ソウダガツオにフラれるも五目釣りを愉しむ。

海岸に出てみたら、湖面のように静かな海原だった。無風、ベタ凪と呼ばれる状態で、この時点で嫌な予感はしていた。ソウダガツオの条件としては釣りやすく決して悪くないように想われるが、潮がまったく動いていない。これではプランクトンの活性やそれを追いかけるシラスや小イワシなどの気勢もあがらない。

そうなると闇雲に投げて巻くの展開を繰り返すのみで、次第に虚しくなったり戦意が萎えてきたりする。しかし現状を耐え忍びながら好転を待つ。これもまたソウダガツオ(回遊魚)を狙う基礎的な心構えであり、目を凝らし、ナブラの発生に期待をかけながら投げ続ける。

仕掛けはストレート型テンビン、もしくはトレーラー。そこからリーダーを伸ばして弓ヅノ、ワーム。陸から投げるサーフトローリングの常套的手段。弓ヅノやワームは色、形状を色々と揃えた。

 

 

 
 

この日、海岸には30余名の釣り人の皆さん。そのほとんどがカゴ釣りで、ジグを投げるソルトウォーター派が2名。弓ヅノ、ワーム(エビング)で挑んでいたのはスタッフのみ。

 

ナブラを待つあいだ(起きると信じつつ)釣果を聞いてまわったところ、さらに驚いたことが判明。魚を持っていた人は1名のみ。カゴ釣りで、それは未明の時間に極めて深いタナでワカシが2尾(↑上記写真)。これきりだったのこと。

 

ほかの方はスタッフと同様、信じて待つの状況であり異口同音に「こんな日は珍しい」と口を尖らせる。毎日のように竿を出す常連師たちがこれでは本当にツキのない日にあたったか。しかし弓ヅノを投げ返すことで水中に活性(喝?)を与えることもひとつの手と考えて、黙々と投げ続ける。

 

11月も後半に入ったというのに小春日和。汗が出てくる。水温も高いので潮変わりなどなにかを契機に接岸するシラス、それを追いかけてくるソウダガツオの群れ。湧き起るナブラと鳥山。巻きながら、楽しくなる光景だけを想像する。

 

 

 

ふと機転を効かせて、別路線のことを考える。テンビンと通常の投げ釣り仕掛けを用意した。針にイソメをつけて底をサビいてみよう。波のない穏やかな釣り日和。投げ釣りに理想な初冬の一日。

 

弓ヅノ、エビングはいつでも投げられるようにしておいて、ナブラを発見した次第、仕掛けを即座に交換する算段。状況変化にともない変化させる両作戦。こういう臨機応変な投げ釣りのスタイルこそがキャスティズムでの釣りらしい、と勝手に納得をつけて底を探る。

 

案の定、海底からのアタリは退屈しない程度にきた。シロギスのほか、ベラ、キュウセン、アナハゼの仲間、異色のアオウミタナゴ。五目釣りの様相だが、いろんなアタリを感じ分けるキャスティズムの軽妙で高い感度。しかし一向に、海面はナブラの起きる気配がない。しーんとした海面をひたすら眺め続けるのみ。

 

結果、この日のソウダガツオは皆無。独特のヒット感覚を喰らわないと疲れは倍増。今年も残すところあと1ヶ月少々。もうワンチャンスぐらいないだろうか。持ち帰った魚たちは冷凍庫へ。疲れてしまい食卓はあとのお楽しみに。

 
後日、冷凍庫から魚たちを取り出して解凍。釣り立てに比べて鮮度がさがっているため、全尾を地中海風煮込み、アクアパッツァでいただくことに。

 

ウロコとワタだけとり、軽く塩とコショウを振る。このあとは難しい過程はない。用意したもの。オリーブオイル、白ワイン、白ワインと同量の水、固形のコンソメを1個、トマト缶、ミニトマト、バジル。香辛料などはお好み。

 

 

 

オリーブ油、白ワイン、水から煮立てていき、コンソメが溶けて行き渡ったら頃合いを見計らい魚たちを入れる。トマト缶やミニトマトはすぐに熱せられるので、苦くならないよう煮込み過ぎだけは注意する。バジルを振って出来上がり。

 

アクアパッツァは、西洋の浜鍋。漁師さんが市場に出せない魚たちを地産地消したことが始まりとか。どうしてベラなどは秀逸な味で小さなアナハゼも美味しく食べられる。釣行帰りに疲れて調理できない時に冷凍庫→後日に解凍のパターンにうってつけだろう。ちなみにトマトを入れない、オリーブ油、白ワイン、水だけの風味のほうが好きという人もいる。嗜好は多様。

 

それにしても、、、ソウダガツオ。水温はまだ高いし日和に恵まれれば沿岸の回遊の可能性は高いはず。次回の出撃に期待。