シケ後の南伊豆で春メジナ&イサキと遊ぶ! 静岡県/南伊豆大瀬

黒鯛(チヌ)が乗っ込みシーズンで盛り上がる一方、半島周りの口太は産卵シーズンに入ったようだ。春は水温の変動が激しいうえ、産卵期のメジナ(グレ)は非常にナーバスで、この時期はかなりクレバーな攻めが要求される。気難しいメジナ(グレ)の口をいかにしてこじ開けるのか。関東メジナ界のスーパースター・鵜澤政則さんの釣行に密着してみた。

 

 

 

ウネリが残る牛ヶ瀬

地方の浅場を果敢に攻める。

 

 「風はナライ(北東風)に変わる予報なんで、ナギてくるとは思うんですけどね、変なウネリが残っちゃってるもんで、低い磯はまだ無理かなぁ」

 ここは伊豆半島の南端に近い大瀬。渡船の「倉の下(☎0558-65-0167)」の船長から、場所限定での釣りを伝えられた。低気圧が矢継ぎ早に通り過ぎていった4月の上旬。この低気圧が太平洋上を通るか、日本海側を通るかによって海況が変化する。まったくもって天候を読みにくい季節だ。

 この日も翌日から崩れるとの予報で、1日前倒ししての釣行であった。天気図を見る限りではベタナギでもよさそうな感じなのだが、実際は海を見るまでわからないのである。

 「まぁやれる所でやろうや。特別デカイのが食ってるわけでもないし、1日のんびりと竿を出してさ、そこそこの型が出ればいいじゃない」

 鵜澤政則さんはいつもこの調子。ガツガツしていないのである。グレマスターズでは競技委員長を務め、近年は一歩引いた立場で釣りに接することも増えてきた。自身で竿を出すときもがむしゃらに数を追うのではなく、1日という長いスパンの中でいかに楽しむか、いかに満足する釣果を出すかに重きを置いているように見受けられる。

 鵜澤さんが求める“満足”とは、型である。その日、その場所で釣れる最も大きな魚を釣りたい。そんな姿勢はタックルにも表れている。無闇に細いハリスは使わない。トーナメンターと呼ばれる人たちと同じ磯に乗ったとして、鵜澤さんが使うハリスは彼らよりも1〜2ランクは太いだろう。

 伊豆半島で口太を狙う場合、僕が見るかぎりでは2号からスタートすることが多いようだ。食い渋りが予想される場面でも1.75号前後であったように思う。溶岩質の岩で、底根の荒い伊豆半島では、生半可なハリスでは少し触れただけでも飛ばされてしまう。「細い糸で大型を獲ったとか言うけどさ、それまで何発バラしたのかってことだよ。5尾掛けて5尾とも獲れたらいいよ。でも、5尾掛けたうちの1尾しか獲れないのであれば、その号数は使いたくないね。太いハリスを結ぶのは、全然恥ずかしいことじゃないんだから(笑)」

 こんな話を思い出しているうちに、渡船はウネリに揺られながら進む。「潮が引くまではここでやってもらえませんか」と船長が付けてくれたのは、大瀬でも比較的波風に強い「牛ヶ瀬」。この日は東からのウネリが押し寄せていたため、石廊崎灯台を正面に望む西側の釣り座から竿を出すことになる。

 ここは根と根に囲まれた浅場で、深い部分でも竿1本ほどしかない。しかし遠浅の房総の海で釣りを覚えた鵜澤さんにとって、この水深はまったく気にならない。深い場所は深いなりの、浅い場所は浅いなりの釣りをすればよいのである。

 

02.掛けた魚は確実に取り込むのが鵜澤さんのポリシー。不要に細いハリスは使わない。

03. 朝一番は地方寄りの浅場を攻めた。フグやウミタナゴにまじってメジナ(グレ)が食ってくる。雰囲気としては悪くない。

 

太ハリスの2段ウキ仕掛けで

根と根の間を流す。

 

 ここで鵜澤さんが取り出したロッドは「大島1.5号-52SMT」のつもりだった……、としておこう。これが後に笑い話になる。リールは『トーナメントISO3000SH-LBD』。道糸とハリスは例によって2号である。ウキは小粒のBと大粒のマイナス2Bを併せた2段ウキ仕掛け。大粒の下ウキに潮をつかませ、根と根の間を流す寸法だ。

 釣り始めてしばらくはウミタナゴやフグがウキを消し込んでいった。日当たりのよい浅場には海藻が着いている。春らしい外道といえなくもない。やがて20cm前後のコッパメジナ(グレ)が顔を出し、ほどなくして30cm台半ばの中型が食ってきた。

 「取っ掛かりとしてはまずまずのサイズじゃないかな。この時期はこういった浅根に大型が着くから油断できないんだよ。強めの竿で一気に勝負を決めないと、根のそばで遊ばせたらすぐにハリスを切られるからね。それにしても『大島』は根をかわしてグイグイ寄せられるのに軽いなぁ。このクラスの竿はトーナメントに比べてダレた調子になっても仕方ないんだけど……あっ!」

