11月の声を聞いた途端にグッと寒さが増してきた。外気が冷え込むほどに熱くなるのが磯釣り師の心。今回は大分県南に位置するメジナ(グレ)釣りの鉄火場・鶴見からシーズンが始まったばかりの釣行をレポートしよう

 

 

東九州の鉄火場に

寒メジナシーズン開幕!

 

 漆黒の闇の中に無数の灯りがうごめいている。海面の所々に赤い光が漂う。

 ここは大分県・鶴見。豊後水道に突き出した鶴御崎一体は九州を代表するメジナ(グレ)釣りの鉄火場として知られる所だ。この日は土曜日ということもあり、名の通った磯は瀬泊まりの釣り人で埋まっていた。

 「夜釣りで大きいアジとサバが釣れよるらしいんです。ちょっと大島のほうまで走ってみましょうか」

 こう話すのは地元大分の保月利英さん。当コンテンツには初めての登場となるが、大分県南の釣り場に精通し、長年にわたりダイワのフィールドスタッフを務めるベテランである。この日は開幕直後の寒メジナ(グレ)釣りを楽しむため、ここ鶴見にやってきた。

  渡船の速見丸(☎090・3011・9311)は鶴見大島へ向けて舵を切り、「ウノトマリの地」に舳先を付けた。ここは大きなワンド奥に位置する鶴見大島の地磯である。岬の先端や水道のような速い潮は差し込んでこないものの、寒の口太場としてはなかなかの二枚目である。

 「ここの海底には後の崖から崩れてきたゴロタがたくさん入っていて、メジナ(グレ)の魚影は結構濃いんですよ。僕自身も何度かいい思いをしていますし、数年前は60cmオーバーの尾長が出てるんです。わりと好きな磯ですね」

 保月さんはゆっくりとタックルのセットに取りかかった。竿は「DXR1.25号-52SMT」。スーパーメタルトップを搭載し、00ウキを用いた沈め釣りを得意とする保月さんの片腕ともいえる高感度ロッドである。これに合わせるリールは新製品の「プレイソ2000H-LBD」である。

 「トーナメントインパルトも使ってきましたが、今回リニューアルしたプレイソはよくできてますね。素材にZAION(ザイオン)を用いて非常に軽いし、回転性能もなかなか。ボディの剛性が高いためか、ゴリ巻きしてもフットがよじれる感じがないんです。巻き心地がカッチリしているので、黙って渡されたらインパルトだって思う人もいるんじゃないですかね(笑)」

 道糸は「アストロン磯ガンマ1500」の1.35号、ハリスは軟らかめの糸質を持つ「タフロングレイトZカスタムEX」の1.75号、ハリは「D-MAXグレ」のスピードとマルチの4〜5号をローテーションするという。

 ウキは「トーナメントG-スペック」のM-00号。これを約6m取ったハリスの中に入れ込んでセット。マスターズチャンプの田中貴さんと同じロングハリスを用いた沈め探り釣り仕掛けだ。ゆったりと潮が回るワンドの中で、微細な潜り潮をとらえてメジナ(グレ)の食い筋へ付けエサを流し込む戦法である。

 足下へマキエを入れてエサ取りの種類と数を確認した保月さんは、やや沖目の小さなヨレに少量のマキエを入れ、そこへ仕掛けを振り込んだ。

 

保月利英さんは大分県南の釣り場に精通する実戦派釣り師。かつては年間100日以上も釣行し、脳内は膨大なデータが蓄積されている。

渡礁したのは鶴見大島の地磯である「ウノトマリの地」。決して速い潮が差し込む場所ではないが、海底にはゴロタ石が詰まっていてメジナ(グレ)の魚影は濃い。

竿は「DXR1.25号-52SMT」。スーパーメタルトップを搭載した高感度ロッドだ。

リールは新製品の「プレイソ2000H-LBD」。上級機種に引けを取らない使用感で保月さんもお気に入りのご様子。

サブとしてもちこんだのは「トライソ2000H-LBD」。ビギナーでもバックラッシュしにくいテーパースプールを採用したLBである。

 

 

快調に数を伸ばすが

一発大型が欲しい!

