堤防は最も身近な遊び場。 房総の港で半夜の五目釣りを楽しむ! 千葉県/外房某港

波が砕ける荒磯で狙うメジナ(グレ)。内湾の磯でじっくりと攻める黒鯛(チヌ)。1尾との出会いを求めるストイックな釣りは実に楽しいものだが、ときにはのんびりと、自由に遊びたいこともある。今回は初夏の堤防で、来るもの拒まずの釣りを楽しむことにした。

 

 

夏は堤防の季節。

来るもの拒まずの釣りも楽しい!

 

 「堤防」というフィールドについて、皆さんはどのような印象をお持ちだろうか。

 身近な釣り場、入門に最適な場所、足場がよく釣りやすい……等々、いろいろとあるだろう。しかし、ひととおり釣りを覚えて沖磯へ通うようなレベルになると堤防から足が遠のき、一部には「堤防なんて初心者かシニアアングラーが竿を出す場所だよ」などと言う人がいるかもしれない。

 ところがだ、堤防という釣り場はなかなか侮れないのである。かつて全国規模の競技会で何度も優勝した名手から、沖磯へ渡るのは月に1〜2回で、それ以外は近所の堤防で竿を出しているとの話を聞いたことがある。型を問わなければ堤防周りでもメジナ(グレ)の数は多い。潮の動きが乏しい地周りの堤防はコマセワークによるエサ取りのコントロールが難しく、だからこそ練習になる。また、自由に出入りできる堤防は時間的な制約がなく、仕事が終わってからも竿を出せる、というのがその理由だ。

 競技会に興味のない人であっても、好きな時間に好きなだけ竿を出せるのは大きな魅力ではないだろうか。沖磯へ渡れば良くも悪くも回収時間までは磯にいなければならない。ボクなどは地続きの堤防で釣りをしている途中でお腹が痛くなってしまったときに、大急ぎでトイレに駆け込んで難を逃れたことがある。堤防というフィールドは足場がよいだけでなく、多くの意味で自由なのである。

 こんな釣り場であるからか、気持ちのうえでも大らかになれるから不思議だ。渡船代を払って沖磯へ渡れば、何が何でも本命を釣るため躍起になってしまうが、これが堤防だと普段はエサ取り扱いのメバルやアジなども歓迎できてしまう。全国に名を馳せる名手であっても、ちょっとしたオカズ釣りに堤防へ通う人も少なくない。

 このたび、堤防でのターゲットを決めない自由な釣りにお付き合いいただいたのは、最近黒鯛(チヌ)の渚釣りでメキメキと頭角を現し、“ガクちゃん”の愛称で知られる山口忠臣さんである。

 場所は千葉県外房の某港。昼前に現地で落ち合い、半夜釣りでいろんな魚を釣って楽しもうというお気楽釣行だ。

 

渚釣りでは期待のホープとの呼び声が高い山口忠臣さん。地周りの釣り場を中心として精力的に活動している。

 

日中は小魚と戯れる。

夕マヅメには良型メバルもお目見え!

 

 外房勝浦名物のタンタン麺を堪能し、釣り場へ入ったのは午後2時を回っていた。沖磯釣行ではこうはいかない。睡眠もそこそこに暗いうちに家を出て、口に入れるものもコンビニのおにぎりやサンドイッチ。帰りも夕方の渋滞に巻き込まれながら、眠い目を擦り擦りハンドルを握らなければならない。

 地周りの堤防での釣りは、この気楽さがいい。ゆっくり寝てから出ても時間は十分あるし、その気になれば夜まで粘っても構わない。明るいうちはメジナ(グレ)や黒鯛(チヌ)を狙い、夕マヅメ以降はメバルやアジを狙うといった二毛作釣行も可能である。

 「たまにはのんびりした釣りもいいですねぇ」

 普段は地元の静岡で渚釣りの黒鯛(チヌ)を楽しむガクちゃんも、ちょっと毛色の違った釣行にワクワクしているようだ。一応、日中はメジナ(グレ)や黒鯛(チヌ)、日没後は房総名物の大アジを狙うプランにはなっているが、釣れてくる魚はすべて心から歓迎することにしていた。天気自体はよいのだが、風は強い北東。波の様子を見ながら安全に竿を出せる場所に入ることができた。

 ガクちゃんが取り出したロッドは「マークドライ1号-52」。道糸がブランクスの中を通るインターラインロッドである。

 「堤防や地磯、そして渚と、僕はいろんな場所で竿を出すのですが、ときとして長時間歩くこともある地周りの釣りでは、極力荷物を少なくしたいんです。状況によってはロッド1本とバッカンだけを持って釣り場に入ることもあるので、何よりもトラブルが少ないことを優先します。その点、インターラインは穂先に道糸が絡むことが少なく穂先を折ることも稀。事前に仕掛けをセットしておけば、釣り場に着いたらサッと伸ばすだけで釣りを始められる機動力も魅力です」

 釣りを始めると、小サバや小ムツ、アイゴなどが竿を絞ってくれた。

 ここでボクも「インプレッサ1.5号-53」で五目釣りに参戦することに。インプレッサは外ガイドロッドであるが、穂先から2番節の固定ガイドにかけては、糸絡みの少ないIMガイドを採用している。この日のように風が強い日での効果は絶大だ。インターラインほどではないにせよ、ストレスなく道糸をさばくことができる。ガクちゃんほど多くの魚は釣れなかったが、夕マヅメに25cmクラスのメバルが食ってきた。

