イソメと一緒にサバの「身エサ」を持参。

短冊状に切り分けられて冷凍されている。夏場はすぐにクーラーボックスへ収納するが、これからの季節は使う時間にあわせて外へ出して解凍。皮表と身側の縫い刺しで針につける。

投げブッコミで期待できるものは何か。カサゴを始めとした高級魚の根魚。それを釣る為には、税金とも言うべきウツボもそれ以上に釣らなければならない。ウツボを避けるべく、根が点在する砂利浜へいざ出陣。

 

思惑は叶い、投入の当初から賑やかになるキャスティズムの竿先。コツコツ、モソモソ。しかし、磯場と違い食い込みに迫力がない。仕掛けをあげてみるたびに、随所を齧られているサバの身。その形状から、カサゴやアカハタといった根魚でないことが容易に判る。

 

 

 

そこで、エサをイソメに変えてみたら、立ち所に針掛かりした。

 

正体見たり。メスのキュウセン。これは群れでいることが多いので、身エサを寄ってたかってつついていた? 鋭利な歯がサバの赤い身をこそぎおとしていたらしい。こうして、身エサとイソメを使い分けて釣る。身エサを一発で口へ入れる魚はそこそこ体格があるし、エサだけ齧られるのならイソメに変えて様子を見る。

 

アタリはある越したことはない。寒期に入った釣りは特に。

 

 

 

 

砂利の浜を離れて内湾へ移動。入り江の急峻な深みへ投げ入れてみる算段。願わくば、居着きの根魚がいないだろうか。潜んでいそうな場所を選ぶ。石積み堤防やその礎石、根落ち、根と砂の境。水深があると底はまったく見えないが、慎重に底の状態を脈をとるように探る。

 

見上げると、入り江を囲む山々は最後の紅葉を残している。西南に向いた斜面は陽当たりがよく、まだ晩秋の装いというべきか。広葉樹の色彩とよく晴れた青空、キャスティズムのオレンジ。

 

独り悦に入り、スナップを撮ったり、、、、。

 

 
 

ここでもゴツゴツとアタリはとれる。齧られている。皮をくわえて走るらしく引きは結構なもの。それでも乗ってはこない。魚は小さいようだ。

 

イソメに変えたら一度で針掛かり。ササノハベラ。この口の口径では、身エサのひと呑みは大変だろう。おそらく、ベラ族に限らず、共生しているであろうトラギスたちなど、海底に"お祭り"だけは起こしているはず。その騒ぎに反応して、ひとつ大きな魚はこないだろうか。

 

場所をひとつ変えて、さらに深くて潮通しのいい岩に乗る。ガツガツ。そして今度は違った。身エサに掛かった魚。グググっとしなるキャスティズム。

 

 

 

水面にあがってきたのは紅色。最初はハナダイに見える(そんなワケはないのですが)陸に揚げた正体に笑いがこみあげる。ピンクの頬に鱗がない。テンスの仲間で「テンスモドキ」と判別。

 

船釣りでは見かけるものの、岸からの投げ釣りでは珍しい部類に入る。仕掛けがよほど深い溝に入ったのか、それとも潮時で浅瀬へ索餌で動いてきたのか。

 

テンスモドキは美しく、運よく掛かりが浅かった。すぐ海へ戻すとしばらく漂い気味だったが、やがて我を取り戻したかのように深みへ。鮮烈な紅色の体色が濃い緑の水へ同化していったのが印象的。

 

年内は投げブッコミで楽しめそうな感じである。この釣りは夢があり、いつもワクワクする釣りである。

 

 

海岸に出てみたら、湖面のように静かな海原だった。無風、ベタ凪と呼ばれる状態で、この時点で嫌な予感はしていた。ソウダガツオの条件としては釣りやすく決して悪くないように想われるが、潮がまったく動いていない。これではプランクトンの活性やそれを追いかけるシラスや小イワシなどの気勢もあがらない。

そうなると闇雲に投げて巻くの展開を繰り返すのみで、次第に虚しくなったり戦意が萎えてきたりする。しかし現状を耐え忍びながら好転を待つ。これもまたソウダガツオ(回遊魚)を狙う基礎的な心構えであり、目を凝らし、ナブラの発生に期待をかけながら投げ続ける。

仕掛けはストレート型テンビン、もしくはトレーラー。そこからリーダーを伸ばして弓ヅノ、ワーム。陸から投げるサーフトローリングの常套的手段。弓ヅノやワームは色、形状を色々と揃えた。

 

 

 
 

この日、海岸には30余名の釣り人の皆さん。そのほとんどがカゴ釣りで、ジグを投げるソルトウォーター派が2名。弓ヅノ、ワーム(エビング)で挑んでいたのはスタッフのみ。

 

ナブラを待つあいだ(起きると信じつつ)釣果を聞いてまわったところ、さらに驚いたことが判明。魚を持っていた人は1名のみ。カゴ釣りで、それは未明の時間に極めて深いタナでワカシが2尾(↑上記写真)。これきりだったのこと。

 

ほかの方はスタッフと同様、信じて待つの状況であり異口同音に「こんな日は珍しい」と口を尖らせる。毎日のように竿を出す常連師たちがこれでは本当にツキのない日にあたったか。しかし弓ヅノを投げ返すことで水中に活性(喝?)を与えることもひとつの手と考えて、黙々と投げ続ける。

 