 

 ワンド内に回り込んだ潮に乗ったウキは、ハリスがなじむとジワリと沈んでいく。やがてDXRのメタル穂先が引き込まれると同時にロッド全体が大きな弧を描いた。最初のひと伸しをかわすと、後は楽に浮いてくる。軽く抜き上げたのは30cmあるかないかの口太であった。

 小型とはいえ、早いうちから本命の顔を見られるとホッとする。保月さんはコロコロと変わるヨレの位置を見計らい、正確に仕掛けを振り込んでいく。瞬く間に同サイズを数尾釣り上げた。

 「エサ取りは少なからずいますね。磯際にはスズメダイ、沖にはキタマクラもいるようです。マキエにピタリと仕掛けを同調させるとサシエが取られますが、離すと残ります。サシエが取られるか取られないかギリギリのエリアを狙っているのですが、なかなかサイズが上がりませんね」

 時折カワハギが食ってくる。これは嬉しい外道としてクーラーボックスへお通しした。ややあってロッドを根元までへし曲げる大物がヒットしたが、これはあえなくハリス切れ。

 「これはクロ(メジナ)ではないですね。仕掛けを深く入れすぎると本命以外の魚が食ってきます。サンノジ、イスズミ、ときに真鯛ですね」

 メジナ(グレ)は食ってくるものの小型ばかり。夜釣りの釣り人が撤収したところで先端寄りに釣り座を移動するも、型は上がらない。やがて干潮を迎えると、アタリそのものも止まってしまった。

 我慢の時間が過ぎていく。マキエの投入点を変え、仕掛けを入れるタイミングを変え、あの手この手で攻めるも、たまにコッパが食ってくる程度。早いうちに型が出れば正午の見回り船で帰りましょうかと話していたのだが、この様子では15時の納竿時間まで粘るしかない。昼を回ってさすがに保月さんの表情に焦りの色が見えてきた。

 

 幸先良く食ってきたのは30cm前後の口太。このまま順調にサイズアップするかと思われたのだが……。

メジナ(グレ)はコンスタントに食ってくるがサイズは依然として上がらない。夜釣りの釣り人が帰った後に先端寄りを攻めてみたが結果は変わらず。

潮が上げに変わってからは再びアタリが戻った。時折玉網を入れるサイズもヒットしてくる。

 

 

納竿1時間前に

クライマックスがやってきた!

 

 

 そして14時。痺れを切らした保月さんは釣り座を移動するようだ。バッカンを置いたのは先ほどまで竿を出していたワンド奥の、そのまた奥。底に沈んだ大岩が透けて見えるような浅場である。その1投目であった。

 保月さんが軽く手首を返してロッドを立てるやいなや、穂先が海面に突き刺さった。伸びやかな引きはメジナ(グレ)のようであるが、先までのコッパとは明らかに重量感が違う。

 腰を落とし、ロッドをしっかりとホールドしながら魚を怒らせず、じっくりと間合いを詰めていく保月さん。じっくり、そして慎重にやり取りを繰り返し、海面に浮かせたのは紛れもない口太。それも目測で48cm前後の大型である。起死回生の1尾を玉網に滑り込ませたところで、ようやく保月さんが笑ってくれた。

 「浅場にいましたね。大きなゴロタ石に着いていた魚ですね。沖の深場を攻めても、あまり大型の気配がなかったんです。釣り座を移動して正解でした」

 これで満足したのか、保月さんは納竿時間を待たずに道具を仕舞った。遅い昼食を取る保月さんの顔には、やりきったという達成感が滲み出ていた。

 

伸びぬサイズに痺れを切らした保月さんはワンドの奥に釣り座を移した。結果は吉と出るか凶と出るか。

釣り座を変えた第一投目、ソイツはいきなり食ってきた。海面に穂先が突き刺さる。慎重にやり取りを繰り返した。

獲物は目測で48cm前後の大型口太。重責をはたした保月さんも満足げだ。

「D-MAXグレ ケイムラピンク スピード」の4号がガッチリとカンヌキに突き刺さっていた。

クーラーボックスの中身はこんな感じ。決して大釣りではないが「考える釣り」の結果としては納得の釣果だ。

ゴミを袋にまとめる保月さん。名手は釣り場の保全にも尽力するのである。

 

朝夕の風に冷たさを感じる頃になってきた。寒さが増すほどに磯師の心は色めき立つ。そう、寒グレシーズンの到来である。今回は大阪の実力派・武田一平さんに密着し、シーズン序盤のメジナ(グレ)釣りをレポートする。まだ水温が高い10月上旬。エサ取りの猛攻に苦戦するかと思いきや……。

 

 

南紀の寒グレシーズン

いよいよ開幕!

