フカセ釣りの延長でカゴ釣りを楽しむ。「ライトカゴ」で狙う真鯛&イサキ! 愛媛県/中泊

 

 

カゴ釣りとフカセ釣りは上物釣りの代表的な釣法でありながら、なぜか愛好者がハッキリ二分される傾向にある。釣趣そのものが好きになれないという人は仕方がないとしても、カゴ釣りタックルの重さ、ゴツさが受け入れられずに二の足を踏む人も少なくないようだ。今回は、かつてないコンパクトさで鮮烈なデビューを飾った「プロカーゴSS4500遠投」を引っ提げ、生粋のフカセ師が禁断(?)のカゴ釣りに挑む。

 

 

 

 

コマセと付けエサの完全同調。

合理的釣法・カゴ釣りの現在を考察する。

 

 

 カゴ釣りは、いかなる状況下でも付けエサとコマセの完全同調を演出できる合理的な釣りである。追い風ならば100m近い遠投も可能。フカセ釣りではまず届かない遠方のポイントで、またフカセ釣りではまず同調は不可能であろう深ダナでも、付けエサとコマセをピタリと合わせることができる。

 浅場まで入ってくる黒鯛(チヌ)や、コマセで至近距離まで寄せられるメジナ(グレ)はフカセ釣りで十分に釣果が望めるし、むしろ仕掛けがシンプルなぶん釣趣も楽しめる。しかし相手が、はるか潮下の深場に潜む真鯛であったり、遠くの潮スジを回遊するイサキや回遊魚、大アジなどであったら、途端に形勢が逆転する。

「カゴ釣りは邪道だ」

 こう断言する向きも少なくない。確かに足下の浅ダナで釣れる魚をわざわざ沖へ引っ張り出す必要はないし、せっかく釣れている所に入ってきてカゴをドボンドボン放り込まれたら不快な気持ちになって当然だろう。しかし、フカセ釣りでは手も足も出ないポイントの魚を狙う状況にあっては、カゴ釣りという釣法はまさに正統なのである。

 一見、大雑把に思えるカゴ釣りにも、きちんと理論とテクニックが存在する。ダイレクトに潮スジを狙える釣りゆえ、ある意味フカセ釣りよりもシビアに潮を読まなければ、ただ手返しが遅いだけの釣りになってしまう。また、仕掛けを一点に投入できるキャスト技術がないとポイントがボケてしまう。コマセを散らしてポイントを潰してしまうと、投入点が遠いだけに後の修正も容易ではないのである。誰よりも沖へ仕掛けを飛ばし、誰よりも大きな魚を食わせる。そのため、カゴやテンビンを自作したり、ウキに工夫するマニアックな人も多い。

 カゴ釣りの敷居をなかなかまたげない理由として、僕は2つあるように思う。ひとつは「カゴ釣りそのものが苦手」というもの。“釣趣”という言葉があるように、釣りのスタイルにはそれぞれ趣と様式というものが存在する。「野球は得意でもサッカーはちょっと……」という人がいるのと同じで、どうしてもその釣り方が受け入れられないのならば、それは仕方のないことである。

 もうひとつは「カゴ釣りタックルの扱いに不安がある」というもの。慣れないとバックラッシュを起こす両軸タックルは言わずもがな、スピニングタックルであってもフカセ釣りで用いるそれよりもはるかに大柄、かつ重く、他ジャンルのタックルから持ち替えるとどうしてもゴツく感じてしまう。

 ヘビーで当然とされているカゴ釣りをもっとライトに……。こんなコンセプトのもと開発されたのが「プロカーゴSS4500遠投」である。ボディは汎用スピニングリールの4000番が少し大きくなった程度。それでいてナイロン6号を200m巻けるラインキャパシティと、従来のカゴ用遠投リールと同等の巻き上げパワーを備えている。

 このが「プロカーゴSS4500遠投」でカゴ釣りがどのように変わるのか。今回は、ダイワの新提案である「コンパクト遠投リール」のポテンシャルを検証する釣行である。

 

 

重くてゴツイというカゴ釣り用遠投リールの常識を打ち破るべくデビューしたが「プロカーゴSS4500遠投」。コンパクトかつ軽量でライトなカゴ釣りを楽しめる。

 

