ヘラカタログ
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三代目となる「玄むく」が目指したのは、どこまでも細く、しなやかに、そして「へらぶな釣りをとことん楽しめる竿」。21世紀の幕開けとともに登場した初代「玄むく硬式」は、それまでにない無垢の素材を使った設計で、へら竿の世界に新たな価値観さえも生み出した名竿である。そして間を空けて2014年に登場し二代目となった「玄むく」は、それまでの無垢ならではの剛さとは対極的に、無垢に近いからこそ可能となった細くしなやかな躯体と磨き上げられた「和」の意匠をその身に纏い、さらにはダイワ独自の「株理論」をベースに、それまでに無いおおらかに曲がる軟調子に生まれ変わった。その一方で、「細く、しなやかだが、競り勝てる強さもある」という、新たなへら竿の方向性を示唆させる竿となったのである。そして現代、世知辛い近代社会において、我々は「釣り」という遊びに今まで以上の「楽しさ」と「癒し」を求めるようになっている。そこで必要とされるのは、やはり理屈抜きで釣りを楽しめる竿であり、また、他ならぬ愛すべきへらぶなに対する「優しさ」を感じられる竿なのではないか…という想いに行き着く。我々が愛するへらぶな釣りに対する想いに寄り添った時、新生「玄むく」が推し進めるべきは、さらなる「楽しさ」であり「癒し」であるべきではないか。そしてそこには、今まで以上に「和」を慈しむ心が必要なのではないかと我々ダイワは考えたのである。新生「玄むく」は、二代目を踏襲しながらも、より細くしなやかな躯体を手に入れている。おそらく、その径は歴代ダイワへら竿の中で最も細い。さらには他に類を見ない肉厚設計。この「超細身&超肉厚設計」こそが、しなやかに曲がりながら、同時に奥底から湧き出てくるような余裕の「粘り」を生み出す。それはまるで、総高野竹の超高級和竿のように…。日本には、「礼」という素晴らしい文化がある。相手に対して、礼を尽くす。自然に対して、礼を尽くす。日本が生んだ唯一無二のゲームフィッシングである、へらぶな釣り。圧倒的な大自然を前にした時、釣り人は謙虚になり、そして、愛らしきへらぶなに対し「礼を尽くす」心持ちになる。ダイワは新生「玄むく」の開発に着手するにあたり、まずは全てに対して謙虚になり、「礼を尽くす」という日本の心の原点に立ち返った。そしてその時、見えてきたのが「和」という言葉だった。「和」もまた、「礼」と並ぶ古き良き日本の伝統である。相手と敵対するのではなく、「和む」ことで生まれる深い情感。それはまさに、日本ならではの文化であろう。和をもって礼となす。新生「玄むく」が目指したのは、圧倒的な釣果ではなく、まして競技に勝利することだけでもない。へらぶな釣りに対する深く謙虚な「愛情」。自然と一体化し、「和む」。そして、愛するへらぶなに対する「礼」の心を持った時、自ずと竿の進む方向性は見えてきたのである。求めたのは、どこまでもしなやかに曲がり、どこまでも優しく粘り、へらぶなを慈しむような竿…。ダイワ独自の「株理論」をベースに、かつてない「超細身&超肉厚設計」が生み出す“戯れ”の境地。それが新生「玄むく」がついに立ち入った、カーボンロッドの新領域である。3よく曲がり、よく粘る超細身&超肉厚設計。“一枚と向き合う”ことの慈しみ、和み。

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