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2.連日爆釣続き! 今年はスミイカの当たり年!

スミイカ。正式な名称はコウイカ。釣り人の間での俗称スミイカは、とんでもない量の墨をはくことから。正式な名は、カラダの中に甲羅のような硬い甲があることから。

そもそもイカの祖先は貝の仲間。タコもしかりで、太古の時代は化石で出土するような貝殻を持っていたと考えられています。それが進化の過程で、徐々に不要となり、貝殻そのものが退化していったのです。例えば、ウミウシという色はきれいなのですが、言って見れば海のナメクジのような生き物も、実はイカと同じように祖先は貝の仲間。

貝殻は身を守るものとして大昔は必要だったのが、このウミウシという生き物は、派手な色彩とカラダの内部に毒を持つことで身を守ることができるようになり、殻が邪魔となってほとんどの種類で殻を持っていません。(一部には、まだ殻を持ったタイプの種類もいます)

おそらくイカの仲間も、重く大きな殻は泳いで移動したり、捕食したりする際に邪魔となり、退化していったのだろうと想像されます。コウイカは、そんなイカの仲間の中でも、その殻の痕跡をしっかりと持った種類だと言えるでしょう。

おそらく、貝殻は身を守るために有効でも、実際には邪魔になる。殻を捨てる代わりに何か自分の身を守るものが必要となる。それがイカにとっては墨なのかもしれません。

一度でもコウイカ(以降スミイカ)を釣ったことがあれば、この小さなカラダに、どれだけの墨が入っているのだろう。こいつら全身が墨汁の壷かと思ってしまうほどです。でも実際に食べるためにさばいてみると、スミイカの墨袋は小さく、どうやったらあれだけの墨がはけるのか不思議に思ってしまうほどです。

イカの墨は煙幕か? 分身か?

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スミイカは、日中、砂をかぶって昼寝したりしていることも多いのです。ボクが近づくと、さすがに目覚めて、そそくさと逃げてしまった。

墨をはくという行動をとる生き物は、イカとタコ。ついついどちらも墨をはいて、外敵の視界をなくしてその隙に逃げるものと一般には考えられています。しかし実際には、イカは墨の塊りを、タコは墨の煙幕を張ります。イカの墨の塊りは、墨で相手を驚かせると同時に、粘性の強い墨の塊りをはいて、相手にそれがターゲットだと誤認させ、相手が誤認している隙に逃げます。まさに分身の術と言えるでしょう。ヤリイカやスルメイカにはその傾向が強いです。

タコは、大量の墨をはいて、相手を驚かせると同時に視界を封じ、その隙に逃げます。

どちらも忍術のようですね。

スミイカは、イカの仲間でも、どうやらタコに近い仲間のようで、墨の使い方は煙幕タイプです。だから釣って、変に刺激すると、とんでもない量の墨をはくのです。

スミイカは、海底のエビやシャコが大好物!

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スミイカの眼は、ボクたち人間が考えているよりも視覚的に長けているように思います。海底で小さなエビがちらっと動いただけでも反応していますから。

そんなスミイカですが、スミイカは海底が砂地、もしくは砂泥、あとはそこに岩礁の根が点在するような場所を好んで棲んでいます。それはスミイカの大好物であるエビ類やシャコ類がそこに潜んでいるからです。

スミイカは、ほとんど海底ギリギリのラインにいるか、または海底の砂をかぶって休んでいたりします。海底の色にまぎれるような色をして潜んでいて、彼らの視界の中でエビやシャコが動いたりすると、行動開始します。小さなエビは、ササッと海底を素早く移動したかと思うと、すぐに砂に潜ります。その潜った位置をスミイカは正確に認識。エビもたいてい眼だけ出していて、何かの拍子にちょっとでも動こうものなら、スミイカの触腕がミサイルのように伸びて捕まります。エビを捕まえたスミイカは、すぐに触腕を引き寄せて、口で噛んで相手の動きを封じます。そしてゆっくりと食べるわけです。

テンヤも、スッテも、エギも、スミイカにアピールが大切

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写真はコウイカの仲間。エサのエビを見つけて興奮し、腕を揺らめかせ、色を変えてアタック寸前のシーンです。

もともと専用のテンヤにシャコを巻いて釣っていたスミイカ釣り。最近は、テンヤ以外にもスッテを使ったり、エギを使ったりとそれなりに釣り方が多様化しつつあります。でも共通して言えるのは、スミイカに対してのアピールが大切なこと。だからといって、テンヤをびゅんびゅんとシャクるような激しいアクションもかえって逆効果。それとなくコトコトと小突いて、スッと小突きを止める。そしてシャクる。この動きを止めた瞬間にスミイカが触腕を伸ばし、抱きつく。そのタイミングを与え、直後にシャクったときにテンヤのハリにスミイカがかかる。これがスミイカ釣りのかかるまでのメカニズムなのです。スッテの場合もまったく同じです。

エギの場合は、大きくシャクって、エギが大きく動き、そのあと静かに沈んでいきます。まるでエビが踊るように舞い上がり、静かに海底に軟着陸するようなイメージがいいでしょう。きっとスミイカには、実に魅力的なアクションに見えているはずです。

さて、最後にスッテやエギの色についてです。ボクの今までの経験からも、また何人かの釣り人の意見を検証しても、なぜかピンクとオレンジが釣果的にも安定しています。これはどういう理由からなのかは、まだ何もわかっていません。ただ、イカの眼は、形の認識力などには長けていることだけはわかっていて、もしかしたら人間の想像を超える視力を持っているのかもしれません。ここで言う視力とは、単純によく見えるというだけではなく、色の認識力、動体的な視力など、トータル的な眼の力です。

ただ、ひとつ言えるのは、見えるためには光が必要。その光は自然界では太陽の光を意味します。この光には7色の成分があるのですが、赤い色は水深が少しでも深くなると減衰して色を失います。つまり、赤い色は水深20mで黒い色に見えます。ピンクはグレー、オレンジは少しイエローがかった薄いグレーに見えます。となれば、グレーや薄いグレーのスッテやエギも釣れそうなのですが・・・。この辺は、もっと総合的な研究調査が必要そうですね。

※釣魚水中生態学入門より移設