 

 

カゴタックルを携えたフカセ師

中泊の磯に立つ。

 

 

 今回お付き合いいただいた釣り人は、当連載でも何度かご登場いただいている山元隆史さん。そして、ダイワの熱血企画者であるMさんも同行。Mさんは山元さんの釣りをサポートするかたわら、自身も「プロカーゴSS4500遠投」のチェックをするという。2人とも得意とするジャンルはフカセ釣りで、ある意味では「カゴ釣りに不慣れな人たち」といえる。山元さんがフカセ釣りのエキスパートであることは重々承知しているが、この人がライトカゴをどのように感じるかは実に興味深いところだ。釣り場へ向かう道中、大量のオキアミと特大の反転カゴを仕入れる。

「渡る予定の磯がごっつぅ潮が速いんです。しっかりマキエを効かさなアカンのでね、とりあえず釣りはじめは大きめのカゴを使って、魚が食い始めたら『ジェットカゴ遠投Ⅱ』にチェンジしようと思うとんです」

 四国の反転カゴとは、関東で使われている付けエサ保護用の小型カゴではなく、コマセを詰められる大型の網カゴのことを指す。これに12号、15号といったオモリが仕込まれており、遊動が落ちたところでクルッと上下が反転し、コマセが出るという仕組みだ。

 一方の『ジェットカゴ遠投Ⅱ』はプラスチック製のジェットタイプ。こちらは遊動が落ちた時点で2分割式のカゴが開き、コマセがこぼれ出るといったもの。反転カゴよりも遠投が利き、付けエサをカゴの中に入れられるので表層のエサ取りに取られない。網目の粗い反転カゴがオキアミ専用であるのに対し、ジェットカゴ遠投Ⅱはオキアミとアミの両方を使えるのもメリットだ。

 向かうは愛媛県の中泊。前日に65cmの尾長メジナ(グレ)が出たとのことだが、この日はいつもの野心は捨て、脇目もふらず真鯛とイサキを狙う予定である。

 

 

釣行にお付き合いいただいた釣り人は山元隆史さん。フカセ釣りをはじめ、アユ、ルアーなど多彩な釣りをこなす人だが、イサキの時期を除くとあまりカゴ釣りをする機会はないとのこと。

速い潮流を攻めるときはコマセを切らすと魚がどんどん沖に出てしまう。釣りはじめは大型の反転カゴで手返しよく攻め、まずは魚を寄せることを心掛けた。

魚が寄ってからは「ジェットカゴ遠投Ⅱ」にチェンジ。遠投が利き、上下に2分割されたカゴはコマセを詰めやすい。小型のトングがあると手を汚さずに済むので便利。

 

 

 

潮スジにたっぷりとコマセを効かせ、

幸先良くイサキをキャッチ!

 

 

 今回お世話になった「ながはま渡船(☎0895・82・1071)」が舳先を付けたのは、真鯛の実績場である「ノコギリ」。足場が非常に悪く身の置き場に困るほどだが、真鯛場らしく潮通しはなかなかのものだ。本命の向きではないとのことだが、磯の右後方から当ててきた流れが左斜め前方へ抜けていた。

 山元さんが手にしたロッドは「トーナメントISO遠投3号-53」。リールはもちろん「プロカーゴSS4500遠投」だ。道糸は「アストロン遠投スペシャルⅡ」の6号。ハリスは「ディーフロン船ハリス真鯛+10」の8号。カゴは道中で購入した反転カゴ15号をセットした。ウキは新製品の「アローライナーEVA」。このウキは開発陣の並ならぬこだわりが込められた一品であるとか。

「飛行姿勢を安定させるため一体成型の羽根を採用したりしているのですが、絶妙なのは余浮力ですね。仕掛けに付いているカゴやテンビンには重量があり、これの重さは製品によって様々です。また、カゴの中にはコマセが詰まっており、流している最中にこぼれ出ていきます。つまり、カゴ仕掛けはフカセ釣り仕掛けよりはるかに重く、流している最中にどんどん軽くなっていくんです。フカセウキの与浮力は邪魔であることが多いのですが、カゴウキは適度に与浮力を持たせているほうが不要にシモらず、海面での姿勢も安定するんですよ。『アローライナーEVA』は5号前後の与浮力があり、カゴやテンビンの対応幅が広い。大型の反転カゴから『ジェットカゴ遠投Ⅱ』にチェンジしても違和感がありませんね」

