晩秋の使者の顔ぶれを見て想うこと。

凛とした空気が張りつめて、晩秋の装いが濃くなってきた。木枯らし1号が吹いたという天気情報や、北の山々では冠雪の知らせもある。秋深く、冬近し。沿岸へ出ると、北東の風が水面を渡ってきている。鳥たちの喧噪から、表層には小さな回遊魚がまだ居残っているようだが、ナブラを立てるまでには至らず。

どうしようか? しばらく思案ののち、結局オーソドックスな先オモリ式の仕掛け。磯から投げる常套のひとつをセットして、アオイソメをつけた。まだら状の根の砂地に目星をつけて振り込む。

すぐにアタリはない。水温はまだ高いが、アタリがないというのはかえって脈がある。エサ取りの数が減って目的魚に近づいたという判断。前向きに考える。

 

風になぶられながら、黙々と打ち返す。誰もいない地磯の浜辺。晩秋ならではの風情に身を置いて、聴こえてくるのは鳥たちの声のみ。

 

 

 

前触れもなく、ドン!というアタリをとった。先オモリの仕掛けなので、ダイレクトにナニかが乗ったという衝撃。重い。巻けば巻くほどに下へ下へと潜り込む重さ。キャスティズムTが振り絞られるような。これはもしかして?

 

浮上してきたのはカレイ。案の定というか、正体的中というか。40センチを超える長さと結構な目方。そして、激しく魚体をくねらせて暴れる元気モノだった。乗っ込みに接岸した第1陣だろうか。

 

針をほんの少し飲まれていたが、プライヤーで運良く外すことができた。海へ戻すと、あっという間に沖の沈み根へ消えていった。

 
 
 

潮時に入ったらしい。カレイの顔を見た5分後。モソモソという前触れから、ゴクゴクゴクという頭を振るようなアタリをとった。巻き上げると格子柄の茶褐色の魚体。アイナメを手にした。

 

大きなサイズではない。25センチぐらい。でも、この魚の瞳や表情を眺めるとどこか落ち着くのはなぜだろう。今年も会うことができたという安堵?

 

温暖化の影響なのか、沿岸部の開発なのか。都市部の近郊の地磯からは彼らの姿を見かけることが少なくなった。寒流系の魚を代表するアイナメ。晩秋から初冬を告げる使者。このあともう1尾を掛けたが、いずれも海へ帰した。

 

彼らの産卵場である「藻場」の状態をしばらく観察。海の水はまだ温かい。カレイやアイナメの卵を狙いにくる魚たちもまだ活発だろう。これは海洋のなかの摂理。その仕組みを推理・洞察するのも釣りの愉しみのひとつ。