11月も後半に入ったというのに小春日和。汗が出てくる。水温も高いので潮変わりなどなにかを契機に接岸するシラス、それを追いかけてくるソウダガツオの群れ。湧き起るナブラと鳥山。巻きながら、楽しくなる光景だけを想像する。

 

 

 

ふと機転を効かせて、別路線のことを考える。テンビンと通常の投げ釣り仕掛けを用意した。針にイソメをつけて底をサビいてみよう。波のない穏やかな釣り日和。投げ釣りに理想な初冬の一日。

 

弓ヅノ、エビングはいつでも投げられるようにしておいて、ナブラを発見した次第、仕掛けを即座に交換する算段。状況変化にともない変化させる両作戦。こういう臨機応変な投げ釣りのスタイルこそがキャスティズムでの釣りらしい、と勝手に納得をつけて底を探る。

 

案の定、海底からのアタリは退屈しない程度にきた。シロギスのほか、ベラ、キュウセン、アナハゼの仲間、異色のアオウミタナゴ。五目釣りの様相だが、いろんなアタリを感じ分けるキャスティズムの軽妙で高い感度。しかし一向に、海面はナブラの起きる気配がない。しーんとした海面をひたすら眺め続けるのみ。

 

結果、この日のソウダガツオは皆無。独特のヒット感覚を喰らわないと疲れは倍増。今年も残すところあと1ヶ月少々。もうワンチャンスぐらいないだろうか。持ち帰った魚たちは冷凍庫へ。疲れてしまい食卓はあとのお楽しみに。

 
後日、冷凍庫から魚たちを取り出して解凍。釣り立てに比べて鮮度がさがっているため、全尾を地中海風煮込み、アクアパッツァでいただくことに。

 

ウロコとワタだけとり、軽く塩とコショウを振る。このあとは難しい過程はない。用意したもの。オリーブオイル、白ワイン、白ワインと同量の水、固形のコンソメを1個、トマト缶、ミニトマト、バジル。香辛料などはお好み。

 

 

 

オリーブ油、白ワイン、水から煮立てていき、コンソメが溶けて行き渡ったら頃合いを見計らい魚たちを入れる。トマト缶やミニトマトはすぐに熱せられるので、苦くならないよう煮込み過ぎだけは注意する。バジルを振って出来上がり。

 

アクアパッツァは、西洋の浜鍋。漁師さんが市場に出せない魚たちを地産地消したことが始まりとか。どうしてベラなどは秀逸な味で小さなアナハゼも美味しく食べられる。釣行帰りに疲れて調理できない時に冷凍庫→後日に解凍のパターンにうってつけだろう。ちなみにトマトを入れない、オリーブ油、白ワイン、水だけの風味のほうが好きという人もいる。嗜好は多様。

 

それにしても、、、ソウダガツオ。水温はまだ高いし日和に恵まれれば沿岸の回遊の可能性は高いはず。次回の出撃に期待。

 

凛とした空気が張りつめて、晩秋の装いが濃くなってきた。木枯らし1号が吹いたという天気情報や、北の山々では冠雪の知らせもある。秋深く、冬近し。沿岸へ出ると、北東の風が水面を渡ってきている。鳥たちの喧噪から、表層には小さな回遊魚がまだ居残っているようだが、ナブラを立てるまでには至らず。

どうしようか? しばらく思案ののち、結局オーソドックスな先オモリ式の仕掛け。磯から投げる常套のひとつをセットして、アオイソメをつけた。まだら状の根の砂地に目星をつけて振り込む。

すぐにアタリはない。水温はまだ高いが、アタリがないというのはかえって脈がある。エサ取りの数が減って目的魚に近づいたという判断。前向きに考える。

 

風になぶられながら、黙々と打ち返す。誰もいない地磯の浜辺。晩秋ならではの風情に身を置いて、聴こえてくるのは鳥たちの声のみ。

 

 

 

前触れもなく、ドン!というアタリをとった。先オモリの仕掛けなので、ダイレクトにナニかが乗ったという衝撃。重い。巻けば巻くほどに下へ下へと潜り込む重さ。キャスティズムTが振り絞られるような。これはもしかして?

 

浮上してきたのはカレイ。案の定というか、正体的中というか。40センチを超える長さと結構な目方。そして、激しく魚体をくねらせて暴れる元気モノだった。乗っ込みに接岸した第1陣だろうか。

 

針をほんの少し飲まれていたが、プライヤーで運良く外すことができた。海へ戻すと、あっという間に沖の沈み根へ消えていった。

 
 
 

潮時に入ったらしい。カレイの顔を見た5分後。モソモソという前触れから、ゴクゴクゴクという頭を振るようなアタリをとった。巻き上げると格子柄の茶褐色の魚体。アイナメを手にした。

 

大きなサイズではない。25センチぐらい。でも、この魚の瞳や表情を眺めるとどこか落ち着くのはなぜだろう。今年も会うことができたという安堵?

 

温暖化の影響なのか、沿岸部の開発なのか。都市部の近郊の地磯からは彼らの姿を見かけることが少なくなった。寒流系の魚を代表するアイナメ。晩秋から初冬を告げる使者。このあともう1尾を掛けたが、いずれも海へ帰した。

 

彼らの産卵場である「藻場」の状態をしばらく観察。海の水はまだ温かい。カレイやアイナメの卵を狙いにくる魚たちもまだ活発だろう。これは海洋のなかの摂理。その仕組みを推理・洞察するのも釣りの愉しみのひとつ。

 
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