初夏の四国西南部 遠投カゴ釣りで大物一本勝負! 愛媛県/由良

磯の上物釣りと聞いて、真っ先に思い浮かぶのはメジナ(グレ)や黒鯛(チヌ)。そのテクニカルな釣趣は何物にも代えがたいものがあるが、磯にはもっと大きく、もっとパワフルなターゲットがいる。当コンテンツの最終回は、遠投カゴ釣りで磯の大物に挑むことにした。

 

 

真鯛にメーターオーバーのブリ

夢多き由良の磯に立つ。

 

 春の日差しが西へ傾き、納竿の時間が迫っていた。磯の上には重苦しい空気が立ち込めていた。もし釣れなかったらどうするか。あと1日粘ってみるか。声には出さなかったが、お互いにこんなことを考えていただろう。

 しかしだ。複雑に渦を巻いていた本流がギュッと絞れ、それまでいくつものヨレに食われていた道糸がビシッと背筋を伸ばした瞬間、この日、最初で最後のアタリが訪れたのである。

 話は4月の上旬に遡る。この日僕は、徳島の名手・山元隆史さんと愛媛県由良の磯へ向かった。ダイワ独自のリールテクノロジーである「マグシールド」の広告写真を撮影するためである。事前の情報では10kgを超すブリが釣れており、大型の真鯛も狙えるとのことだった。

 隆史さんのロッドケースには、カゴ釣りのタックルが収まっていた。ブリ、真鯛ともに深く、遠くで食ってくることが多い魚である。カゴ釣りは遠投が利くだけでなく、どんなに遠いポイントでも、またどんなに深いタナでも、コマセと付けエサを完全に同調させることができる釣りだ。足下に沸くメジナ(グレ)を釣るためには必要ない釣り方であるが、遠方の深ダナに潜む魚を狙うのであれば、カゴ釣りほど合理的な釣りはないだろう。

 今回お世話になったのは「みなとや渡船(電話=0895・85・0073)」。船長は好調な磯のひとつである「大猿の水道」に我々を下ろしてくれた。ガケ下のちょっとした窪みが釣り座で足場はお世辞にも良くないが、所々に湧き返しの鏡を作りながら流れる本流は見事だ。磯から10kgオーバーのブリが釣れる場所などそう多くはないはずだが、この場所ならと一目で思わせてくれた。

「ブリでも真鯛でも、カゴ釣りでないと取れん大きいのが釣れたらいいんですけどね」

 隆史さんはこういうと、ゆっくりとタックルの準備に取りかかった。

 

今回同行したのはフカセ釣りもカゴ釣りもこなす山元隆史さん。大物狙いのエキスパートだ。

渡礁したのは「大猿の水道」。仕掛けをセットしながら集中力を高める。

 

 

流れの中は生体反応ゼロ

名手山元隆史、どうする?

 

 この日、隆史さんが由良の磯へ持ち込んだロッドは2本。1本はマダイ用の「トーナメントISO3-53遠投」、もう1本はブリ用の「剛弓ヒラマサ4.5号-53遠投」である。状況を見つつ2本を使い分けるという。

 リールは「トーナメントISO5000&5500遠投」。マグシールドを搭載し、12年ぶりに生まれ変わったダイワ遠投スピニングリールの最高峰だ。道糸は「アストロン遠投スペシャルⅡ」の8号と10号を200m巻いている。

 ハリスは「ディーフロン船ハリス」の6号と8号。ハリは「D-MAX マダイクワセ SS」の各号数。ウキは「アローライナーEVA」の15号をメインに使い、カゴは「ジェットカゴ遠投Ⅱ」のM-15号と、現地で人気のある大型反転カゴを用意した。

 エサは生オキアミとボイル。オキアミから出た汁を吸わせて締めるために「アミノX真鯛SP」も磯へ持ち込んだ。

 期待を込めて第一投。大海原へ気持ちよく仕掛けが飛んでいく。遊動が落ちたところでコマセがカゴから撒かれ、付けエサと同調しながら潮筋を流れていく。エサ取りの層を突破し、そのタナにそこそこのサイズの魚がいれば一発で食ってもよさそうである。

 しかし、アタリはない。仕掛けの投入点を変え、ウキ下を変え、あの手この手で攻めるも生体反応はゼロである。

「手前を狙うとエサ取りはいるんですけどね。コマセが効くまで根気よく仕掛けを打ち返すしかないですね」

 

竿はマダイ用として「トーナメントISO3-53遠投」、ブリ用として「剛弓ヒラマサ4.5号-53遠投」を磯へ持ち込んだ。

リールは「トーナメントISO5000と同5500遠投」を用意。道糸は「アストロン遠投スペシャルⅡ」の8号と10号を200m巻いている。

ウキとカゴは「アローライナーEVA」と「ジェットカゴ遠投Ⅱ」のコンビ。適度な与浮力を残し、波に揉まれにくく視認性の高いセットだ。

ハリスは「ディーフロン船ハリス」の6号と8号。しなやかで結節強力の高いフロロカーボンハリスだ。

ハリは「D-MAX マダイクワセ SS」をメインに使った。軽量で吸い込みやすい短軸仕様。SaqSas加工により真鯛の硬い口周りにもスムーズに立ち込む。

オキアミから出た汁を吸わせるためコマセには「アミノX真鯛SP」を混ぜ込んだ。

 

