エサ取りが跋扈する夏磯で テクニカルなメジナ(グレ)釣りを楽しむ! 静岡県/南伊豆入間

焼け付くような日差し。全身から汗が噴き出し、ペットボトルが瞬く間に空になる。いよいよ夏磯シーズンの到来である。高水温期はエサ取りとの戦いであるが、本命の活性もまた高い。コマセワークで積極的に魚を動かして食わせる釣りは、寒の時期とはまた違った楽しみがあるのだ。

 

 

いよいよ夏磯が開幕。

灼熱の南伊豆に挑む!

 

 荷物を高い場所へ上げ終わった頃には、鼻の頭から汗が滴っていた。季節はもう夏なのである。ここは静岡県伊豆半島の南端に近い入間。ダイワのフィールドテスターである桜井裕さんグループの釣行に同行した次第である。

 桜井さんはテスターとして新製品の開発に携わるかたわら、月に1回、熱海港海釣り施設で行われているウキフカセ釣り入門講習会で講師を務める人だ。伊豆半島の磯に通い詰めて得た、膨大なデータを元に組み立てる頭脳派釣り師であるとともに、面倒見のよさも天下一品。この日も数人の講習会卒業生を引き連れての釣行だ。

 この日、渡礁したのは「高島」という地方の磯。その名のとおり足場の高い磯である。桜井さんはメンバー全員が竿を出すのを確かめた後、ウネリで釣りにくい先端寄りに釣り座を構えた。

 

頭脳派釣り師として評価の高い桜井裕さん。この日は講師を務めるウキフカセ釣り入門講習会の卒業生を引き連れての釣行だ。

 ウキフカセ釣り入門講習会の卒業生であり、釣行回数もまだ少ない沼田善之さんにポイントの説明をする桜井さん。釣りの楽しさ、出会いの喜びを共有することが何よりの楽しみなのである。

 

 

朝イチの大ザラシ狙いで

予期せぬ大物がヒット!

 

 「状況的にはちょっと厳しいかもね」

 事前の情報では小サバが非常に多いとのことだった。苦戦を覚悟していた桜井さんであるが、「事件」は思いのほか早い時間にやってきたのである。

 吉田大根に向いた北側の釣り座で大ザラシを狙っていたウキフカセ釣り入門講習会の卒業生、堀川貴之さんにいきなりアタリがきた。ウネリに翻弄されながら海面に浮かせ、仲間が差し出す玉網に収めたのは45.5cmの立派な口太であった。時期を考えれば殊勲の1尾だ。

 これには桜井さんも大喜びである。朝一番のコマセが効き始める前であったこと、大ザラシというエサ取りが入りにくい場所を狙ったことなど要因はいろいろ考えられるが、ワンチャンスを確実にモノにした堀川さんの大手柄といってもよいだろう。

 

北側の釣り座で良型メジナ(グレ)の魚信をとらえた堀川貴之さん。ウネリに翻弄されながら慎重なやり取りが続く。

堀川さんの長寸記録となる45.5cmの口太。桜井さんも大喜びである。勝因を尋ねると「メジナは起きたばっかりだったんじゃないですかね」とのこと。

 

 

コッパに小サバ

瞬速のエサ取りに苦戦。

 

 桜井さんは釣り座に戻って自分の釣りに集中する。竿は「DXR1.5号-52SMT」。感度に加え、しっかり合わせが利く胴乗りの早さが気に入っているというSMT(スーパーメタルトップ)搭載モデルである。エサ取りも本命も活性が高い状況を考慮し、コマセは軽比重&増量を重視した配合エサでまとめた。

 コッパがポツポツ釣れ続くなか、時折イサキが食ってくる。イサキは夏磯の顔ともいえるターゲット。専門に狙う人はさほど多くないが、この時期にイサキが釣れないと寂しい気持ちになってくる。もちろん、丁重にクーラーボックスへお通しした。

 伊豆の夏らしさを堪能したのも束の間、コマセが効くにつれて小サバがハリ掛かりするようになり、やがて一帯が大群に包囲されてしまった。

 コマセの投入点と仕掛けを離してもダメ、沖へコマセを入れて磯際を狙ってもダメ。こまめに仕掛けに手を入れて攻める桜井さんだったが、沖向きの釣り座はまったく勝負にならない。これではマズイと堀川さんの隣で大ザラシを狙ってみるも、白泡の中まで小サバが入ってくるようになってしまった。