 

 

 竿は「マークドライ1号-52」。全幅の信頼を寄せるインターラインロッドだ。

.愛用のリールは「銀狼LBD」。ナイロン1.85号を150m巻けるラインキャパシティは堤防周りの釣りにピッタリ。

この日のコマセメニューは生オキアミとアミに「アミノXグレ遠投SPオキアミレッド」と「アミノX爆増浮かせてOKグレバリューパック」をブレンドした。メジナ(グレ)も範疇に入れた軽めの配合だ。

強風対策として潮受け性能が高い「D-タイドキャッチャー」をセットした。しっかりと潮をつかみ、多少風に道糸が取られても仕掛けが浮き上がりにくい。

まずウキを消し込んでいったのは小サバ。普段は厄介なエサ取りだが、堤防の五目釣りでは愛すべき客人である。

突如として絞り込まれるマークドライ。竿先を叩くように突っ込む様は黒鯛(チヌ)でもメジナ(グレ)でもないようだが……。

強引の正体はアイゴだった。竿先を叩くように突っ込む引きはメジナ(グレ)よりもタフだ。

小サバの間隙を縫って食ってきたのが小ムツ。群れが大きいときはソフトルアーで狙うのもおもしろい。

夕マヅメにヒットしたメバル。25cmとなかなかのサイズであった。

 

 

 

抜群の機動力&トラブルレス

インターラインが大活躍!

 

 我々が陣取っていたのは風裏だったが、時折強い風が回り込んでくる。ガクちゃんは穂先を海面近くまで下げ、風の影響を最小限に抑えている。背後に岩がある場所と違い、吹きっさらしの堤防は、この風をいかにかわすかが重要なテクニックになる。穂先に道糸が絡んでいるのに気づかず合わせを入れようものなら、穂先はひとたまりもなく折れてしまうだろう。

 「僕がインターラインを多用する理由はそこなんです。繊細に攻めるならばSMT(スーパーメタルトップ)やメガトップが付いた外ガイドロッドが有利ですが、強風時や雨天の釣りにおける快適さや安定したパフォーマンスを求めるときは、どうしてもインターラインに手が伸びてしまいますね」

 ときとしてPEラインも使うガクちゃんにとって、いまやインターラインは手放せない存在であろう。腰のないPEラインはガイドに絡みやすいうえ、一度結び目ができると、まずほどくことができない。ましてやこの日は日没後も竿を出す予定である。暗い中で穂先に絡んだ道糸をほどくのは大きなストレスになるのだ。

 ぜひとも黒鯛(チヌ)をと期待した夕マヅメであるが、残念ながらアタリはなかった。ここでガクちゃんは電気ウキをセットし、夜釣りの体勢に入った。夜の狙いは、房総名物ともいえる大アジである。

 

ガイドが存在しないインターラインは穂先への糸絡みが少ない。強風下でのトラブルの少なさは抜群だ。

道糸に受ける風の抵抗を最小限に抑えるには、穂先を海面に近づけて極力道糸を風に晒されないようにする。堤防のみならずウキフカセ釣りの必須テクニックである。

 

 

 

いよいよ夜釣りに突入。

房総名物の大アジを釣りたい!

 

 だがしかしである。波間に揺らめく電気ウキの赤い灯火は、一向に海面下へ沈んでくれないのだ。事前の情報は悪くなかった。信頼の置けるエサ店でさえ「暗くなればバタバタ食ってきますよ」と太鼓判を押してくれていた。これが釣りの難しさだ。

 黒鯛(チヌ)やメジナ(グレ)であれば、多少食い渋っても攻めようはある。しかし、アジはれっきとした回遊魚。群れが入ってこないかぎりはまず釣れないのである。アジ狙いとおぼしきカゴ釣り師の姿が、ひとり、またひとりと消えていく。本来ならゴールデンタイムである19時を迎える頃には、ついに我々しか堤防上にいなくなった。

 ここからは持久戦である。淡々とコマセを撒き、粛々と仕掛けを打ち返すガクちゃん。時計を見ると20時半を回っていた。

 「21時までやってアタリがなければ撤収しましょうか」

 ボクがこう言いかけたとき、海面を漂うだけだった電気ウキがジワーッと入り、海面下に赤い光の輪を広げたのである。ゆっくり慎重にラインを巻き上げるガクちゃん。ヨイショと抜き上げたハリにぶら下がっていたのは、待望のアジである。

 アジはビギナーでも簡単に釣れる近郊型釣魚のエースであり、本来はストイックな釣りには不似合いな魚である。狙いとする大型にはほど遠いサイズではあるが、これほど嬉しい釣果はない。アジとともにガクちゃんの満面の笑みをカメラに収め、我々は意気揚々と堤防を後にしたのである。

 

集中力が切れそうになった20時30分過ぎ、待望のアジがヒット。粘った甲斐があった。

ガクちゃんが夜釣りで多用するハリはケイムラピンクカラー。黒鯛(チヌ)でもメジナ(グレ)でも、明らかに反応がよいとのこと。

ゴミはコンパクトにまとめ、風に飛ばないよう細心の注意を払う。ゴミを釣り場に残さないのは釣り人として最低限のマナーだ。

 

カテゴリ

2017年4月

            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30