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2.大興奮のイワシメバル釣り・メバルの立ち泳ぎの秘密

年が明けて何が楽しみかというと、まもなく関東で始まるイワシメバル釣りだ。

ご存知のない方に簡単に説明すると、活きたシコイワシ(正式にはカタクチイワシ)をエサにしたメバル釣りのこと。関東では房総半島と三浦半島の各地で1月下旬から3月上旬ぐらい(その年の黒潮の関係で時期がずれることも多い)までの期間限定の釣り。

これはシコイワシの群れが産卵のために浅いところに回遊し、これをメバルが待ち受けて喰らうというメカニズムなのだが、不思議なことに他の時期ではこの方法ではほとんど釣れないというもの。

3m前後の長さの胴に乗る軟調のサオを使い、ロッドホルダーにかけての置きザオ釣法だったが、手持ちで積極的にタナ操作することも目立つのが最近の傾向なのかもしれない。アタリが予想に反して豪快で、思わず叫び声をあげてしまうほどズドーンと穂先が海面に突き刺さるのだ。水深5〜10mという浅場での釣りということもあり、引きも強くて実に楽しい釣り。オマケに、ビギナーでも堪能できるところも魅力だ。

しかも、メバルはお刺身が白身で甘みもあって最高に美味しいし、煮ても焼いても美味しいときているから、この釣りにはまってしまう人も少なくないのだ。

1)メバルの立ち泳ぎ

この釣りを語るには、まずメバルの生態をよく知っていた方がいい。

潜って観察してみると、メバルには大きく分けて2通りの行動パターンがある。ひとつは海底や根の上で腹をつけてジッとしているパターン。これはどうやら活性の低いときであり、休んでいるようである。

もうひとつのパターンは、エサを捕食しようという活性のあるときで、海底に対して60度ぐらいの角度を持って斜め上を向いてホバーリングした状態の立ち泳ぎをしている。

ホバーリングとは、もともとはヘリコプターが空中のある一点でとどまることをいうのだが、浮きも沈みもしない状態のこと。

潜って最初にその姿を見たときは、なんでサカナが上向いているのか、ヒレもほとんど動かさずにどうやってホバーリングしているのかと疑問に思ったが、その理由もだんだん解ってきた。

上を向いているのは、捕食効率を高めるためのある種のカムフラージュではないかとボクは考えている。特に冬になって繁茂するカジメやアラメといった海藻の上縁で上を向いてホバーリングしていることが多い。体色も海藻に似た濃い褐色になっていることも多く、小魚が知らずに泳いで近づいてしまう。それを待ち受けて捕食するということならば実に理にかなった方法だ。

ただ、メバルは小魚ばかりではなく、小さなアミ(エビの仲間)なども捕食するし、カラダの骨格から考えれば頭のほうが骨が大きく重いはずで、バランス的に難しそうな気もしなくはない。単なる待ち受けのためだけではないのかもしれない。

また、表層から沈んでくるエサがあるとすれば、上向きで待ち受けていたほうが捕食の確率も増えるわけで、メバルの上向きというのにはもう少し複雑な理由もあるのだろう。

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メバルの行動パターンその1。このように砂地の海底や根の上などで腹ばいになって休む。潮が止まっているなど、活性の低いときに多い
もうひとつのパターンは、潮の流れに逆らった向きでやや斜め上を向いてホバーリング。このときは活性の高いときである。(上側の小さい魚の群れはネンブツダイ)

2)この生態を巧みに釣りに活かす

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そしてこれがイワシメバルのときのメバルの待ち受け体勢。カジメの上縁に隠れるようにしていて、斜め60度ぐらいを見上げるようにしている

イワシメバル釣りの場合、15号ぐらいのオモリを用いた2本バリの胴突き仕掛けを使う。

ハリに活きエサをつけ、付けエサが弱らないように静かに海底まで沈める。オモリが着底したら、1mほどミチ糸を巻いて待つのだが、この1mのミチ糸の巻取りが重要な意味を持ってくる。もちろんオモリの根がかりを防ぐという要素もあるが、このことで海底から1〜1.5ヒロぐらいに活きエサが漂うことになる。仕掛けのハリの位置がオモリから50cmと1.5mというのが標準仕掛け。

繁茂しているカジメやアラメの高さが海底から1m前後ということを考えると、ちょうどメバルがカジメの上縁で待ち受けしているタナと合致するのだ。

船は風と潮とで緩やかに流されて移動するが、このときにいくつものメバルの居場所を通過する。いかにこのときに仕掛けがタナに確実に入っているかが釣果を左右。メバルが大きな口を開けてシコイワシに飛びつく。この後に自分の居場所に泳ぎ戻ろうとするからゴツンというアタリがあった後、3〜5秒待つとグーンと穂先を突っ込ませるほどサオに乗ったアタリとして表われるのだ。

この釣りを極めるためには、すぐに弱ってしまうイワシをいかに弱らせないようにしてハリにつけるか、そして弱らせないように沈めるか、さらにメバルの待ち受けするタナにあわせられるか。これが決め手である。

※釣魚考撮より移設