 ここで鵜澤さんが気づいたのである。なんと、1.5号のSMT(スーパーメタルトップ)を使っていたつもりが、同じ大島でもメガトップの1.25号-53であったのだ。どおりで軽く感じるはずである。この珍事には2人で大笑いするほかなかったが、1.25号でも1.5号を思わせるほどのパワーを備え、またカーボンソリッドのメガトップもSMTと信じ込ませるほどの感度を有していることを、期せずして確認できたということだろう。カーボンのちょっとした弾性の違いを見抜く鵜澤さんを騙したのだから、『大島』もなかなかやってくれるのである。ちょっと強引なフォローかもしれないが……。

 

04.この日、磯に持ち込んだのは昨秋デビューしたばかりの『大島』。朝一番は1.5号-52SMTを選んだつもりだったのだが……。

05.根と根の間を丹念に攻め、30cm台半ばの口太をキャッチ。鵜澤さんは『大島』の軽さと粘りに大満足のご様子であったが、この後、驚愕の事実が明らかになる。

06. 牛ヶ瀬は大瀬地区を代表する磯。西風でも北東風でも竿を出すことができ、収容人数も多い。

 

 

移動した先端の釣り座で

口太とイサキを連発!

 

 潮が引いたのを見計らって、先端寄りに釣り座を移した。ここは外海に面したオープンな釣り座だ。足下から水深もある。回り込んだウネリで海面の上下動が激しく、サラシも大きい。ここで鵜澤さんが手にしたのは『大島1.5号-57』。ラインナップ中で最も長いアイテムである。

 「大島の中で、これを実戦で使ってみたかったんだよね。僕は昔から長竿が好きで、これまでも6mクラスを使ってきた。高弾性カーボンを使ったトーナメントに比べ、『大島』はやや弾性の低いカーボンを使ってるんだよ。わりと張り気味のトーナメントと比較して、『大島』のロングロッドがどんな調子なのかは気になるよね」

 ライン操作はフカセ釣りの必須技術であるが、この日のようにウネリが大きく海面に高低差が生じるときは、長い竿のほうが道糸の軌道を管理しやすい。これ以外にも強風時は穂先の位置を下げてラインに受ける風の抵抗を緩和できるし、サラシで道糸が大きくフケるときも1回の打ち返しで軌道を修正できる。食わせてからのアドバンテージも言わずもがな。重いという点だけは仕方ないが、長竿には多くの利点があるのだ。

 釣り座の両側から払い出すサラシの境目を狙う。ヨレに道糸を食われないよう、やや糸を持ち上げ気味にして流すが、持ち上げすぎると風に取られてしまう。空中の糸フケを管理しながらの仕掛け操作は絶妙である。

 魚の反応も、先の浅場とは明らかに違った。イサキを交えながら着実に型を伸ばし、最終的には40cmクラスの口太を仕留めた。全身を使い竿の弾力をフルに引き出す鵜澤さんのやり取りは、いつ見ても美しい。

 「大島、いいねぇ。トーナメントのように張りのある粘りじゃないんだけど、これはこれでおもしろい。メインロッドとして妥協なく使える1本だよ。価格が抑えめだから、たとえばトーナメントの5.3mを持っている人が2本目として5.7mを持つっていうのもアリだよね」

 SMT仕様のロッドを持っているなら『大島』のメガトップ仕様、インターラインを持っているなら『大島』の外ガイドでフォロー。もちろん、大島のメガトップとSMTで揃えるのもよい。メインとしてもスーパーサブとしても、隙のないロッドシステムを構築するうえで重要な位置にあるアイテムが『大島』という竿なのであろう。

 

07. 沖側の釣り座では『大島1.5号-57』を使った。足場が高い磯でも楽にライン操作ができ、矯めも利くロングロッドだ。

08. 釣り座の左右から出るサラシの合流点を攻める。道糸がヨレに食われないよう、やや糸を持ち上げ気味に操作する。

09. 『大島1.5号-57』の曲がり。同じ1.5号でも節が長いぶん弾力が増しており、ここ一番での矯めが利く。

10.鵜澤さんが食わせのパターンをつかんだ。釣れてくるメジナ(グレ)のサイズが上がってきた。

11.5.7mのストロークで強い引きを難なくいなし、今日一番のメジナ(グレ)を玉網に滑り込ませた。

12.「ギリで40cmあるかなぁ」。場所が限定されたなかで釣り上げた貴重な良型。技ありである。

13.船長いわく「今年初めてのイサキ」。これから夏に向けてはこれが主役となる。南伊豆の地着きイサキは食味がよいことで定評があり、鵜澤さんも迷わずキープ。

14.この日活躍した『大島1.5号-57』。メインとしてはもちろん、スーパーサブとしても働いてくれる1本だ。

15. ゴミは袋に入れて風に飛ばされない場所へまとめておく。うっかり飛ばされたとしても海へ捨てたことに変わりはないからだ。 

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