらった七代目のインプレをご紹介しよう。昨年最終プロトで釣りをしてもらった時に伺った話である。
言うまでもないが、浜田はへらぶな釣りにおいては真のオールラウンダー。コテコテの野釣りから最先端のメジャートーナメントまで、あらゆるジャンルを釣り込んできた。トーナメントにおける輝かしい実績は語るまでもないだろう。
竿あしらいの見事さは右に出るものがないほどで、同時に竹竿も含めた竿の薀蓄も非常に深い。故に七代目のインプレも実に傾聴に値するものだった。
↑浜田テスターの枯法師インプレ ↑尺ごとに使用感を確かめる浜田テスター
七代目枯法師 15尺:「この竿は、本物です」
釣り場は埼玉県狭山市の前山の池。枯法師に相応しい雰囲気を備えた池だ。浜田は山側の左奥に釣り座を決め、まず今回注目の15尺を継いだ、釣り方は両ダンゴの底釣りで入るようだ。
前山の池はさすがによくウキが動く。晩秋なのでまだ両ダンゴでいい感じで釣れる。浜田は15尺で1時間に7枚釣って感触を十分に味わった後、竿を仕舞いながらインプレを語り始めた。
「15尺でタナが2本半ほどの底釣りでしたが、実際に魚を釣ってみて感じたことは、六代目よりは大きく胴に入るということですね。魚が掛かってからすぐに手元まで綺麗な弧を描くことに気づきました。しなやかな曲りが実に綺麗です。そのままためていると自然に魚が手元に寄ってきます。そして水面を滑ってタモに入る。その一連の流れがとても気持ち良く決まる竿ですね。
4継化されたことで、より細身になって和竿っぽくなりました。適度な重さがさらに質感のあるしっとり感を感じさせてくれます。最初は少しコツがいるかもしれませんが、慣れると柔らかいエサも楽に振り込めますね。
15尺で4継だと柔らかいだけの竿だとカブってしまいがちですが、それは全然ない。シュッとしています。しなやかながら、カブらないギリギリのラインにきっちりセッティングされていることで「HERA R15」の4継とは全く違った仕上がりですね。16尺は5継でテーパーがあるので、軽さを意識した生地組になっていて、早い釣りにも対応してくれそうです。
最近の竿はへらぶなのサイズの大型化に伴って硬目の竿が多いけど、釣り味という点ではやはり枯法師ですね。やっぱり竿は綺麗に曲がってくれないと。実はその方が大きい魚も楽に寄ってくるんですけどね。硬い竿で無理やり引っ張っても魚は寄って来ません。
私は15尺ぐらいが竿の特長を一番よく表すと思うんですが、そんな意味で感じたことは、やっぱり『The枯法師』という感じです。竿全体が極めて美しい曲りを見せ、しかも粘り強いパワーがある。まさに『本物』という印象を受けました」
こうまとめてくれた。競技の釣りにおいて、浜田の取り込みスピードは誰よりも早い。しなやかな枯法師を使っていても早い。それは竿掛の延長線上で魚を浮かせた後は、引っ張らずに竿全体の曲りで寄せてくるからだろう。そのように取り込むと、魚は実に素直だ。
↑枯法師の仕上がりに思わず笑みを浮かべる浜田テスター
七代目枯法師 13尺:「この竿には芯がある」
続いて浜田は13尺を継いだ。同じ底釣りで少し手前を釣る感じだ。相変わらずアタリは快調で、やはり1時間で6枚釣った後、浜田は印象を語り始めた。
「振った感じでは15尺と同じで、やっぱり胴にスッと乗りますね。六代目とはかなり違う。七代目の方が少ししっとりとした柔らかさがあるかな。
15尺から持ち変えた瞬間にはちょっと強さを感じましたね。強いというか、キレがあると表現した方が正しいかな?
