尾長(クロメジナ) FISH WORLD トップへ

1.ロクマルの出るシーズン!

尾長(オナガ)と言う正式名称のサカナはいません。

尾長とは、正式にはクロメジナという名のサカナのことです。関西方面では尾長グレ、関東では尾長、船釣りでは沖で釣れるメジナなので沖メジナと呼ばれたりもします。

日本近海で見られるメジナの仲間は、この尾長以外に、普通に見られるメジナと南に生息域がかたよるオキナメジナの3種がいます。中でも尾長は回遊性が高く、そのため遊泳力に勝り、普通のメジナよりも尾の端が伸びて尾が長いように見えるため、この名があります。ヒキが強く、しかも歯がかなり鋭いため、ハリを飲まれるとハリスが切れてしまいなかなか釣り上げることが難しいサカナです。

メジナの中でも最も釣り上げるのが難しいサカナとされ、尾長を釣り上げるとどうしても誇らしげになってしまうものです。

また、1月末〜3月上旬は、ロクマルと呼ばれる60cmオーバーの尾長が出るシーズンです。この時期は水温が最も低下する時期にあたり、うまく喰わせることができるとおそらく暴れ方が水温の高い時期に比べてやや鈍った感じになるのでしょう。そのため、ふだんはなかなかロクマルの釣れた魚体は見られなくても、この時期には意外とポツポツと見られたりもします。

尾長を狙うなら南へ?

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もう15年以上も前に八丈島で撮影したサラシに群がる尾長。
昔は大型尾長もサラシの中で喰って来たのですが、最近はサラシの下の層で喰うことはあっても、サラシの中ではめったに大型は喰わなくなって来てしまいました。

尾長・クロメジナの生息域は、図鑑などでは南日本とされています。

メジナよりも生息域はわずかに南に偏っています。ただ、場所によってはメジナと尾長とが混生している場合もあり、そのような場所ではなかなか尾長だけを選んで釣ることは難しいでしょう。南に行けば行くほど、尾長の割合が高くなりますが、南西諸島にはいないようです。

ボクが海中で確認している限りでは、南限的には沖縄のケラマ群島と小笠原の父島です。特に、小笠原で見た尾長はあきらかに60cmオーバーだったのですが、やせた感じでかなりスリムな体形をしていました。コマセを喰って太ったタイプではなく、まさに本来の尾長の姿なのでしょう。でも、小笠原でこのロクマルを釣ろうとしたら、おそらく200〜300尾以上の大型イスズミを釣って、そこに尾長が1尾混じるか混じらないかの確率のように思えます。

たしかに学術上、尾長の分布域は太平洋側と九州の西部ぐらいとされています。ですが、最近は地球温暖化の表れなのか、それとも黒潮の流れが強く日本海側に流れ込んでいるのかその正確な理由はわかりませんが、島根県の隠岐や新潟県の佐渡島でも良型の尾長が釣れたというニュースがここ何年か続いています。

尾長の生息域は、確実に広まっていっているといっても間違いはないでしょう。

ロクマルを狙うなら、際の釣り?!

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磯際に群れる尾長の群れ。
特に、海底付近に隠れられるような窪みや割れ目があれば最高のポイント。磯際に沿って大型尾長は泳ぎあがり、エサを喰ったら反転して海底へ戻ろうとします。
尾長は、ヒキが強い上に、歯が鋭く、ハリを飲まれてしまうとハリスを切られてバラしてしまうことがよくあります。
大物と渡り合うためには、それなりのタックルで臨むことが必要です。

尾長の生態をよく観察してみると、どのように攻めたらいいのかがわかってきます。

尾長はある程度定着した生活もしますが、どちらかというと潮と一緒に行動することが多いようです。自分たちに適した水温の潮と一緒に回遊するケースが多く見られます。もう少し水温の高い時期なら、本流の中にも入ってくるはずです。

特に、青みの強い魚体が釣れた場合、それは沖の方から回遊してきたものの確率が高いようです。また、50cm後半から60cmを越えると、俗称「茶グレ」といって、茶色味の強い色の魚体になる傾向があります。この超大型がはたして回遊してきているものなのか、それとも地着きなのかはまだまだ不明の要素が多く残されています。

さて、どうしたら夢のロクマルを釣り上げられるかということですが、ロクマルクラスともなるとサカナそのものがきわめてナーバスになる傾向が強まります。

磯際の大きな割れ目の中や洞窟のようになっているようなところに潜んでいます。

もちろん沖側にそのような場所があればそこにも潜んでいます。

エサについてもエサ盗りや小型中型のメジナが捕食していても、いざとなれば追い払って独占するだけの力を持っています。それでも、大きなカラダを維持していくためには、それなりの量を食べる必要があるのですが、たいてい海底まで落ちてきたエサを拾い喰いしています。

ですが、何かのきっかけでスイッチが入ると、磯際に沿って泳ぎあがり、エサを喰っては反転して海底へ戻ります。このような状況になればまさにチャンスです。

とにかく磯際に沿ってエサが沈むようにコマセをまく必要があります。波の上下するタイミングをよく観察し、磯際で波が下がるタイミングに磯際にコマセを入れると、磯際に沿う舞い込む潮にコマセが乗り、際に沿ってコマセが沈みます。いきなり大物が喰ってくる場合もありますが、たいていは中・小型が喰ってきて、それまで喰ってきたのがぱたりとやむことがあります。

こんなときこそ、大物が下で暴れて中・小型を追い散らしたケースと考えてもいいかもしれません(もちろん、潮がたるんで喰わなくなったケースもあるので、その辺の見極めは必要ですが・・・)。

もしもそんな状況になれば、細い糸やタックルも軽いものを使って釣るところにこそ釣りの美学があるというスポーツフィッシングの概念は別として、大物と格闘できるタックルをきちんと備えて臨むことが必要でしょう。

サオは4号、リールも4000番にミチイト5〜6号は巻いておきたいものです。

また、ハリスも8号は使いたいところ。

メタルハリスという今までにない新たな素材のいいものも発売されているので、そういったものを使って夢の大物をゲットすることも意義のあることだと思います。

※釣魚水中生態学入門より移設