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1.ちょっと間抜けの一面もある海の賢者

宇宙人がいるとしたらどんな姿か(?)。知能が発達して頭部が大きくなり、カラダは無重力の中で生活するために骨がない。世界中の子供たちに絵を描かせると、「なぜか空想上の宇宙人は、どこの国の子であってもそんなタコの姿に似る」という。

だが、実際には頭部と思える部位は、タコにとっては胴体。

タコも確かに知能が発達してはいるものの、脳自体の大きさは極めて小さい。そんなタコが、チンパンジー並みの知能を発揮し、おそらく何億年後かには地上に棲む生き物に進化するであろうと考えられている(?)。

1)イセエビが大好物

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マダコは、砂地の海底や岩礁帯に巣を作って棲む。砂地では、海底に穴を掘って、穴の周囲を小石などで丁寧に固めて、巣穴として暮らしている。

マダコの好物は、「カニ、エビ、貝類」。かなり、グルメな生き物である。

東京湾内で6〜7月にマダコ釣りが盛況となるが、エサはワタリガニ(ガザミ)。タコにしてみると、イセエビが最も好きなようである。もしもイセエビが海底を闊歩していようものなら、音もなく近づき、スキをみて腕を伸ばす。イセエビを腕の先端で捕らえたら、カラダ全体で丸め込み、胴の中心にある口で噛みついて相手にダメージを与え喰ってしまうのだ。

だから、猟師さんたちにとっては、タコは害虫的な存在。漁協管轄内での漁業権を有する魚貝類の採取は問題(違法、すなわち犯罪と言えるのです)だが、タコに関しては複雑な立場なのかもしれない・・・(?)。

2)おまぬけな一面

とにかくタコは、人間以外の動物の中で、眼(視覚)によるものの認識力に相当長けていると言われる。眼で色の認識ができているかは別として、カニの形、エビの形などがきちんと認識できているらしい。

おまけにチンパンジーに匹敵するぐらいの思考能力がある。

ある実験チームによって、広口ビンの中に好物のエビを入れ、中心に小さな穴の開いたコルクの栓をしたものを水槽に沈めた。水槽内のタコは、すぐさまビンの中にあるエサのエビの存在を知ったが、小さな穴では腕も入らず、どうにも食べられない。何回かの試行錯誤の末、コルクの栓を開け、中のエビを見事に食べたという。

それだけの知恵の持ち主なのだが、かなり「お間抜け」と思える行動もある。

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なぜか、巣穴の周りに食べ終わった貝殻を放置する。きれい好きで巣穴の中をきれいにするがためなのか。しかし、これでわたしはここにいますというサインを知らず知らずのうちに出してしまっている。

マダコは、砂地の海底や岩礁帯に巣を作って棲む。砂地には穴を掘り、小さな石などで穴を補強する。岩礁帯の場合は、岩の割れ目などを利用し、そこに自分の住処を作る。

ここまではあっぱれな行動なのだが、このあとがいけない。

アサリやハマグリといった二枚貝も好物で、見つけるとだきついて殻を開けさせないように強引に締め付ける。そのうちに貝は窒息し、パカッと殻を開ける。それをペロリとたいらげてしまう。しかし、食べ終わった後の貝殻をなぜか自分の巣の周りに置く習性がある。置いたからといって、他のサカナなどには自分がここにいると悟られることはないだろうが、タコ採り漁師やタコの写真を撮るダイバーには、「タコがここにいますよ!」というメッセージを知らず知らずのうちに残しているのである。

3)好奇心が強く、いざとなると七変化

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タコは小さな隙間でも巧みに入ってしまう。これは海に捨てられた牛乳瓶が海底に沈み、その中にすっぽりと入ってしまった例。タコ本来の棲家ではないが、巧みに利用してしまう応用力も持ち合わせている。

タコは臆病でもあり、好奇心が旺盛だ。

例えば何かがうごめいていると、警戒をしながらも、それが何であるかを探ろうとする。釣りでも、テンヤに乗せたエサのカニが、海底をコトコトいいながら動き回っていれば、間違いなく興味を持ち、そのうちに腕で触り、最後にのしかかってくる。

これがあまりにも激しく上下に動いたり、海中に飛び上がったりしてしまうと、注目はしているものの、逆に警戒して手を出さなくなってしまう。だから、マダコ釣りの場合は、海底からテンヤを離さないようにしながら、小刻みにテンヤを小突く感じが大切なのである。こうすると、テンヤはコトコトと音を立てながら小刻みに振動し、船が流れるのにつれてテンヤも動く。この演出がマダコに響くのである。

また、マダコにとっての「天敵はウツボ」。

ウツボに睨まれると動けなくなり、結局は噛まれてウツボの餌食となってしまう。

だが、例えば他の大きなサカナに狙われた場合などは、実に巧みに七変化する。

まず自分のカラダの色を、周囲の色に似せる。しかも、そこに海藻などが生えていたとすると、皮膚に小さなひだのような突起を作り、その場の環境にそっくりに似せてしまう。こうなると、仮にボクらでも、どこに隠れたか見失ってしまうこともあるほどだ。おそらくタコの眼は、人間の想像以上の機能を持っているに違いない。

そして、それでも見破られたと察知すると、思いっきり墨を吐いて相手をけむにまいてしまう。同じように墨を吐いて逃げるイカの場合は、粘着性のある墨を吐いて、その一部が塊のようになり、相手にそれがイカであると誤認させて逃げるのと違い、タコの場合は完全に眼くらまし。目の前を真っ黒にして、視界不良にし、その隙にトットと逃げおおせてしまうのである。

※釣魚考撮より移設