ですからへらを寄せてくる時も余裕を感じました。しなやかでも腰がある、という感じね。良い竿というものはしなやかさの中にも頼りがいのある腰があるんですよ。だから竿の曲りで魚を寄せてくることができる。
逆に硬い竿でも腰がない竿があります。その場合は引っ張らないと魚は寄りません。しかし引っ張ると魚は逆に走ろうとする。だから寄らない。悪循環です。その点、この竿には『芯の強さ』というものがありますね。
13尺というと、今の時期のチョウチンセットとか、他の釣り人より少し沖を釣りたい浅ダナセットなどで意外と出番が多い長さですね。今日は浅い底釣りでしたが、チョウチンで魚を持ち上げてみると、竿のパワーをよりダイレクトに感じることができるでしょう」
↑美しい釣り姿には枯法師がやはり似合う
七代目枯法師 11尺:「理想的なバランスを持っている」
次に浜田は11尺にチェンジした。12尺から短い尺は穂先がメガトップのソリッド穂先になっているが、釣りを終えた浜田が最初に口にしたのがその穂先の印象だった。
「穂先の印象はチューブラーとそんなに変わらないですね。両方共に先径0.8mmの極細ということもあると思いますが、アワセた時もとくにソリッドとチューブラーの違いはないです。ソリッドだと普通は少しカブる感じがするんですけど、枯法師の11尺は4継なのでそれはないですね。水切れはとてもシャープです。
11尺も15尺、13尺と同じようにいい感じで胴に乗ってきます。でも元竿のテーパーがあるので、かなりしっかりしています。シビアなトーナメントでの浅ダナのセット釣りにはベストでしょうね。使ってみてすぐにその釣りがイメージできました。小ウキも気持ちよく振り込むことができるでしょう。テンポ良く振り込めるので、釣りが楽しくなりますね。
↑今回浜田テスターは撮影・取材などを通して様々なフィールドで枯法師のポテンシャルの高さを再確認
七代目枯法師 8尺:「完璧なオールラウンダー」
最後に浜田は8尺を手に取った。短尺アイテムは一度六代目を継いで振ってみた後で再確認するように七代目を試す念の入れ方だった。その結果は
「最初に七代目を持った時の印象はどしっとした良い意味での重厚感があったので『六代目よりしっかりしている?』というものでしたが、実際に両者を振り比べてみたら、やっぱり七代目の方がしなやかでした。
そして実際に何枚か釣った印象は、今回の短尺こそどんな釣りも高度にこなす完璧なオールラウンダーだということです。競技でもプライベートの釣りでも、それなりに面白味を与えてくれます。 竿のしなりでエサを運んでくれるので、浅ダナのシビアな甘いエサも振り込むことができます。
風の無い時に最高のスピードでエサ打ちするには「HERA S」などが良いのですが、風があるような時には枯法師のような調子の方が風に負けないエサ打ちが可能になりますね。
しかも釣り味がいい。8尺あたりだとあまり釣り味を言う人は少ないのですが、この竿にはそれがありますね。
↑釣り味を感じさせる短尺の曲がり
七代目枯法師のまとめ
そして全体的に七代目枯法師に言えることは、やはりデザインの素晴らしさですね。段巻の配置や色味など、細部にこだわりが伺えて、手にする度に『やっぱりいいなー』と惚れ惚れします。段塗だから飽きがこないですよ。やっぱり和竿のテイストは捨てがたいですね」
こうしてこの日15尺、13尺、11尺、8尺と4本の七代目を使った浜田は最後に以下のようにまとめてくれた。
「へら竿も細分化されてきました。いろいろな竿があって使い分けられるのは素晴らしいと思います。そんな中で枯法師はしなやかなバランスで魚の引きを楽しめるしなやか目のオールラウンダーな竿の最高峰といえますね。へらぶな釣りの本質を味わえます。そしていざとなれば競技でも牙をむくポテンシャルを秘めているともいえます。
やはり七代目も変わらず私にとってメインであり、勝負竿であることを再認識させてくれました。」
さすが「カリスマ」と言われるだけの分析力だった。
今回浜田テスターの枯法師使いを観れる動画を同時公開。
ダイワマスターズも開催されている茨城県笠間市友部湯崎湖で9尺と14尺での釣りを披露してくれています。
是非ブログに続き、ご覧ください!!
↓動画を観るにはここをクリック!!