今年はまだまだ水温が高めだが、徐々にメジナの好釣果も聞かれるようになってきた。先日も大分に釣行した際、鶴見周辺では大型爆釣の釣果情報も聞かれた。
さて、今回のメジナについてであるが、メジナほど狡賢いというか、性格の読めないサカナも珍しい。基本的にメジナは臆病なサカナ。ところが、ある時点でスイッチがはいってしまうと大胆な行動に出て、エサを独占して喰いまくる。つまり、メジナにスイッチを入れさせることができれば、ハリ付きのエサも喰わせることができ、爆釣も夢ではないのである。
メジナの場合、群れの構成はだいたい似たような大きさの魚体で構成されることが多い。木ッ葉の群れの中に大型が混じることもまれにあるが、ほとんどの場合、木ッ葉は木ッ葉のみで群れ構成していることの方が多い。
メジナの棲家は、岩の割れ目やオーバーハングしたような地形の岩陰など。そこに木ッ葉の群れ、30cm魚体の群れ、40cm魚体の群れなどが別々の群れを構成して棲んでいる。仮にその周辺で釣り人からコマセが撒かれた場合、最初に反応を示すのはベラやキタマクラなど。もちろんメジナたちもエサの存在に気がついているものの、うかつには手を出してこないものである。特に大型になればなるほどその辺は慎重だ。ベラやキタマクラたちがコマセを喰っていると、そのうちに木ッ葉たちがイライラし始める。喰いたいけど勇気がでない。群れの中がザワザワとし始める。しかし、木ッ葉の中の1尾が我慢し切れなくなって、群れから飛び出し、コマセを喰ってあわてて群れに戻ってくる。まさに「パシリ」。その「パシリ木ッ葉」は群れに戻ると、再びコマセの煙幕にダッシュで戻り、エサを捕食する。安全に戻ってきたパシリ木ッ葉のその姿を確認した他の木ッ葉たちも急に活気付き、次々にコマセの煙幕の中に突入してエサを捕食し始めるのだ。その頃になると、ベラやキタマクラたちはコマセエリアの端の方に追いやられ、木ッ葉がコマセエリアを支配するようになる。
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木ッ葉たちが無邪気にコマセを捕食しているのを見て、面白く思っていないのは30cmや40cmの良型メジナたち。自分たちもコマセの匂いで食欲がわき、エサを喰いたいのだけれどその勇気がでない。その様子は、たとえて言うなら優勝寸前の野球チームに似ている。胴上げしたくて、選手たちはマウンドまで飛び出したくてしかたがない。一球一球その動向を見て、最後の打者がアウトになった瞬間に飛び出していく。そんな姿に似ている。メジナはエサを喰いにいきたいが、いまひとつ大胆に飛び出していかれない。群れ全体にイライラ感が充満してくる。ここからが大きくふたつに状況は分かれる。ひとつは、良型メジナの1尾がコマセに突入する。エサを捕食して戻ってくる。そうなると、他の良型メジナもいっせいに隠れ家から飛び出してエサを喰い始める。何度もコマセの中に突入しては、喰うと隠れ家に戻るという行動を繰り返す。そのうちに隠れ家に戻るのも億劫になり、群れがダンゴ状態になってコマセのエリアを独占してしまう。こんなケースでは、木ッ葉もコマセエリアから追いやられ、良型メジナが完全にコマセエリアを支配するという状況となる。 もうひとつのパターンは、コマセの周辺をうろうろとしながら、ポツリポツリとエサを拾うケース。こんなときは木ッ葉の活性だけは高く、木ッ葉はコマセの煙幕の中に突入し、エサを捕食する。こんなとき、大型メジナは木ッ葉の群れの下側にいて、こぼれ落ちてくるエサを拾い喰いするような感じだ。 前者の場合は、コマセの中に大型メジナが突入してくるパターンなので、コマセと付けエサとの同調が決め手。後者の場合は、コマセと同調させればさせるほど木ッ葉ばかりが釣れてしまう。こんなときは、わざと同調のパターンを崩す。例えば、コマセを撒いて、木ッ葉を集め、木ッ葉のいない沖側に仕掛けを投入するとか、仕掛けを投入するタイミングをずらすとか、タナを深めにして、しかもやや重た目のガン玉を打って仕掛けをタナまで早めに沈めるなどの策は必要となる。 いずれにしても、メジナを確実に釣ろうとするなら、いきなり仕掛けを入れるのではなく、コマセをしっかりと入れて、メジナのスイッチをオンにしてやることが先決なのだ。 |