 小サバの猛攻に手を焼いたまま昼を迎える。桜井さんは高い場所から磯全体を見渡し、頭の中に詰め込まれた過去のデータを引っ張り出して考える。さらに考える。なおも考える……。

 何かをひらめいた桜井さんはおもむろにバッカンを手にし、海底がうっすら見える地方向きに釣り座を移したのである。

 

 桜井さんはウネリで釣りにくい沖向きの釣り座で竿を出す。エサ取りが少ない時期のナギ日ならば最高の場所なのだが……。

配合エサは軽比重の「アミノX浮かせグレ遠投」をベースに、エサ取りの量を考慮して増量タイプの「アミノX爆増グレ5倍遠投」や「アミノX4倍こませグレ」をブレンドした。

朝一番はコッパグレの連釣。コッパは最も手を焼くエサ取りのひとつ。

桜井さんが所属するFTサバルのメンバーである中里俊二さんがイサキを食わせた。可憐な魚体と抜群の食味。夏磯を彩る人気魚だ。

桜井さんにもイサキが食ってきた。この後は丁重にクーラーボックスへお通しした。

「シークールキャリーGU2500Ⅱ」はキャリーハンドルとキャスターが付いた便利アイテム。

堀川さんが釣った45.5cmのメジナ(グレ)も余裕で入るスペースを有している。

小サバである。足が速いうえに大群で押し寄せてくる。沖向きのポイントでは手も足も出なかった。

 

 

 

地方向きの当て潮で

奇跡の大逆転!

 

 釣り座の左から入ってきた流れは、正面の磯に当たって手前へ押し込んでくる。いわゆる当て潮である。コマセを撒くと、小サバの量は沖向きほどではないが、スズメダイが大挙して集まってくる。その様は海中に黒いじゅうたんが敷かれているかのようだ。

 ここで桜井さんは磯際にコマセを入れてスズメダイを集め、仕掛けは正面の磯ギリギリに投入した。当て潮に乗った仕掛けは手前に向かって流れてくる。そしてウキが磯際に差し掛かったところでスパッと海中へ消えていった。浮かせてみれば30cm少々の口太。

「これは嬉しい! 考えて釣ったという満足感があるよ」

 数を釣る。型を狙う。メジナ(グレ)釣りの楽しみはいろいろあるが、「筋書きどおりに食わせる」というおもしろさも忘れてはならない。当て潮はメジナ(グレ)釣りにおいて決してよい条件ではないが、エサ取りが極端に多い場面では「コマセを沖に出さない」という強力な味方となる。磯際のみに効かせたコマセの中に、沖から仕掛けを合わせるという桜井さんの攻めが、功を奏したというわけだ。

 続けざまにもう1尾。これはやや沖で食わせた。手順はこうだ。撒いたコマセに対してウキはコマセの中に入れるが、付けエサをコマセの外に外すように投入する。付けエサはカーブフォールでなじんでいくが、ハリスがなじむ前にコマセを追い打ちするのである。

 最初のコマセには、当然のごとくスズメダイが群がってくる。これに付けエサを同調させると、いくらコマセのエリアから外したといってもスズメダイに取られてしまうだろう。ここで追いコマセが効いてくるのである。

 ハリスがなじむ前、つまり付けエサがコマセのエリア外にあり、エサ取りの目に付きにくい状態のときに追いコマセを入れると、エサ取りの目が上へ向く。エサ取りが追いコマセにつられているうちに付けエサを最初のコマセに同調させるという寸法である。

 玉網に滑り込ませたのは37〜38cmの口太。まさに技ありの1尾である。

「この1尾で納得しました。高水温期はエサ取りが多いぶん、メジナ(グレ)の活性にもある程度は期待できます。コマセでエサ取りの動きをコントロールして、活性の高い本命を食わせる。夏磯はこれが楽しいですね」

 1尾がもたらす喜びの大きさは釣り人の心が決める。桜井さんは、厳しい条件の中でもメジナ(グレ)釣りを心から楽しんでいるのだ。

 

取材協力=常進丸☎0558・65・0854

 

考える桜井さん。頭の中には膨大なデータがストックされている。さぁ、どう攻める?

最終手段は地方向きの浅場。正面に見えるサバ根に当たった潮が手前へ押し込んでくる。しかし、当て潮は桜井さんが最も得意とする流れなのである。

大挙して群がるスズメダイの動きをコマセワークでコントロールし、見事に食わせた本命。サイズ以上の満足感をもたらしてくれた。

ゴミはまとめて持ち帰るのが釣り人のマナー。オキアミが入っていた袋はサッと海水で洗っておくと臭わなくなる。

 

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