ヘラカタログ
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「とにかく釣っていて楽しい竿。そこだけを目指しました」ダイワフィールドテスター生井澤 聡に新生「玄むく」について聞くと、即座に上の答えが返ってきた。釣っていて楽しい竿…。まさに「言うは易し」であり、竿作りにとって、実は最も難しい「永遠のテーマ」である。そんな壮大なテーマに真っ向から取り組んだ新生「玄むく」の答えとは?「楽しい竿=よく曲がる軟調子の竿…と単純にやってしまうと、ただベロンと垂れ下がるように曲がり、エサを振り込みづらくなるばかりか、どうにもこうにもへらぶなが浮いてこない、ただただ不快な竿が出来上がります。今回の『玄むく』では、まずは『超細身&超肉厚設計』という竿の核となる部分を徹底的に追求し、『しなやかによく曲がる竿ながら、竹竿のような粘り腰で釣り手に不快感を与えない』という領域に踏み込みました。先代の『玄むく』でも十分にそんな楽しさは感じ取れたのですが、新生『玄むく』では一目見て分かるくらいのさらなる細身化を実現していて、これは間違いなく現存するカーボンロッドの中では最も細い部類の竿となっています。また、ただしなやかにするだけでなく、細身化と肉厚化を同時に推し進め、『粘り』を得ることで、釣り味を存分に楽しみながらもストレスなく釣りを楽しめる竿になりました。つまり、これまでにない『とことん楽しい竿』となっているんです」それでは新生「玄むく」が最も得意とするシチュエーションとは?「例えば、休日にお気に入りの池で静かに竿を出す…という場面などは最高でしょうし、僕もそんな場面を常に頭に思い描きながら開発&テストに取り組みました。年に一度のとっておきの遠征釣行…などもいいですよね。とにかく、『1枚との出会いをとことん楽しんで欲しい』という、釣りの本質的な部分を常に意識しながら作り込んでいきました。それはデザインにも表れていると思います。 まず先代でも十分なクオリティだった造り節や竹地の作り込みをさらに一歩も二歩も進め、先代を凌駕。パッと見は、もはや本物の竹竿と見分けがつかないレベルに達していると思います。いや、本物の和竿でここまで細い竿はないので、まさに唯一無二のシルエットを持ったへら竿ですね。 そして今回の目玉は、やはり『握り』でしょう。 高級和竿の漆塗握りをモチーフにした新生『玄むく』の握りは、カーボンロッドでは珍しい、塗り系の握りを採用しています。高級感溢れる深い艶のブラックをベースに、現代と伝統の融合をイメージさせるシルバーの研ぎ出し風の意匠を施し、かつてない印象&感触を実現しています。また、ただデザイン性だけを重視するのではなく、握りそのものの形状をイチから見直し、かつあえて下栓レスとすることで、握り心地にも徹底的にこだわりました。塗り系の握りは一見、ツルツルとして滑りやすいというイメージが強いかもしれませんが、これこそが新生『玄むく』の“楽しさのミソ”でもあるんです。手の中にスッポリ収まるサイズ感によって、しっかり握らなくても竿と手のひらとが一体化します。だからこそグリップを手の中で遊ばせながら、竿が勝手にへらぶなの動きに追随してくれる不思議な新感触を感じていただけるのです。一度この竿でへらぶなとの対話を感じられたら、きっとやみつきになるはず。そんな魅力に満ち溢れた竿なんです」5

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