 

 磯に立つと、正面から吹き付ける北西風に思わず身震いがした。

 「いやぁ、シャツ一枚では寒いですねぇ。10月に入って急に冷え込みましたね」

 この日に行動を共にしたのは大阪在住で紀伊半島の磯を主戦場とする武田一平さん。つい先頃までアユ釣り一色で、今シーズン磯に立つのは初めてとのことだ。

 今期の寒グレを占う意味でも重要な釣行で、武田さんが選んだ釣り場は白浜の南に位置する椿地区。紀伊半島の磯に精通する武田さんではあるが、ここ椿の磯で竿を出すのは初めてらしい。しかし、まだ水温が高い時期にあって周辺ではコッパに手を焼く状況のなか、ここは比較的型の良いメジナ(グレ)が釣れていたとのことだ。

 「えびす渡船(☎0739・46・0603)」の船長は気さくな人で、初めての我々にも大変親切にしてくれた。船長がすすめてくれたのが「白島」。かなり地方の島であるが足下から5ヒロ程度の水深があり、メジナ(グレ)の実績も高いとのこと。沖は砂地が多いのか、良型は足下で食ってくることが多いらしい。

 「北西風が強くなるかもしれないけど頑張って」

 こんな声を残して船は港へ帰っていった。

 この日、武田さんが用意した竿は「トーナメントISO AGS1.5号-50」と「トーナメントISO AGS競技1.25号-52SMT」の2本。カーボンソリッド穂先メガトップの5mと、高感度メタル穂先SMTの5.2mという組み合わせは、小型をかわしつつ、手返しよく良型を引き出す秋の釣りにピッタリといえるだろう。

 武田さんはまず「トーナメントISO AGS1.5号-50」を手に取って仕掛けをセットした。リールは「トーナメントISO競技LBD」。道糸は「アストロン磯マスターエディション1.65号」、ハリスは新製品の「タフロングレイトZカスタムEX1.5号」。ハリは「D-MAXグレ」のスピードとマルチの4〜5号をローテーションする。

 「ちょっと正面からの風が強いので00号のウキに7号前後のガン玉を打って、やや沈め気味に流してみようと思います。季節柄エサ取りやコッパが多いと思いますが、1cmでも大きいグレを釣りたいですね」

 

 

今シーズン初めて磯に立った武田一平さん。満を持して「トーナメントISO AGS」を実戦投入する記念すべき釣行だ。

好調の椿地区でも指折りのグレ場である「白島」。ごらんのようにかなり地方に位置する磯だが、過去の実績は高いとのこと。

竿は「トーナメントISO AGS1.5号-50」と「トーナメントISO AGS競技1.25号-52SMT」の2本を磯に持ち込んだ。手返しを重視したチョイスだ。

リールは「トーナメントISO競技LBD」。ハンドル1回転で108cmラインを巻き取れる高速ギアは高水温期のスピードゲームにピッタリ。

ハリスは新製品の「タフロングレイトZカスタムEX」。軟らかめの糸質で食い渋り時にも効果的だ。

ハリは「D-MAXグレ」。スピードとマルチの4〜5号をローテーションした。口太がメイン釣り場なので朝イチはスピードでスタート。

 

 

今期初釣行の初アタリで

まさかの40cmクラスを御用!

 

 北西向きの先端に釣り座を構えて釣りを開始。コマセを撒くと磯際からチョウチョウウオがチラチラと見え隠れする。手前では付けエサが取られるが、やや沖を流すと残ってくる。10月上旬という時期からエサ取りが多く、コッパの中から良型を選んでハリに掛けるという釣りを予想していたのだが、ちょっと状況は違うようである。シケの後で海は白濁しており、うっすらと見える海底は砂地のようで、メジナ(グレ)というよりは黒鯛(チヌ)が釣れそうな雰囲気だ。

 潮は釣り座の右から沖へ抜けているように見えた。しかし、仕掛けを流すとウキは沖へ払い出されるのに、蛍光色のストッパーはその場にとどまってウキから離れていく。いわゆる二枚潮である。

 これではウキが仕掛けを引っ張ってコマセから外してしまう。武田さんは数投で00ウキを外し、マイナスウキに小粒のアタリウキを併せた2段ウキ仕掛けにチェンジした。マイナスウキに下層の流れをつかませる戦法である。これをエサ取りゾーンから外したやや沖目に投入し、コマセを被せて流したところで最初のアタリがきた。

 「トーナメントISO AGS1.5号-50」が美しい弧を描いた。武田さんの無駄のないロッドワークに、魚はすんなり足下へ寄せられてしまった。さほど大きくないのかな、と思ったところであった。

 「あれ、結構大きいグレですよ」

 玉網に滑り込ませた魚体をトーナメントバッカンのメジャーに当ててみると、なんとこれが40cmジャストの良型である。水温は23℃。本来ならばエサ取りとコッパをかわし、あの手この手で攻めても35cmが釣れれば上等というコンディションだ。そのなかにあって最初のアタリで食ってきたのが40cm。これは出来過ぎといってもよい釣果といえるだろう。

