先日、アジが釣れているということで、家族で金沢八景沖のライトタックルアジに行ってきた。使うビシも30号なので、子供や女性でもラクに扱える。
「まぁ、たまには家族サービスでも…」というつもりで行ったのだが、連れて行けばいったで、やれ仕掛けがおまつりしただの、ハリが切れただの、なんだのかんだのとリクエストが多く、そのたびにそちらの手間をしなければならないので、とても自分の釣りができない。
そうなると置きザオ釣法となるのだが、アジ釣りの場合は手持ち釣りよりも圧倒的に不利。だからといって、「なぁんだお父さんあまり釣れないんだ!!」なんて、子供やカミさんに思われてしまうというのもシャクである。
そこで、置きザオ釣法でも、自分なりに作戦を考えた。船長からの指示ダナは海底から1〜2m。そこで海底から1mタナを切ったところで軽くコマセを振り、あとは置きザオ。ポロポロとビシからコマセが出るようにしておいた。大きく変えたのは、船長は放送でエサは小さくつけるのがコツと言っていたのに、エサの青イソメを目立つように大きくつけておいたことだ。
この作戦が大当たり。カミさんや子供の仕掛けの世話をしている間も、向うアワセでかかってきた。電動のスイッチレバーをちょいと入れておけば、ほかの手間をしながら釣りあがってくる。まぁ釣趣には欠けるが、この際そんなこと構っちゃぁいられない。
今回考えついた作戦の秘密は、あるとき撮った水中でのアジの行動。今回は、そのアジの行動の話をすることにしよう。なお、撮った映像から画像を起こしたので、少し画質は落ちるがご勘弁を。
この日はクロダイの行動を撮るつもりで行ったのだが、クロダイの姿は見えず、そのかわり小規模ながらもアジの群れがいた。用意しておいたアミエビ、オキアミを海底で少しだけ撒いてみた。すると、最初は数尾しか見えなかったアジが、どこからともなく現われ、群れ自身もかなりの数になっていた。 そんなに早くどうやってコマセのにおいをかぎつけてくるのだろう。今までいったいどこにいたんだろうなどと疑問が渦巻く。アジはゆったりと泳いでいるようにも見えたが、やはりコマセのにおいに反応しているらしく、辺りにエサがないかを探っていた。そこで、オキアミを混ぜたアミエビをさらにひとつかみ撒いてみた。 |
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次の瞬間には、まさにスイッチがはいった感じで、アジはものすごいスピードでコマセの中心部に突入。あわただしく辺りを徘徊し、アミエビをあさった。最初は煙幕で見えなくなるが、その中にアジが突入して、キラリキラリと中で暴れているのが見える。相当な勢いでエサが喰われるのだろう。そのうちにまるで煙が空気清浄器に吸い取られるようにコマセの煙幕が消え、視界が明瞭になってきた。するとアジがどうやってエサを喰っているかが見えてきた。 喰い方は、泳ぎながら軽く口を開け、スッと吸い込む。ときおり例のろうと状の口を伸ばして吸い込むこともあったが、スイッチの入った直後は口をあまり大きく開けずにそのまま吸い込む喰い方が多かった。だんだんコマセが喰いつくされてなくなってくると、泳ぐスピードは半減。だが、まだ喰うものはないか、探っている様子。オキアミに関しては、大きな粒は喰わず、ちぎれたものや、砕けた破片などを吸い込んでいた。しばらくすると、すっかりと落ち着きを取り戻し、辺りを徘徊する感じになっていた。 |
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そこで再びスイッチを入れてやろうと、コマセを撒いてみた。たしかにコマセを撒いた直後はスイッチの入ったようなすばやい行動になるのだが、落ち着きを取り戻すのが早く、すぐにのんびりとコマセの周囲を徘徊する行動にシフトしてしまう。ただ、このような行動においては、エサを選んで喰っているような感じがあり、比較的大きなエサでも、ろうと状に口を伸ばして吸い込む喰い方の方が多くなってきたようだ。 このようにコマセを撒いた直後は、爆発的な行動になるのだが、コマセを撒き続けているうちに、コマセのそばにはいるが、あまり爆発的な喰い方にはならず、辺りを徘徊する行動になってしまうのだ。 つまりこれはコマセボケ。ボクたちが考えているよりも、すぐにアジはコマセに慣れてしまうようである。 |
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家族でアジ釣りに行った日、この日は潮の流れが速かった。まずそこでタナは海底から1mぐらいにコマセの出所であるビシが存在するようにして、仕掛けが潮に吹かれてたなびく。最初はコマセに鋭敏に反応していたアジも、コマセボケしてしまい、コマセのある辺り、つまり船の真下をのったりと泳ぎ回っている。彼らは、泳ぎまわりながらコマセのカスを吸い込み、またエサを見つけると吸い込む。このときに大きなエサほど見つけやすく、口の中に入れる。
たしかに、手持ち釣りなら、アタリでアワセて掛けるが、置きザオでは好きなだけ喰わせ、向うアワセしかない。だから大きなエサをつけておいたのである。
結局、こんな釣り方でも午前船で30尾以上の良型アジを釣り、なんとか面目を保てたのであった。