 

リズミカルな手返しで

来たる時合を待つ。

 

 フカセ釣りに比べ、カゴ釣りのタックルは重いのが普通だ。したがって、人によってはコマセをカゴに詰めるたびに竿を置き、仕掛けを流す最中も竿を置き、その結果として手返しが遅くなって、釣りそのものも雑になりがちだ。

 しかし、隆史さんは釣りをしている最中に竿を手から放すことはない。コマセを詰めるときは股に竿尻を挟んでしゃがみ込むようにし、仕掛けを流すときはフカセ釣りと同じようにオープンベールで道糸を送り出し、ラインメンディングも怠らない。

 ダイワのカゴ釣りタックルが軽量であることは確かであるが、隆史さんの流れるような動作は長年にわたる釣りの中で培われたものであろう。カゴ釣りといえども決して大雑把にならず、動きのすべてに無駄がないのだ。手返しにリズムがある。見ていて気持ちがよい。

 カゴが大きいこともあり、コマセはスプーンなどを使わず素手でワシワシと詰めていく。そのまま道糸を巻き取ってでハリスを手に取り、ハリにエサを付けたらそのまま投入動作に移る。

 思えば、カゴ釣り用の遠投リールほど過酷な環境下で使用される道具はない。コマセの汁で汚れ、巻き取った道糸から飛び散る飛沫で汚れ、強風下では波飛沫を浴びることもあるだろう。

 その点、マグシールドを搭載している「トーナメントISO遠投」は心強い。磁性オイルにて外部からの水や異物の侵入がシャットアウトされるので、回転性能が長期間維持されるのだ。ラインローラー部には「マグシールドボールベアリング」が仕込まれており、塩噛みによって固着することもない。軽量で高剛性のZAIONをボディ素材に採用し、使用感は実に軽い。駆動中枢に組み込まれたマシンカットデジギアとの相乗効果で、多少ラフに扱っても回転のスムーズさが失われず、太いナイロンラインをグイグイ巻けるのである。

「抵抗の大きいカゴ釣り仕掛けを速い潮の中で回収するのも楽ですね。あとは魚とのやり取りで力強さを実証したいんですけどね(笑)」

 複雑に渦を巻く本流。海は沈黙したままである。来る時合に備え、手返しよく仕掛けを打ち返してコマセを効かせることに専念した。

 

 

惚れ惚れするような潮が差し込むも、海は沈黙したまま。手返しよく仕掛けを打ち込み、来る時合に備える。

ZAION製ボディとマシンカットデジギアとの相乗効果で剛性感のある巻き心地を実現した「トーナメントISO遠投」。抵抗の大きいカゴ仕掛けをグイグイ巻き取れる。

「大猿の水道」の釣り座。目の前を図太い本流がかすめていく。

 

 

まさに奇跡の大逆転。

納竿間際に良型真鯛をキャッチ!

 

 時間は無情に過ぎていった。ウキ下をこまめに調整しても状況は変わらず。流すスジを手前にすればエサ取りにやられ、沖を流すと付けエサが残りっぱなし。

「潮の湧き返しが強くて道糸が取られてしまうんですよ。これでは仕掛けが綺麗に流れませんね」

 フカセ釣りであれば、湧き潮のエッジにできる潜り潮へ仕掛けを差し込めるだろう。カゴ釣りは良くも悪くも仕掛けがなじんでしまう。一本調子の潮や緩流、海全体がダラッと流れる散漫な潮は得意とするところだが、斜めに舞い込む潮や複雑な流れは攻めにくいのである。

 弁当を届けに来た船長に聞くと、ほかの磯では10kgを軽く超えるブリが出たとのこと。しかし大猿の水道ではブリの気配など皆無であった。隆史さんは残りの時間を真鯛狙い一本に絞った。

 そして磯上がり30分前、湧き返しの鏡をいくつも作っていた本流のスジがギュッと1本に絞れてきた。

「ええ感じになってきたんちゃいますか。道糸が綺麗に引かれていきますよ」

 隆史さんがこう言うやいなや、100mほど先でウキがスパンと消し込まれたのである。

 3号竿が一気に絞り込まれた。激流を駆け下る強烈な引きを「トーナメントISO遠投」のATDがジリッと滑って止める。玉網に滑り込ませたのは60cmを超える真鯛である。

「潮が変わった一瞬でしたね。どうにかカゴ釣りらしい良型を出せてよかったです」

 納竿間際の大逆転劇。最後まで諦めずに手を尽くす、山元隆史さんの粘りが呼び込んだ1尾であった。

 

 

納竿30分前、満を持して3号ロッドが弧を描いた。隆史さんの安定感のあるやり取りが展開された。

玉網に滑り込ませたのは60cmオーバーの堂々たる真鯛。8時間の苦労が報われた。

釣り場の美化に努めるのは釣り師として当然の心得。自分が出したゴミは必ず持ち帰ること。

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