 「今期初めてのグレ釣りなので状況がわからんかったのですが、おそらくエサ取りが多く手返しの早い釣りになるだろうと。だから取り回しのよい5mの竿を選んだのですが、最初にこの型が釣れるとは嬉しい誤算でしたね(笑)」

 

2段ウキ仕掛けを底潮になじませる作戦に転じた一投目、この日初めてのアタリがきた。重量感はあるがあまり突っ込まない。その正体は……。

 第一号となる本命は40cmジャストの口太。苦戦を予想していただけに嬉しい誤算だ。

海況に仕掛けが合わないと徹底的に手を入れる武田さん。ウキはもちろん、ハリ、ガン玉の大きさや位置、やれることはすべてやるのだ。

 

 

魚が暴れずについてくる

新トーナメントの調子に迫る。

 

 水温が高い時期のメジナ(グレ)は活性が高いため、30cm少々の個体でも引きはかなり強いはず。40cmともなればもっと手こずらせてくれてもよいはずだが、拍子抜けするほどあっさり浮いてきてしまった。

 「掛けた魚が暴れずに浮いてくるんですよ。これが新トーナメントのすごいところです。今回新たに開発された『粘靱ブランクス』の恩恵だと思いますが、ただ強いだけではない、何かがあるんです。竿を左右に切り返すと、魚がスーッと横に泳いで付いてきますからね」

 武田さんは過日のフィールドテストで「トーナメントISO AGS1.5号-53」をみっちりと振り込んでいる。5mは初めて振るとのことだったが、調子はどのように違うのだろうか。

 「5mのほうが振り調子がシャンとしています。5.3mと5mはまったくの別設計と聞いていますが、まさにそのとおりですね。振ったときは『少し硬いかな』と思ったけれど、魚を掛けるとギューッと胴まで曲がってくれます。5.3mとは違うテイストですが、これはこれで好きですね」

 その後もポツポツながらメジナ(グレ)を追釣。どれも30cm代半ばから後半となかなかのサイズである。ただ、秋磯という観点で見るといささか様子が違う。浅ダナで活発にアタってくるというよりは、どのメジナ(グレ)もなじんだ仕掛けをやや流したところで食ってくるのだ。

 「この時期の和歌山は、どちらかというと浅ダナに浮いたメジナ(グレ)の動きを見ながら釣るのが普通なんです。今日は磯際にチラチラとグレは見えるのですが、この時期特有の忙しい釣りにはほど遠いですね」

 ここで、竿を「トーナメントISO AGS競技1.25号-52SMT」に持ち替えた。軽量で機動力のあるメガトップの5mから、高感度で流している最中の情報収集力に長けたSMT仕様の5.2mにチェンジしたというわけだ。

 残念ながら、この後はメジナ(グレ)のアタリがパタリと止まってしまった。時折食ってくるのはサンノジなどの外道のみとなってしまったが、新トーナメント独特の“粘靱マジック”は十二分に体感することができた。

 「SMTが持つ最大の魅力は感度です。これについては新トーナメントも変わりません。ただ、魚を食わせて曲がってからが違いますね。SMT仕様の競技モデルはメガトップに比べて先調子というイメージがありますが、確かに振り調子はSMT仕様独自のシャープさがあるものの、魚を食わせてからはスッと曲がりが手元まで入ってくる。腕に掛かる負担が小さく、とにかく魚が暴れないんです」

 サンノジを食わせたときの曲がりを見ていると、リールシートの下、エンドグリップまで曲がりが入っていることがよくわかる。メガトップの5.3mと5m、SMTの5.2m、それぞれの調子特性は違うものの、曲がってからはしっかり竿が仕事をしてくれることを、改めて思い知らされた釣行であった。

 

 

海と仕掛け、そして攻め方がピタリと合えばこのとおり。「トーナメントISO AGS1.5号-50」が美しい弧を描く。

アタリは散発だが食ってくればそこそこのサイズ。新トーナメントの調子を確かめつつ数を伸ばしていく。

メタル穂先臭さが抑えられ、メタル穂先らしさが際立つ「トーナメントISO AGS競技1.25号-52SMT」。振り調子は先寄りながら、ひとたび曲がれば全節がバネとなって豊かな粘りを発揮する。

竿尻を握り込んで磯際の突っ込みに耐える。よく見るとリールシートの下まで曲がりが入っていることがわかる。

強い引きの主はサンノジだった。メジナ(グレ)よりもタフな相手だが、粘靱ブランクスの前にはあっけなく浮かされてしまった。

ゴミはコンビニ袋にまとめておく。風が強いときは飛ばされないようクーラーボックスなどに結んでおくとよい。

 

1  2  3  4  5  6  7  8  9  10  11

カテゴリ

2016年11月

    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30