今回の「EP ゼロ」の開発にあたり、最初に考えたのは、第一にゼロ釣法の楽しみは何だろう?ということだった。“細糸と専用ロッドを駆使することにより、誰にでも簡単に数多くのヤマメとワクワクスリリングなやり取りが楽しめる釣り”という私自身が最初に受けたゼロ釣法の印象を思い出すことで、一気に新しい「EP ゼロ」の方向性が見えてきた。 “誰にでもドリフト(流し)の楽しさを体感してもらえる竿”これは同時に掛けられるヤマメの数の増加にも直結する。そう、ゼロ釣法の原点は“エサを自然に流せればヤマメは簡単に釣れる!”なのだ。 そして、一番ヤマメ釣りが楽しいのは瀬の釣り。みなさんはゼロ釣法というとおおきな緩い流れを想像されるかもしれない、しかし、ゼロで狙うフィールドは大河川の中流域や田園の間を流れる里川である。解禁初期でも比較的高水温のためにザラ瀬や深瀬で活発に餌を追っている。この瀬釣り攻略のために生まれたのが今回の「EP ゼロ」であると言っても過言ではない。 竿全体のバランスを見直し、見た目にはかなり竿に張りがあるように思えるが、実は竿全体での柔軟性で、仕掛の馴染み、ヤマメの喰い込み、そしてヤマメのいなしを上手くカバー出来るようにしている。これにより、振り込み、仕掛けの流し、そしてヤマメとのやり取り時の操作性が格段に上がり、釣り人の意志のままにヤマメ釣りを行えるようになったのである。 |
そのためにはゼロシリーズで初めて採用された2つの新機能が大きく貢献している。 まず1つは【メガトップ】のソリッド継穂先。高分散でバラツキが少なく、高弾性化によって感度と操作性が向上した。本来の流れからいくと、もっと柔らかいソリッド穂先になるはずであるが、実際テストを繰り返してみると柔らかすぎると仕掛けの投入時に余分なフケが大きく、仕掛けの修正も流れに負けてしまい、やり難い。仕掛を底波に入れても上波の仕掛を引く力に負けてしまいオバセが大きくなりやすく、私の理想とする“小袋ドリフト”をキープするのに非常に高い技術力が要求されてしまうと感じた。しかしながら硬すぎると底波キープ力が低くなってしまう。そこで胴の部分を僅かに軟くしてカバーした。要は竿の一部の柔軟性で補うのではなく、竿全体のバランスで操作性を上げることが出来たのである。 そこで大きく機能したのが【Xトルク】の搭載。本来パワー系の竿での活躍が注目されているが、しなやかなゼロシリーズに搭載することで“しなやかなのに張りがある”という理想に大きく前進した。穂先の分、若干柔らかめにセッティングされたにもかかわらず、振り込みや風などによる胴ブレの収束が早くなることで、振り込みやドリフト時の安定性が向上した。さらにこのことによりイナシ効果も抜群に上がり、細糸で瀬の中の大ヤマメを短時間で獲ることが出来るようになった。 従来のゼロロッドではヤマメの動きに合せて付いていかざるを得ないことが多かったが、【メガトップ】と【Xトルク】の組み合わせで、ヤマメは釣り人の守備範囲の中で常に尾を振り泳ぎ回り、独特の首振りにも適度なテンションを与え続けながら竿が追随できる。これによりヤマメの弱りも早く、時間の掛け過ぎによるバラシも減少した。 「EP ゼロ」は振り込み、ドリフト、イナシとゼロ釣法本来の面白い部分を活かしながら数段その動作をやさしくしてくれるロッドへと進化した。 是非ゼロ釣法の原点である“やさしく、スリリング”に立ち返り、肩肘張らずに流れに立つことで、自然とヤマメとの楽しい時間を思う存分過ごして欲しい。 |
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(1)振り込み あまりピンポイントに仕掛を入れる事を気にせず、やや狙うポイントの沖目に仕掛けを投入し、上竿で竿を止めて仕掛けが手前に戻り、ポイントに入ってくるのを待つ。 |
(2)底波へのなじませ 仕掛けが投餌点に入り、仕掛けとオモリのバランスが合って居れば仕掛けは沈み始める。仕掛けを投入後に一旦止める事により、仕掛けが馴染み易く成り、余分なオバセも出来にくくなることで、小袋ドリフトが容易になる。 |
(3)底波キープのドリフト 仕掛けが低波に入ったら沈みに合せて仕掛けを立て、目印の流れにあわせ穂先を徐々に下げるように仕掛けを馴染ませ流し込む。アタリは根掛かりのように止まるのが理想、最初は少し上流側に竿先を効かせることで目印に変化がでたら素早く合わせる。根掛かりだったらそのまま上流側に引いて外す。 |
(4)仕掛けの回収 流しきった時点で再び竿先を止めることでオバセが解けて仕掛けが水面に舞い上がる。活性の高いヤマメへの誘いと共にスレたヤマメに対して警戒させることなく仕掛けを回収することが可能。オバセがないのでアワセ切れと、掛けた直後に下流に走るケースが多いので集中が必要。 |