 釣り始めてから間もなく、100mほど沖を漂っていた「アローライナーEVA」がズッポリと消し込まれ、30cm強のイサキが釣れ上がった。遅れて竿を出したMさんにもイサキがヒット。幸先の良いスタートである。

 

 

 

適度な余浮力を持たせた「アローライナーEVA」はカゴやテンビンの対応幅が広く、海面での安定性にも優れている。

 

大物に備えてハリスは「ディーフロン船ハリス真鯛+10」の8号を結んだ。中泊にはこの太ハリスをいとも簡単に切っていくモンスターもいる。

竿は「トーナメントISO遠投3号-53」。最新テクノロジーをふんだんに盛り込んだダイワカゴ用遠投ロッドの最高峰である。

竿出しから間もなくイサキが食ってきた。幸先の良いスタートに安堵の笑みがこぼれる。

ダイワの新提案であるライトカゴタックルの使用感は軽快そのもの。フカセ釣りのタックルに慣れた手でも違和感なく扱える。

 

 

 

沈黙を破って訪れた大アタリ。

勝負の結末やいかに……。

 

 

 コマセが効いたと判断した山元さんはカゴをジェットカゴ遠投Ⅱに交換。これによって飛距離が伸び、攻略エリアが広がった。しかし、相変わらず潮は通しているものの、イサキのアタリがパッタリと途絶えてしまった。山元さんはこまめにウキ下を替え、魚の気配を伺う。必然的に手返しも早くなる。

「ほなけんど、このリールは軽いねぇ。今までの遠投リールとは雲泥の差ですよ。3号の竿に15号のカゴはちょっと重いかなぁとは思うんですが、巻き上げのパワーがあるんで楽に回収できますね」

 足場が悪い「ノコギリ」の先端。動きが制限されるなかでも山元さんの動きはスムーズだ。仕掛けを回収したら竿を股に挟み、両手を自由にする。手早くカゴにコマセを詰めてハリにエサを付けたら、竿を手に取ってキャスト。ひと昔前の重いカゴタックルではここまで円滑にはいかないだろう。軽くコンパクトなリールの効能は、端で見ていてもわかるほどだった。

 やがて、潮が少しずつ緩み始めた。

「何か食いそうな潮になってきましたよ」

 そんな山元さんの予感は見事に的中した。

 3号竿が元上からグニャリと曲がって起きてこない。なかなかの大物が食ってきたようだ。走られる、しのぐ。突っ込まれる、耐える。一進一退、息を飲む攻防である。

 重々しい突進が止まり、反撃に転じようとしたときである。無情にも竿先が跳ね上がってしまった。仕掛けを回収してみると8号ハリスがブッツリ。深ダナ狙いはリスクが大きい。強い引きには耐えたものの、止めるまでに走られたコースが悪かったようだ。

 その後は納竿前にMさんがルアーでヒラスズキを仕留めて一矢報いたものの、本命のひとつである真鯛の顔を拝むことはできなかった。この磯釣行記はどうにも真鯛で苦戦する流れにあるようだ。いつかは竿がミシミシ軋むような大物を玉網に収め、勝利の拳を天高く突き上げねばなるまい。

 

 

 

竿を股に挟んでコマセをカゴに詰める山元さんの動きは実にスムーズ。軽いタックルはスピーディーな手返しにも貢献する。

沈黙を破ってトーナメントが大物の引きをとらえた。魚を怒らさず甘やかさず、慎重かつ大胆にやり取りを繰り返したのだが、無情にもハリスが弾け飛んだ。

納竿間際にMさんがルアーでヒラスズキを仕留めた。70cmクラスのグッドサイズだ。「ラテオ100TM・Q」はロッドケースにすっぽり収まる仕舞寸法113cm。「磯釣り師のためのルアーロッド」といってもよい。

中泊における真鯛の実績場「ノコギリ」。足場の悪さはかなりのものだが、潮通しはすこぶる良好。

釣り場の美化は釣り師の義務。ゴミと思い出はひとつ残らず持ち帰ろう。

 

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